旧作もスケールの小さかった印象があったが、今回の作品も、話の割には全体のスケールがこじんまりとしていたのは残念。ただ、CGなどの発展によってそれなりに格闘シーンは面白かったから良いとしましょう。監督はサイモン・マッコイド。
時は17世紀の初め、ハンゾウの屋敷から映画は始まる。家族とともに普通に暮らしハンゾウたちだったが、ハンゾウが水を汲みに家を離れた隙に魔物が襲いかかり、妻と息子を殺してしまう。慌てて戻ったハンゾウだが、現れたビ・ハン=サブ・ゼロとの一騎打ちに敗れ殺されてしまう。ハンゾウは地獄の煉獄へと姿を消してしまう。しかし妻の機転で赤ん坊が地下に隠されていた。人間の守護神ライデンはその赤ん坊を救出し姿を消す。
時が経つ。一人の格闘家コールはこの日も戦っては負けていた。実は彼はハンゾウの血を引く末裔だった。ハンゾウの血統を根絶やしにすることを目的にしていたサブ・ゼロはコールに襲いかかるが、駆けつけたジャックスに助けられる。魔界神シャンが率いる魔物たちは人間界の戦士とモータルコンバットという格闘で勝利を挙げ人類を征服しようとしていた。
コールはジャックスの進言で、ソニアと呼ばれる女性戦士の元を訪れる。魔物との戦いのためライデンの元で訓練をする必要があった。ライデンの神殿の場所を知るというカノウとともにソニアたちは神殿を目指す。やがてライデンの神殿に到着、訓練を始めるが、シャン率いる魔物が襲いかかってくる。
カノウは裏切ってシャンの下に走るが、次第に覚醒してきたコールたちは攻めてくる魔物を迎え撃つ。ソニアは選ばれた戦士ではなかったが、裏切り者カノウを倒して竜の刺青を引き継ぐ。家族がサブ・ゼロによって捕らえられたコールはサブ・ゼロに戦いを挑む。そこへ、冥界からハンゾウが蘇り、二人でサブ・ゼロを倒す。他の魔物も人間界の戦士が次々と倒してしまう。
こうしてシャンの画策は失敗に終わるが戦いは終わりではなかった。こうして映画は終わっていきますが、意外とサブ・ゼロがあっさり負けてしまうのはちょっと残念。ハンゾウを演じた真田広之にクライマックスの見せ場を用意してくれたのはよかった。
「ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち」
安直な脚本で、簡単に作った感のある映画ですが、スポーツ物はラストは自然と感動を生むので、まあ楽に仕上げたという一本でした。長野五輪で、スキージャンプで団体金に貢献したとされるテストジャンパーたちの実話に基づいた作品です。監督は飯塚健。
リレハンメル冬季五輪、金メダル確実かと思われたスキージャンプ団体戦で、原田の失速によって銀メダルに終わった場面から映画は始まる。世間の失望を一心に受けたメンバーは、長野五輪で雪辱を晴らすべく練習を続けるが、メンバーの一人西方は腰の故障からジャンプに失敗し大怪我をしてしまう。必死でリハビリをして選考に選ばれるべくチャレンジするが、結局西方は選ばれなかった。
落胆する西方に、テストジャンパーで参加してほしいと依頼が来る。最初は全く乗り気がなかったが、渋々引き受け、やがて長野オリンピックが幕を開ける。物語はメンバー二十五人の一部のメンバーの人間ドラマをかいつまみながら、やがて、ジャンプ団体戦、悪天候でテストジャンパー全員のテストジャンプ成功を条件に試合再開が実現する下りとなる。
メンバー全員が覚悟を決め、日本に金メダルを取らせるためテストジャンプが始まるのがクライマックスとなる。実話なので、結果は見えているのですが、やはりスポーツ物は単純に胸が熱くなって行くから不思議です。
そして悲願の団体金メダルが決まり、西方もスキージャンプを続けることを決心して映画は終わる。たわいのない映画ですがスクリーンで見ればそれはそれで見応えが生まれるから不思議です。作品としては普通の映画でした。
