「FUNANフナン」
アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞受賞作品ということですが、アニメーションの技術の秀逸さより、扱ったテーマによって獲得したという作品でした。重いし、地味だし、正直しんどかった。ラストの感動よりもそのテーマがのしかかる辛さに辟易してしまった。監督はドゥニ・ドー。
時は1975年カンボジア、クメール・ルージュによる革命が起こり多くの住民は強制労働に駆り出されていく。ここに夫のクン、妻チョウ、そして息子ソヴァンもそのために村を離れ革命軍の半ならず者の兵隊に引率され移動していく。その途中息子のソヴァンが行方不明になる。探しに行こうとしても兵士に無視され、生きるために仕方なく行軍を続けるクンとチョウ。
やがて食料も尽き、家族が栄養失調などで死んでいき、仲間の中にも諍いが生まれ殺伐としていく。そんな中、やがてベトナム軍が介入してきてクメール・ルージュは崩壊し始める。クンとチョウはなんとかソヴァンを見つけ、タイへ亡命するべく逃げる。そして間も無く国境というところでクンが見つかり、チョウとソヴァンを逃して自ら犠牲となり死んでいく。
こうして映画は終わるが、カンボジアの歴史の汚点を描くというメッセージはしっかり伝わるがアニメとしての絵の芸術性はそれほど秀でたものには見えない。とにかく全編重くて90分ほどの作品なのにやたら長く感じた。良い映画だとは思うが、そんな感想の一本でした。
