くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「夢の涯てまでも」(4Kレストアディレクターズカット版)「東京画」(2Kレストア版)

「夢の涯てまでも」

前半の美しい画面と構図、そしてキレのある演出に大傑作の予感を感じたけれど、オーストラリアに着いてからの目標の見えない混沌とした間延びした展開に、結局、何を描きたかったか理解できずに終わってしまいました。長すぎますね。それが印象です。監督はヴィム・ヴェンダース

 

時は1999年、インドの核衛星が軌道を外れ、人類滅亡かと思われる危機が訪れていた。クレアがベッドで目覚める場面から映画は始まる。赤を基調にした画面がまず美しく、車で出かけるが、途中、追い越した車から空瓶を投げられフロントガラスが割れて事故を起こす。その車に乗っていたレイモンドとチコは、ニースで銀行強盗をしてきたといいクレアに大金を見せてそれをパリまで運んでくれと仕事を依頼する。気のいいチコはドラマーでもあった。

 

三割の報酬を約束されたクレアはその金を持ってパリへ向かう。鞄には追跡装置がついていてチコは常にクレアの居所が把握できていた。クレアはたまたまトレヴァーという一人の男と出会う。クレアはその男に惹かれ、彼を追い始めるが、彼の影には何者かが跡をつけていた。クレアはトレヴァーに運転してもらいパリを目指すが、途中眠ってしまい、トレヴァーに金の一部を盗まれる。

 

クレアは元恋人で作家のジーンに会いに行き、トレヴァーを捜索すべく行動を開始、探偵のウィンターの力を借りてトレヴァーを見つける。トレヴァーの正体が、オパールを盗んだ泥棒か、はたまた最新テクノロジーを盗んだ産業スパイか、謎を秘めて行方をくらますトレヴァーを追うクレア。実は彼は父ヘンリーが開発した盲人にも映像を見せることができる装置のために画像を収集していることを知る。さらに本当の名前はサムと言った。

 

クレアはサムを追ってモスクワ、北京、日本へ向かうがそこで盲目になったサムを発見する。映像を記録するカメラは視覚に極端な負担を強いるものだったのだ。日本で、薬草で視力を回復したサムはクレアと共にアメリカに渡る。そこでチコと再会し、サムの両親が研究しているオーストラリアへ向かう。

 

ところがオーストラリアに着いてすぐ、核爆発の影響で電子機器が全てダメになってしまう。必死の思いでサムの両親が避難して研究している先住民の洞窟のような施設にたどり着く。途中、ウインターとジーンも追いつき、サムが保存していたデジタル媒体で最後の研究に臨む。目の見えないのはサムの母エディスだった。早速、サムの記憶からエディスへの転送実験を開始するがうまくいかず、唯一クレアが撮っていた映像の転送が成功する。

 

ヘンリーたちはさらに鮮明な映像を転送するべく実験を続ける。やがて1999年の暮れ、結局、核衛星は大気圏外で爆発し、人類は21世紀を迎える。しかし、体に負担がかかったエディスは21世紀を待たずに死んでしまう。しかし、ヘンリーたちはさらに研究を進め、夢を具現化することに成功するのだが、それはクレアにもサムにも麻薬のような中毒状態に陥ることになる。

 

廃人同様になったクレアをジーンが救出、サムは先住民の男が連れ出す。ジーンは、作家活動を続け、これまでのことを小説に書き続けていた。自分の夢を映像化して見るビデオの電池がなくなったクレアは泣き叫ぶがまもなくして深い眠りにつく。一方のサムも、先住民の族長のもとで深い眠りにつく。

 

そんな頃、ヘンリーはアメリカのヘリコプターに救出されていた。目が覚めたクレアはジーンと共にかつての研究所へ行く。一方のサムもその時間に研究所内を訪れていたが会うことはなかった。ジーンとクレアの恋は蘇ることなく友達としてその後も関係を続ける。サムはかつての家族が今や自分とは離れた存在だと知る。こうして映画は終わっていきます。

 

オーストラリアまでが時間の半分を占めるがそこまでは非常にキレが良い。ただ、日本での場面はほぼドタバタ劇に見えるのがなんとも言えない。後半から終盤はしんどいだけで、前半のお金のことなどどこ吹く風になるし、何のための長尺ドラマかと思ってしまいました。

 

「東京画」

小津安二郎に捧げたという感じのドキュメンタリーで、1983年ごろの東京の景色を捉えながら語る映画です。監督はヴィム・ヴェンダース

 

東京物語」のオープニングから映像が始まり、小津安二郎の思い出や、小津安二郎亡き後の東京の姿が淡々と語られていきます。そして、「東京物語」のエンディングでこの作品も締めくくられます。普通の作品という印象でした。