くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「TANG タング」「野球部に花束を」

「TANGタング」

なんともテンポの悪いストーリー展開と、登場人物を殺していく雑な脚本、何を見せたいのかわからない物語に、終盤退屈の極みで眠くなってしまった。一体、なんでこんな駄作の極みを作ったのかと思う映画だった。監督は三木孝浩。

 

近未来、研修医になり損ねたダメな主人公健は、妻で弁護士の絵美から、庭に転がっているポンコツロボットをなんとかしてくれと言われるところから映画は始まる。なんともゆるいオープニングだが、ここからどう展開するのかと一応微かな不安と期待で見ていく。

 

健は庭でポンコツのロボットを発見、対話してみるとタングという名前だという。健はそのロボットをスクラップ屋に引き渡そうとするがなぜかタングにうるうるされ、取り戻してくる。しかし、日頃の怠惰な健にうんざりしていた絵美は健を追い出す。

 

タングが有名なロボット製造会社の所有らしいと知った健はタングを九州のロボット会社本社へ持っていく。しかし、会社の所有ではないと言われ、そこでたまたま出会ったスタッフに、四川にいるロボット学の権威大槻のところへ行って直してもらうほうが良いと言われ、健はタングを連れて四川へ。

 

そこで、実はこのロボットを狙っている組織にタングは拉致されてしまう。健と大槻はなんとかタングを助け出し、タングの記憶から宮古島の馬場教授のところへ行くことになる。て、ここまでの登場人物である姉桜子や大槻の登場の意味はなんだったかという展開で、健とタングは宮古島に行き馬場教授にあっさり出会う。

 

でも、タングを追ってきた組織の男加藤は、実は馬場教授はタングの中のチップが必要なだけということで、馬場教授は悪者だと告げる。健は格闘の末馬場教授からタングを奪い返し、加藤の計らいで今後もタングを手元に置けるようになる。絵美に離婚を仄めかされていたが、家に帰って、心を入れ替える旨と再度医師を目指すことを告げ、ハッピーエンド。

 

全く、箸にも棒にもかからないゆるゆるに間伸びした作品でした。こんな映画作ってたらあかんやろという典型的な映画でした。

 

「野球部に花束を」

有名な俳優もほとんど出ていない低予算映画ですが、テンポが良いのと所々に胸に突き刺さるようなセリフなどが散りばめられて、ちょっとした快作でした。素直に笑えるし素直に感動できるし、素直に楽しめる一本でした。原田監督役に高嶋政宏が抜群に良い。監督は飯塚健

 

中学時代に野球をしていた黒田は高校入学と共にイメチェンして茶髪に染め、新しい学生生活をしようとしているところから映画は始まる。ところがクラスに野球部の勧誘が来て、黒田の周りにも中学時代から野球をしていた同級生たちが入部するにあたり、つい入部することになってしまう。そして、最初の歓迎会で坊主頭に剃られた黒田らは、今では信じられないような古風な上下関係や監督らの横暴のままに練習を始める。

 

監督役の原田が時折持ち出すさりげないセリフや行動がストレートに胸に迫ってくるし、今時の展開の中にどこか若者らしい行動とコミカルなストーリー、そしていつのまにかその規律の面白さに引き込まれてしまいます。これという物語はなく、高校野球の地区予選に出るのを最初の見せ場とし、結局敗退したものの、黒田らがやがて二年生になり、自分らと同様に入ってきた一年生に同様に接していく流れで映画は終わる。

 

そのストレートなやりとりやさりげない初恋なども交えた古臭くも爽やかすぎる青春の一瞬がテンポ良く展開していき、屈託なく笑えるし、エンディングがとっても心地よかったです。決して大傑作とは言わないまでも本当に気持ちのいい快作でした。