くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「バビロン」(1980年版)「キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」

「バビロン」

レゲエムービーということなのでほとんど理解できなかったが、極端な黒人差別の中、音楽にのめり込む若者たちの姿というバイタリティは感じることができた。監督はフランコ・ロッソ。

 

サウスロンドンに住む青年ブルーは、整備工として働きながら、夜は地元クラブでDJとして活動している。仲間たちはガレージに集ってレゲエ音楽に身を捧げているが、周囲の白人らからの迫害は極端に激しく、その露骨さは常識を超えている。

 

サウンドシステム競技を勝ち抜いたブルーらは強敵ジャー・シャカとの決勝戦を前に心躍らせているが、何者かにガレージが破壊され、中の機材はバラバラになり。ブルーはとうとう切れてしまい、白人の一人を刺し殺してしまう。クラブで絶唱するブルーのところに警察が踏み込んできて映画は暗転、おわっていきます。

 

全編レゲエ音楽に彩られた作品で、人種差別のるつぼと音楽の融合したバイタリティ溢れる一本でした。

 

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱」

制作側の偏りが前面に出た作品で、見ていてかなり気分が悪い映画でした。特に後半、原爆からネバダの核実験、そしてチェルノブイリまで出てきた時点でゲンナリです。キュリー夫人の偉大さを素直に描けば、演じたロザムンド・パイクの個性が際立って面白い作品になったろうに、そこは置いといて、これが言いたいんですという押し付けが堪らなく嫌な映画です。映像もテクニックに走るだけの作りもちょっと安直すぎる映画でした。監督はマルジャン・サトラピ

 

1934年、研究をしている老年のマリ=キュリー夫人が倒れる。病院へ搬送される中で、回想して映画は始まる。時は1894年、後の夫になるピエールと路上ですれ違って出会う。研究室の文句を言って部屋を追い出されたマリは、ピエールの好意でピエールの研究室に入り、共同で放射性物質の研究を始める。間も無くして、ラジウムを含め二つの新元素を発見、キュリー夫妻の名前は一気に世界に知れ渡り、ノーベル賞を受賞することになる。

 

ところが、ピエールは病に犯され、さらに弱った体で事故にあって他界してしまう。キュリー夫人は、心の拠り所を失い、思わずすがったポールと関係を持って、世の人たちからパッシングを受ける。一方、ラジウムによる被曝で体も弱り始める。そんな彼女はノーベル賞の化学賞を受けることになり、長女のイレーヌは恋人と放射性物質の研究に入る。映画は、キュリー夫人が搬送されるカットと研究の日々、そして彼女が発見した放射性物質による広島の原爆投下、ネバダ州での核実験、さらにはチェルノブイリ原発事故まで描かれる。これがとにかくうざい。もちろん、がん治療のエピソードも描かれるのだが、非常に制作者の偏見が見え隠れする。

 

自身の発見を役立てるため、X線の機械を戦場に届ける活動をしたりする終盤の展開もあるのだが、ヒューマンドラマとしての描写はかなり少ないのがロザムンド・パイクを起用しているのに実に勿体無い。そして、搬送された病院で亡き夫に寄り添われて亡くなってしまう。こうして映画は終わる。

 

恐ろしいほどの偉人であることに変わりはなく、そこをまず真摯に描くべきだったのではないだろうかと思うのは一映画ファンとしての意見です。今の時代、キュリー夫人は単純な偉人として描けないのかもしれません。