くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」

「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ

なかなか良質の作品ですが、登場人物の関係性が理解できずに困りました。主人公ビリーと彼女が慕ったジミーの物語を中心に流れているようですが、メッセージの中心になる「奇妙な果実」の曲の存在がちょっとぼやけてしまって、それもストーリー把握の障害になってしまいました。でも、良い映画でした。監督はリー・ダニエルズ

 

1957年、ビリーがインタビューを受けている場面から映画は始まり、十年前に遡る。黒人リンチを禁じる法律が議論されているが未だ成立に至っていない時代、人種差別に反対するかのような内容の「奇妙な果実」と言う曲に政府は神経質になり、歌っているビリー・ホリデイに圧力がかかっていた。それでもクラブで歌おうとして警官に逮捕されてしまう。

 

さらに麻薬捜査局のアンスリンガーは不起訴になったビリーを捜査官ジミーを使って、ビリーの麻薬常習者の証拠をでっち上げさせ逮捕しようとする。まんまと罠にかかってしまったビリーは刑務所に送られる。やがて出所してきたビリーだがクラブでの歌う許可を取り消されていた。「奇妙な果実」を封印してカーネギーホールでの復帰コンサートは大盛況だったものの、その後クラブで歌えず悶々としていたが、政府高官にコネの効くレヴィの力で、クラブ出演を始める。

 

一方、アンスリンガーの指示で捜査をしていたジミーだが、所詮黒人として道具程度にしか使われていないことに気が付き、法廷でビリー側に有利な証言をした上、次第にビリーに寄り添うようになる。アメリカツアーを始めたビリーたちの後をジミーもついていくようになり、やがてジミーとビリーは心を通わせ始める。しかしビリーの体はボロボロになってきていた。この辺りのビリーと周囲の人物との関わりがくっきりと見えてこないので、混乱して来る。

 

映画は1959年、ビリー・ホリデイは亡くなったと言うテロップで大団円を迎えるのですが、ツアーの間の流れも、アンスリンガーからの陰謀などの展開も今ひとつ把握できず、全体に丁寧に作られた良い映画という雰囲気は見えるのですが、具体的なイメージができないままに終わった感じでした。