くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

「科捜研の女 劇場版」「ベイビーわるきゅーれ」

科捜研の女 劇場版」

期待もしてないけど、後輩沢口靖子のために見にきた感じですが、これがまた面白かった。20年を超える長寿テレビ番組が初めて映画化という流れの理由がわからないほど面白かった。完璧な勧善懲悪で、味方側に悪者は一人も出ないこと、敵側が悪者であって、どぎつくないこと、何処までがフィクションか分からないほどスピーディな科学捜査映像の畳み掛け、娯楽の王道としての作り方が徹底されている。これが人気の秘密なのでしょうね。今の映画スタッフは勉強しないといけないと思います。監督は兼崎涼介。

 

科捜研のキャストの紹介を手際よく流し、カットが変わって、風丘教授の研究室の窓の外に一人の女性研究員が転落する場面から映画は幕を開ける。そして、その転落が事故か自殺かあるいは殺人かという流れから次の犠牲者が出る。次々と繰り出される科捜研の調査の流れがものすごいハイスピードで展開、間も無くして海外でも同様に転落事故が続く。

 

捜査線上に上がったのは、ダイエット菌と言われる画期的なダイエット法を研究する加賀野教授らのチームの存在だった。しかし、ダイエット菌が自殺する原因となるかどうかの決定的証拠が見つからないまま、主人公マリコたちは、更に次の段階へ分析を進める。この間断のないテンポが実に小気味良い。そして息をもつかせぬ流れと、軽いボケツッコミを繰り返しながら、その真相に迫る中、マリコも殺人のターゲットとなる。

 

マリコのあっけに取られるラストの大芝居を笑う暇もなく、一気に真犯人が暴かれ、加賀野教授の被験者となっていた大学院生が逮捕される。途中のフェイクで出てくる湊准教授もどこ吹く風で、映画は終盤へ進む。そしてエピローグも決して悪人は出て来ない。これで良い。これが娯楽映画の醍醐味です。見終わって気持ち良く劇場を出るのが一番です。楽しかった。

 

「ベイビーわるきゅーれ」

面白いという評判で見にきました。非常にチープな空気感の漂う映画ですが、散りばめられた小ネタがしっかりしてるし、締めるところはちゃんと引き締めている演出が上手い。こういう才能は、キャストもスタッフも育てていかなければいけないと思える一本でした。監督は阪本裕吾。

 

茶髪の女子高生まひろがバイトの面接を受けている。突然切れて、店長を撃ち殺し、店に出てきて向かってくる店員を倒して気がつくと、それは幻想で、店長に採用見送られて帰ってくる。帰ってくると同居人のちさとが待っていて、うだうだの会話。時は数ヶ月前に戻る。実は彼女らは女子高生でプロの殺し屋で、この夜も一人の中年男性を殺して巧みにゴミ箱に隠して何事もなく夜の街へ。しかし、殺された男はヤクザの組員で、組長の娘浜岡ひまりが、殺し屋を探し始める。二人目のターゲットに向かったちひろが捕まり、ひまりらにはめられる。ここのシーンだけ意味がわからない。

 

殺し屋の上司から、卒業後はルームシェアして殺し以外に普通の仕事のつくように指示される。どこか馬の合うような合わないような二人が同居生活を始める。人当たりのいいちさとはすぐにバイトを決めるが、コミ障のまひろはなかなか決まらない。ちさとと一緒にメイドカフェのバイトの面接に行くが、ちさとは決まるがまひろは帰ってくる。

 

ある日、ちさとのバイト先に浜岡の組長らが今時ビジネスを見ると言い出してやってくる。しかしすぐに切れてしまってメイドたちに乱暴しようとしたところでちさとが反撃し撃ち殺してしまう。死体処理を任せて家に帰ると、色々迷惑をかけてとまひろがちさとに謝る。そこへひまりから連絡が入る。ちさとはまひろに助っ人を頼み、ひまりら浜岡組の待つところへ向かう。そして派手にバトルした後ひまりらは全員ちさとらに殺される。殺しの上司が、二人のこれからの話をし、二人は変わりなく部屋のソファでうだうだして映画は終わる。

 

スターも出ていないいかにもチープな空気感が漂うが、ちさとたちがあくまでプロであると言うところを見せる細かい演出が行き届いているし、浜岡の組長の奇妙にクソ真面目な一方で世間知らずのキャラクターも笑える。そのほか小さな小ネタを無駄にせずに散りばめられている脚本も面白い。決して傑作とは言わないけれど、才能がうかがえる一本だと思います。