くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ローカル・ヒーロー 夢に生きた男」「ぜんぶ、ボクのせい」

「ローカル・ヒーロー 夢に生きた男」

掴みどころのないたわいにない映画なのですが、シンプルなストーリーと、ちょっとお遊びめいた小さな演出が独特の雰囲気を醸し出していて、不思議と愛着が湧く映画でした。監督はビル・フォーサイス

 

ポルシェを乗り回し、高給取りのマッキンタイアが、勤め先のノックス社へ出社するところから映画は始まる。ノックス社はスコットランドに石油工場建設のための膨大な土地購入の計画があり、この日も会議をしていたが、星にしか興味のない社長のハッパー氏は居眠りをしている。現地に社員を生かせることになりマッキンタイアが抜擢されるが社長は現地の星の様子を逐一報告するようにと勅命する。

 

マッキンタイアは、現地の人たちをまとめるマーカースと接触し、現地支社のダグと一緒に調査を始める。現地の村人は、大金が手に入るということで湧き上がっていた。ダグは海洋研究に来ているマリーナに恋心を持ったり、マッキンタイアはマーカースの妻に惹かれたりしながら、さまざまな人たちと接触していくが、海岸線の膨大な土地を一人の老人ベンが持っていることがわかる。ベンはノックス社創業者の一人だった。そして売る気はないと頑固に答える。

 

間も無くして、ハッパー氏がヘリでやってくる。そしてベンと意気投合し、工場建設の代わりにこの地は研究施設のために買い取ると変更する。そしてマッキンタイアに至急ヒューストンへ戻るように指示し自分はこの地に残る。ヒューストンに戻ったマッキンタイアの姿、そして連絡に使っていた現地の赤い公衆電話の音で映画は終わる。

 

どこか不思議でファンタジックな作品で、欠点だらけではあるけれども愛着のわく一本でした。

 

「ぜんぶ、ボクのせい」

暗転の使い方が実にうまい作品なのですが、脚本が甘いというか、とってつけたような展開で、登場人物がそれぞれ生かされていない上に、深みのある人物ではなく、表面的なセリフばかりが繰り返されるのは、流石にあんまりという仕上がりの映画でした。監督は松本優作。

 

一人の少年優太が何やら取り調べを受けている場面から映画は幕を開ける。施設で暮らす優太は母が迎えにくると信じて毎日送っていたが、いつまで待っても来ないので、施設を抜け出し母を探しにいく。辿り着いた先で母に会ったものの、母は男と一緒で、母の通報で施設の職員が迎えにくる。優太はその職員を振り切って逃げる。そしてとある浜辺を歩いているところで、軽トラで暮らすホームレス坂本に声をかけられる。そして坂本の元で泥棒のような暮らしを始める。

 

そんな坂本のところに親しくやってくる女子高生がいた。彼女は裕福な家庭ながら反抗的な毎日を送る詩織という名前だった。三人はそれなりに親しくなり、優太はほのかな恋心を持つ。そんな中、坂本の車に近所に不良たちが悪戯をするようになる。さらに坂本は何やら悪い咳をするようになる。

 

ある時、優太は浜辺で詩織の絵を描いてやっていたが、一人車で寝ていた坂本は、車が火をつけられたのに気がつく。しかし、血を吐いたこともあり、坂本は火の中でじっと死を待つ。騒ぎの現場に戻ってきた優太は坂本の死体を見る。絶望して母の元へ行くが母は男に抱かれていた。行き場もなく海に入って行ったが、そこへ詩織が駆けつける。二人は焚き火を焚き、このまま眠って明日の朝まだ生きていたら一緒に坂本が行きたがっていた名古屋に行こうと約束をする。

 

翌朝、詩織と優太は目を覚まし、二時間後駅で待ち合わせすることを約束して別れる。駅で待つ詩織、優太が駅にやってくるが、待っていた警察に逮捕されてしまう。詩織はヘッドフォンをしていたので気が付かない。そのまま取調室、優太は、みんなボクのせいだと刑事に話して映画は終わる。

 

そもそも、ストーリーがメチャクチャである。施設の職員は優太に逃げられて放っておいたのか、なぜ刑事は優太を犯人にしたのか、そもそも優太は坂本と親しくなる理由の具体的なものもない。詩織の反抗は単に甘えているだけにしか見えない。一つ一つが実に安易な作りの作品で、セリフで言いたいことを説明はするものの中身が伴わない。暗転が上手いのだが、逆に暗転で誤魔化したように見えてしまう。描きたいものはなんとなく伝わるのだが、力不足の演出と脚本に撃沈した感じの映画でした。