くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「結婚のすべて」「日蓮と蒙古大襲来」

「結婚のすべて」

機関銃のような台詞の応酬でテンポ良く見せていく快作という感じの一本。デビュー作らしいやりたい放題のシーンの連続で、若干鼻につくところもあるけれど、時代を思い切り全面に感じさせるバイタリティは見事なものです。岡本喜八監督第一回作品。

 

新劇の役者をしている康子がタクシーで乗りつけた兄の結婚式。すでに式は終わっていて、姉で、日本女性の鏡のようにしとやかな啓子と三郎らの姿と結婚の考え方に反感を持つ。こうして映画は始まり、康子が結婚論を機関銃のように語りながら、様々な周辺の物語が展開していく。

 

康子は、バーでバイトする浩との結婚の議論に夢中になりいつの間にか恋愛感情を持ってしまう。見合い結婚で平穏な毎日を送る啓子夫婦を蔑みながら自分は突っ走っていく。一方啓子も、今の現状に何か物足りなさを感じ、康子に紹介された雑誌の編集者古賀の申し出に応えようとついに決心、古賀に様々なところへ連れまわされるが、結局、後一歩のところで思い直す。

 

浩は男一人に女一人という考え方に疑問を持ち、康子の前でも平気で別の女とキスをしたりする。そんな浩を受け入れられない康子は、思いの丈を話したく啓子の家を訪ねるが啓子は古賀と出かけていた。そこへ帰ってきた啓子は、夫三郎の優しさに絆され、本当の夫婦の関係を再認識する。そんな啓子と三郎の姿を見た康子は、父の会社の青年と見合いをする決心をし、その青年を会社に尋ねて二人で議論を戦わせて街を歩いて行って映画は終わる。

 

とにかく、台詞の応酬がみのすごいスピード感とテンポで物語を引っ張っていく。台詞の内容にこだわると、時代色が出過ぎて鼻につくが、テンポだけ感じ取ってみていくと実にバイタリティあふれる映画であることがわかる。さすがにデビュー作らしい一本だった。

 

「日連と蒙古大襲来」

典型的な歴史大作で、冒頭にコメントが入る通り、史実を元にして大胆に脚色した物語ということで、エンタメとして仕上げた映画でした。間延びした前半と、クライマックスのスペクタクルシーンが、それなりにまとまった普通の映画でした。監督は渡辺邦男

 

叡山での修行を終えた若き日の日蓮だが、修行が明けた途端、法華経を唱え、今までの仏法を否定するかの発言で、時の地頭らの反感を買い追われる身となる。しかし、時の政権鎌倉幕府の権力争いを予見し、いずれ来る他国からの侵略を予知した彼の説法はみるみる庶民に広がっていく。しかし、日蓮の存在を恐れる鎌倉幕府の権力者らは何かにつけて日蓮を迫害する。

 

やがて、幕府の権力争いの中北条時宗が執権となる。彼は日蓮の訴えを認めるが、上層部は日蓮の言葉を執権へ伝えることをせず、日蓮を亡き者にせんと企む。しかし、やがて蒙古軍が博多に迫って来る。時宗日蓮を無罪とし、全軍を挙げて蒙古軍に臨む。日蓮の必死の祈りが届いたのか、三日目にして台風が蒙古軍を襲い、蒙古軍全軍は大破、無事国難は去る。こうして映画は終わる。

 

ラストのスペクタクルはさすがに力が入っていて見応え十分ですが、全体はかなり雑な流れで見ていてしんどい。娯楽大作の典型的な普通の作品という感じの映画でした。