くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「沈黙のパレード」「アナザー・カントリー」HDニューマスター版「ブロークン・ジェネレーション」

「沈黙のパレード」

この手の映画にクオリティを求めてはいけないけれど、このシリーズのお決まりシーンと展開を無視したために、平凡なサスペンスドラマになってしまった。そもそも、ミステリーが破綻した出だしから、あとはひたすら、物語を語るだけになっていて、登場人物の心の機微も、湯川教授の推理ドラマの面白さも全くない出来栄えでした。監督は西谷弘。

 

町内のお祭りでしょうか、今からのど自慢大会が始まるということで一人の女子高生佐織が歌うところから映画は始まる。彼女の歌声を聞く審査員の新倉夫婦の目を惹き、まもなくして佐織は新倉の指導で歌手を目指す。ところが、佐織が行方不明となり三年後、蓮沼という男の実家の火事現場から遺体が発見される。かつて一人の幼い女の子が殺害される事件で、蓮沼という男が逮捕されるが、終始沈黙を守ったために結局無罪にしてしまった草薙刑事は、再び、蓮沼を逮捕しようとするが、今回も釈放せざるを得なくなる。

 

ところが、しばらくして蓮沼の遺体が発見される。内海刑事は湯川に助けを求める。一方、佐織の両親の食堂の常連だった湯川は、佐織の両親に嫌疑がかかるのが目に見えていることから、蓮沼殺害事件の謎に首を突っ込み始める。そして、湯川の立てた仮説は、蓮沼が寝ている物置の部屋を密閉して液体窒素で酸欠を起こさせるというものだった。全く今回は無理矢理感満載で本編がスタートする。

 

やがて、佐織の両親並木夫婦だけでなく、彼らの友人ら全てが建てた計画だというのが見えて来るが、そこで、新倉直紀が、自分が液体窒素を使って殺害したと自首して来る。しかし、湯川は、新倉直紀の妻留美が、歌手を辞めるという佐織と言い争いになり、つい佐織を殺してしまった真相を見つけ出す。しかし、実は留美は佐織を殺していなくて、その事件を隠して後々揺すろうとした蓮沼が、佐織の体を実家に連れ去る際に、目を覚ました佐織を殺害したことが判明する。こうして事件は収束へ向かう。

 

ほとんどが湯川が語る物語のみという絵作りなのでかなり退屈だし、物理学を使ったSF的奇抜なシーンが今回はない上に、お決まりの計算式を書く場面もないので全体が普通のサスペンスドラマで終始してしまった。犯人たちの人間ドラマも、過去の少女殺害事件についてもエピソードのみで、嫌なジャーナリストの登場も、佐織の恋人の存在も無意味、とにかくキレの悪い雑な映画でした。

 

「アナザー・カントリー」

とってもクオリティの高いいい映画なのですが、ストーリーがあまり知識のない分野ゆえ、なかなか入り込めませんでした。特に冒頭のモスクワのシーンの意味が映画を見ているだけでは理解しにくかった。監督はマレク・カニエフスカ。

 

1983年モスクワ、一人の女性がある建物にやって来る。出迎えたのは車椅子の老人で、彼は祖国イギリスを裏切りロシアに亡命しているスパイだった。そして老人は、なぜスパイになったのかを語り始め1930年のイギリスの話となる。

 

大学の寮だろうか、ベネットは、共産主義の勉強をしているジャドと親しく付き合っていた。ジャドはブルジョア主義を貫くベネットと考え方は違ったがなぜか気が合っていた。最終学年を迎え、寮の中では、幹事や最終的に寮の代表となることが将来の出世につながる中、権力争いが行われていた。

 

ベネットは寮では目立つ存在だったが、追悼礼拝式で、別寮のハーコートという美少年に恋してしまう。そんな頃、ベネットの寮の学生が同性愛の現場を見つかり自殺してしまう事件が起こる。この事件で寮内は不穏な空気が漂い、寮の責任者バークレイ、さらにデラヘイは与えられた特権で横柄な態度が目立ち始める。軍国主義者のファウラーは、ジャドやベネットのような異端者が許せず、とうとうベネットの同性愛の証拠を掴んでしまう。

 

プライドを傷つけられ、将来の出世も無くなったベネットは、スパイ活動への道を進んだという流れなのだろう。再度モスクワのシーンになって、ジャドは、戦地で亡くなったと言って映画は終わる。

 

映画は非常にクオリティの高い美しい作品で、全体から漂う英国の気品と対する学生たちの俗っぽい権力争いが対照的で、なかなかの映画でした。

 

「ブロークン・ジェネレーション」

完全なB級の青春映画という感じで、映画の出来栄えは普通という感じの一本。若き日のチャーリー・シーンの作品です。監督はペネロープ・スフィーリス。

 

さまざまな殺人鬼の説明が描かれて、映画はロイとびボーの高校の卒業式の日、ボーが地面に寝転がり、死体の跡を示す白い枠取りをロイがしている場面から始まる。二人は親友だが、そのやることは周囲の学生たちから嫌われ、卒業式の後のジョーらのパーティにも招待されなかった。それでも勝手にパーティに行ったボーとロイは結局追い出される。

 

二人は車でロサンゼルスへ向かう事にするが、途中のガソリンスタンドで、気に入らない店員をリンチにしてしまう。その事件に刑事が乗り出す。続いて、ゲイバーで誘われたゲイを殺してしまい、そのまま逃走。続いて誘われた女の部屋で、ロイはまたその女を殺すが、車が警察に発見されショッピングセンターへ逃げ込む。ロイはますます異常になってきて、そんなロイをボーはとうとう撃ち殺して警察に捕まってエンディング。

 

なんとも言えない、普通の、切れた若者たちのメチャクチャ映画でした。