「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」
普通に面白かった。シンプルなストーリーだし、そもそもコミカルなテイストを持ったアクションなので肩は凝らない。今回のアクションシーンもなかなかこっていて頑張ってるし、カメラワークも楽しめる作品になってました。監督は江口カン。
四年前、売春組織の幹部らしい人物を次々と殺して行くファブルの姿から映画は始まる。最後一人の男を殺すのだが、死んだ拍子にアクセルを踏みっぱなしになり、その車に乗っていた一人の少女を助けるべく巧みに車を誘導、なんとか少女を救い出しファブルが身を挺して落下して助ける。そして物語は現代へ。
子供を守ることをスローガンにしているNPO団体代表の宇津帆はこの日大勢のファンの前で公演し、裏ではいかにも胡散臭そうな仲間と何やら汚れた仕事をしていた。仲間はプロの殺し屋鈴木、車椅子の少女ヒナコ、らだった。ヒナコは公園の鉄棒で足のリハビリをしていたがその場をファブル=佐藤が見かけてアドバイスする。実はヒナコは冒頭でファブルがすんでのところで助けた少女だった。彼女はあの事故で足が不自由になり、両親も惨殺され、宇津帆に保護されていたが、実は宇津帆は売春組織のメンバーでもあった。しかも宇津帆はヒナコに性的虐待を繰り返していた。宇津帆のキャラクターがいかにも小物で、しかも仲間も頼りない上にそれほどキャラクターが立っていないので、少々物足りない展開が続く。
たまたま、仕上がったチラシを届けに行った佐藤はそこで宇津帆と出会う。なんとそれは四年前ターゲットにしていた男たちの一人で、この男だけ殺していなかった。四年前、ヒナコを乗せていた車の運転手の男は宇津帆の弟で、以来ファビルを仇として探していた。
そんな時、佐藤が務める店の同僚の男性を拉致して金にしようと宇津帆が計画を練る。拉致されるところを目撃した佐藤は鈴木に24時間以内に返せと脅すが、宇津帆の仲間は、拉致した後、誤って殺してしまった。鈴木は佐藤に異様なものを感じ、その住処を探すうちに、妹として暮らすヨウコの部屋を見つける。しかし、その部屋へ行ったもののヨウコに返り討ちにされ拉致される。戻ってきた佐藤は鈴木を釈放してやるが、彼こそファブルだと鈴木は宇津帆に伝える。かなり強引な展開である。
宇津帆は佐藤に復讐をするべく計画を立て、ファブル=佐藤を呼び出す。ここからの派手なアクションシーンは、スローモーションや細かい編集で繋いでいるところもあるもののなかなか面白い。逃げた宇津帆らを追ってヨウコが向かうが途中で捕まってしまう。宇津帆はヒナコにヨウコを撃つように命令するがヒナコは宇津帆を撃つ。宇津帆は防弾チョッキを着ていたので問題なかったが、そこへファブルが駆けつける。ところが、宇津帆が仕掛けた地雷をヒナコが踏んでしまう。ファブルは鈴木にユンボを持って来させ、タイミングを測ってヒナコを助ける。しかし、宇津帆は、自ら撃ち殺すように仕向ける仕草をし鈴木に殺される。この宇津帆の心理状態が全く描写されていない。まさに、適当に作った感満載の場面。
死体を埋めて、物語は終焉に向かう。ヒナコは、佐藤のアドバイスを守って半年後には歩けるようになるという内容の手紙を佐藤に託す。こうして映画は終わっていきます。
毎度のことながら、めちゃくちゃ強いけれどとぼけたキャラクターのファブルに楽しませてもらえるし、アクションシーンも飽きずに見れるし、悪人側が弱いので映画が膨らんでこない上に、悪人たちの人間描写ができていないために話がペラペラになってますが、2時間以上全然退屈しなかったのでいいとしましょう。