くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ディナー・イン・アメリカ」

「ディナー・イン・アメリカ

これはなかなか面白かった。一見、よくあるお話のようで、見ているとどんどんオリジナリティが見えてくる。三つのディナーシーンを画面の区切りにして、主人公たちが少しずつ変化していく様が面白い。しかも、しっかり青春映画として仕上がっているのも良い。掘り出し物でした。監督はアダム・レーマイヤー。

 

治験者としてでしょうか、一人のいかにもパンクな男サイモンが、食堂らしいところで食事をして悪態をついている場面から映画は始まる。斜め向かいにいる女性が挑発的な視線を送る。バイトのようなものだったらしく、思うほど金をもらえず文句を言ったサイモンが外にデリとさっきの女性がいる。その女性に誘われるままにその家に行くが、いかにも上流階級的な物言いばかりする家族に悪態をつき、女性の母親に誘惑されて乗ってしまって逆に家族から罵られ、腹いせに家の前の植木に火をつけ、ガラスを割って外に飛び出し逃げる。

 

ここに、うだつの上がらない一人の女性パティがバス停にいると、胡散臭い若者二人がからかってくる。バイト先でもいいように使われ、結局首になる。家に帰るとまた次の仕事を探さないといけないが、大好きなパンクロックグループ「サイオプス」の曲を聴いて自慰をし、それを写真に撮って大ファンのグループのリーダージョンQにファンレターを出す。

 

一方、サイモンは元々警察から賞金をかけられている上に、先日の騒ぎで警察から目をつけられていて逃げ回っていた。たまたま、逃げている途中で、昼休みで路地で座っていたパティと出会う。そしてパティの家に匿ってもらうことになり、ディナーを共にする。

 

サイモンはパティが首になったバイト先に未払いの給料をもらいに行ったり、パティをからかう青年二人を懲らしめたりする。パティは週末に行われるサイオプスのライブに行きたかった。リーダーのジョンQはいつも覆面をしていたので、まさかサイモンが本人とは知らなかった。サイモンとパティは言い争いながらも次第に惹かれている空気が漂い始める。

 

そしてライブが近づいた日、一軒の邸宅に忍び込んだサイモンとパティだが、実はサイモンの実家だった。そこでサイモンは自分がジョンQだとパティに告白する。そして、パティが送ってきたファンレターに書かれた詩に曲をつける。それはサイモンも驚くほど素敵なラブソングだった。そしてサイモンの家族とのディナーを過ごす。

 

そしてライブの日、パティはサイオプスの舞台を見つめている。しかし、プロデューサーは、大赤字だからと悪態をついていた。突然いなくなるリーダーに愛想をつかせていたバンドメンバーはサイモンに警察の懸賞金がかかってることをプロデューサーに教える。サイモンは駆けつけた警官に逮捕されてしまう。突然のことに戸惑うパティ。収監されたサイモンは刑務所内で作曲を続け、今やパティは積極的な少女に変わり、パティが作詞した曲が流れて映画は終わっていく。

 

スラングばかりで悪態をつくサイモンが、次第にミュージシャンの顔をしてくる展開と、内気で取り柄のない少女パティが次第にパンクになって活動的になっていく展開が次第にラストでまとまっていく流れがとっても素敵な一本で、表現は少し違うかもしれないけれど、ピュアな青春ラブストーリーとも言える映画でした。