くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エマの秘密に恋したら」「さんかく窓の外側は夜」「Away アウェイ」

「エマの秘密に恋したら」

題材が面白くても脚本と演出が悪いとC級レベルの作品になるという典型的な一本。面白いはずなのに、安易な設定と展開でダラダラしてるようにしか見えない映画でした。監督はイリース・デュラン。

 

主人公エマがプレゼンで大失敗し、失意の中、キャビンアテンダントのサービスでファーストクラスの席をもらう。ところが飛び立った途端に乱気流に巻き込まれ、エマはパニックになって、隣の男性に自分の秘密を機関銃のように喚き散らす。

 

次の日出社したのだが、その日会社の共同経営者の一人ジャックがやってくる。なんとジャックこそ、エマが飛行機に中で隣にいた男性だった。ジャックのことが気になり出したエマだが、たまたま恋人と別れることになる。そして急速にジャックと親しくなりやがて体を合わせることになる。

 

ところが、ジャックはテレビに出た時にエマの秘密を有る事無い事全部しゃべったことから会社でエマとジャックの関係がバレた上に、余計な秘密までバレて大恥をかいてしまう。怒ったエマはジャックから離れるが、エマの同居人の舞台でジャックから謝ってくる。それでまとまるかと思った矢先、エマのもう一人の同居人が連れてきたゴシップ記者がジャックに近づいたことからジャックはエマへの信頼を失くし、シカゴへの飛行機に乗る。エマは彼を追いかけ、飛行機の中で誤解も解けてハッピーエンド。

 

エピソードの配分の悪さ、ストーリーテンポの悪さ、品の悪い演出と脚本、さらに不必要に背景をぼかしたカメラ、どれもこれもあまりの出来栄え。ジャックがカリスマ経営者にも見えない。題名も洒落てるし、うまくいけばモダンなラブコメになるところなのに本当に稚拙な仕上がりの作品でした。

 

「さんかく窓の外側は夜」

B級ホラーテイストのインディーズレベルの作品ですが、お話が無駄に複雑なのでそれなりに面白かった。でも、映画作品として見せるほどではなかったですね。監督は森ガキ侑大

 

幼い頃から霊が見える三角が本屋のバイトをしていると、いつものように霊が迫ってくる。逃げようとするところへ冷川という男が現れ、除霊して彼に声をかける。自分の助手になって除霊の仕事をしようという。自分のことをわかってくれる冷川に妙な契約書を書かされ一緒の仕事を始めるが、冷川は旧知の刑事半澤の依頼を受ける。それは連続殺人事件だった。その事件を追ううち、三角と冷川は一人の少女非浦英莉可という女性に行きあたる。彼女は呪いの言葉を投げるだけで人に呪いをかけることができるが、呪いをかけると自分にもその力が襲いかかる。

 

英莉可の父は新興宗教に属していてその宗主は人を呪っては助けて金を儲けていた。街で英莉可を見かけた半澤は彼女を問い詰めるが、彼女は半澤の妻に呪いをかける。瀕死になった妻を助けるために半澤は冷川と三角に助けを求めるが、冷川は太刀打ちできないと断る。諦めきれない三角は、街の一角にある呪いの貯金箱のスペースに向かう。以前から自分に疑問のあった英莉可もそこを訪れ、三角を助けスペースの中へ三角を送り込む。

 

三角と仲違いしていた冷川も駆けつけ三角を助けてスペースの中へ踏み込んでいく。そこでみたのは冷川の少年時代の記憶だった。冷川は新興宗教の教祖に祭り上げられ、除霊をしたがその能力を逆手に取った一人の男が現れ、彼を利用して府のエネルギーを蓄えはじめたのだ。少年時代の冷川はとうとう感情が爆破致死、全ての負のエネルギーで宗教施設の中でお互い殺しわせてしまう。そこへ駆けつけたのは若き日の半澤だった。

 

全てに記憶が蘇った冷川は人間らしい心を取り戻し、三角、英莉可と共に全て解決する。半澤に妻も呪いが解けて助かる。三角と冷川の仲も元に戻るが、英莉可の射手には不気味なものが浮かび上がって映画は終わる。

 

新興宗教の背景が描ききれていないし、主人公二人のみを描いているがその日かはかなり手抜きの描写になっておるし、ラストの造形も独創性に欠けるのがなんとも残念。まあ、B級ホラーテイストの程度とたかを括ればこれはこれで普通の娯楽映画という感じでした。

 

「Away アウェイ」

シンプルながら独創性のある絵が美しい作品で、全編セリフなしなのですが映像で語っていく展開は見応え十分でした。ラトビアのクリエイターが3年かけて一人で作ったアニメーションです。監督はギンツ・ジルバロディス。

 

一人の青年がパラシュートで降りてきたのか木に引っかかってる場面から映画は始まる。巨大で真っ黒な巨人が迫ってくるが、どうやら死神のイメージのようで、その中に一旦は取り込まれるが脱出して、近くの空き地に行くと、そこにリュックと街までの地図、そしてバイクがあった。たまたまそこにいた黄色の小鳥を相棒に青年は街に向かうことになる。

 

映画は彼がバイクで様々な場所を通っていくのを美しい画面作りで描いていく。背後から黒い巨人がゆっくりと迫ってきてサスペンスを盛り上げ、同行する黄色の小鳥が彼をサポートしていくなどドラマ性もしっかりできています。

 

そしてようやく街が見えたところで力尽きて倒れ、死神に取り込まれそうになるが小鳥に助けられ最後は街にたどり着いた映像で映画は終わります。

 

鏡のような湖や満点の星空、白い鳥の群れや眠る黒猫たち、吹き出す噴水など様々な景色や描写がモダンなデザインがの如く美しい。台詞がないのでイメージを膨らませてみていくのですが全然退屈しませんでした。