くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ドライビング・バニー」「ダウントン・アビー 新たなる時代へ」

「ドライビング・バニー」

何の解決もないままのアンハッピーエンドの映画。さすがに辛いですね。ストーリーの構成は面白くできているけれどラストはもうちょっと練って欲しかった。結局主人公のバニーが悪くなかったのだと言いたいけど、周囲に潰されて終わり。トーニャは逃げたけれど、おそらく先は全く見えない。これはどうなんだろうという映画でした。監督はゲイソン・サバット

 

通りで車の窓ガラスを掃除して小遣い程度を稼いでいるバニーの姿から映画は始まる。役所にいると保護師のアイリンに付き添われて娘のシャノンとルーベンを見かけて声をかける。のちにセリフの中で説明されて来るのですが、バニーはDVの夫から子供を守るために夫を殺し服役していたらしい。子供と一緒に住めないため、子供たちは里親に預けられている。当然、接触もできない。

 

アイリンからは、ちゃんとした住居が見つかれば子供を引き取ってもいいと言われているが、仕事も見つからず、妹の家に居候しているバニーにはアパートも見つからない。シャノンにはもうすぐ来る誕生日までに引き取るからと約束する。というより、そもそもこのバニー、少々、普通とずれている風が見え見えで、これで普通に部屋が借りれたり仕事が見つかるとは思えない。そこがまずこの映画の破綻している所以でしょうか。

 

妹の家で暮らすものの、住居を決められるように妹は力添えしているが、バニーは従わないのだから、こんな勝手な女はいない。妹の家のガレージを住居にしたいと申し出、妹の夫のビーバンも承知したので、ガレージの整理をしようとしたところ、たまたまガレージの車の中でビーバンが義理の娘トーニャに言い寄っている現場を見てしまう。トーニャが性的被害を受けていると判断したバニーはトーニャを助け出すが、ビーバンの怒りをかって追い出されてしまう。妹にことの顛末を説明しても、結局妹はビーバンの機嫌を取るばかりでトーニャを信じてくれなかった。

 

追い出されたバニーは同じ清掃の仕事をしている仲間の家に転がり込み、たまたまその家族が不在の時に、アイリンを呼んで、ここが新しい自宅だと嘘を言ってしまう。そこへたまたま家族が忘れていたケーキを取りに帰って来て、バレたものの口裏を合わせてくれる。みんな帰った後、後悔したバニーは持って出なかったケーキだけ貰ってその家を出、ビーバンの車を盗み、途中でトーニャを拾って逃亡する。そして、以前、不動産屋に案内してもらっただけのマンションの部屋に住むが、翌朝、新たに案内して来た不動産屋と鉢合わせ、また出て行かざるを得なくなる。シャノンたちに会いたいバニーは、里親に所へ勝手に行き、結局、追い返されてしまう。とにかく自分本位の女である。

 

バニーはトーニャと役所に行くが、里親を訪れたことが原因でシャノンたちは別の里親のところに移されたことを知る。何とか行き先を見つけたバニーは、ホームセンターで誕生日グッズを大量に万引きし、子供たちの新しい里親を管轄する役所へ出向くが、怪しいと思った職員が警察に通報、バニーたちは役所に立て篭もる。

 

警察が取り囲む中、バニーたちだけで誕生日会をする。人質になった女性職員はバニーが一方的に悪いわけではないと判断し、シャノンたちと電話で話させてやる。この展開もかなり雑である。そのあと、バニー、トーニャ、女性職員が投降すべく表に出るが、バニーは最後に車のキーをトーニャに渡した瞬間、武器と思われてバニーは肩を撃たれる。

 

救急車で搬送されるバニー、ビーバンの車に乗って何処かへ逃げるトーニャのシーンで映画は終わりますが、この先、二人に明るい未来があるとは言えません。その微かな希望をどこかのショットで挿入していたらとってもいい感じの映画に仕上がった気がしますが、そこがこの映画の脚本の弱さでしょうか。ストーリー展開は決して退屈しないのですが、どこか未完成の作品でした。

 

ダウントン・アビー 新たなる時代へ」

今回も、登場人物の関係や名前はほとんど把握できなかったけれど、ストーリーはとにかくおもしろくて全然退屈しないし、ラストは素直に涙が出て感動してしまいました。監督はサイモン・カーティス

 

大婆様バイオレットにフランスのクローリー家のヴィラが譲られるという話が起こる。通常の相続人以外の人物に渡るということで、ちょっと不穏な空気になるが、息子のグランサム伯爵たちはフランスのそのヴィラにバカンスに行き確かめて来るということになる。折しも、屋敷で映画を撮りたいという話が舞い込む。屋敷の修理費用も必要ということで恐る恐る承諾、まもなくして大スター二人を従えて撮影隊がやって来る。

 

映画は、大婆様の若き日のロマンスの真実と、撮影隊と屋敷の人たちとのドラマ、さらに、大スターの苦悩などを織り交ぜて展開する。特に人物の名前がわからなくてもそれぞれの話が実にわかりやすいのはさすがに上手い。

 

撮影は終わり、大婆様の過去のロマンスも、あくまでロマンスだけだったと分かるが、しばらくして、大婆様の最後がくる。子供や孫らに看取られながら大婆様は亡くなり、葬儀の後、新たに子供が生まれて映画は終わっていきます。

 

たわいのないドラマですが、いわゆる、イギリスの上流階級の家族の大河ドラマという感じの作品で、前作同様話が実に面白い。テレビドラマの映画版と侮るなかれといえる一本でした。