「ファーゴ」
これは面白かった。淡々と進むストーリーと散りばめられたブラックユーモアの数々、イラストのような絵作りも美しく、まるでジグソーパズルが仕上がっていくような映画でした。名作ですね。監督はジョエル・コーエン、イーサン・コーエン。
真っ白な雪景色の中、一台の車が後ろに新しい車を牽引しながらやって来る。運転しているのは車のディーラーに勤めるジェリー。ジェリーはとあるカフェで友人のシェップに紹介されたカールら二人の男と待ち合わせていた。ジェリーは借金を返済するために、妻ジーンを偽装誘拐させてジーンの父から身代金を手に入れる計画を立てていてその犯行に使う車を段取りしてきたのだ。
カールたちはまんまとジーンを誘拐するが、途中警官に止められ、思わず警官を撃ち殺してしまう。さらに通りかかった車に乗っていた二人も殺してしまう。殺人事件が起こったということで、地元警察のマージが捜査に乗り出す。思わぬ展開に右往左往するジェリー。義父に金を工面させるが、義父は自分で受け渡しに行ってしまう。ところが受け渡しの場でカールはジェリーの義父を撃ち殺してしまい、どんどんエスカレートしていく展開となる。その時カールも顔を撃たれたが、なんとか相棒の男が待つ家まで辿り着く。しかし相棒の男はジーンが暴れたからとジーンを殺したあとだった。さらに相棒の男はカールもナタで殴り殺してしまう。
糸口が見つからないまま、マージは車を追っていく中で、ディーラーのジェリーに目をつけ職場へやって来るが、マージの隙を見てジェリーは逃走する。マージは行き先がわからないまま、たまたま湖の近くを回っていて、犯行に使われたらしい車を発見、単身で現場に行くと、カールの相棒がカールの遺体を裁断機で処分していた。相棒は捕まり、まもなくしてジェリーも逮捕される。何事もなかったようにマージは優しい夫ノームの眠るベッドへ入って映画は終わる。
まるで平凡な日常の一日のように、普通に描かれる展開が不思議な空気を醸し出してくる作品で、雪景色の中で人物が動くイラストのようなショットや、よく考えると、非常にスプラッターなのに、これも平凡に描写されるブラックな殺戮シーンも独特の雰囲気を生み出していきます。本当に個性の塊のような映画でした。