くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「百合の雨音」「殺し屋たちの挽歌」

「百合の雨音」

ROMAN PORNO NOWの三本目。目眩く女同士の恋物語を、映像を駆使して描いた小品と追う感じの映画。可もなく不可もなしの仕上がりはちょっと物足りないのですが、ロマン・ポルノらしいラブストーリーという感じの作品でした。監督は金子修介

 

真っ赤な傘、雨、百合の花とカメラがパンしてタイトル、そしてとある雑紙編集社の一室、葉月の同期が徹夜明け、社内で寝ている場面から映画は幕を開ける。編集長の妻である栞が、室長になったという噂話の中、葉月が少し席を離れて戻ってくると、編集長と同期がSEXをしている。葉月は高校時代、同級生の女子高生と恋仲になり、以来、時折女性と抱き合っている夢を見るようになっている。彼女は室長の栞に実は恋焦がれていた。

 

室長と編集長は、今や形だけの夫婦で、室長が子供を欲しいからと迫っても編集長はその気を起こさない。にも関わらず編集長はあちこちで不倫をしている。ある夜、得意先の付き合いで編集長と出かけたはずに栞だったが、雨に降られる。そこへ、傘を届けに葉月が現れ、そのままホテルに入る。葉月は憧れの栞とホテルに入ったことで、つい迫ってしまい、そのまま一線を超えてしまう。しかし翌朝、栞は葉月に冷たかった。

 

同期と恋バナをする葉月は、同期と編集長の不倫現場をたまたま見たことを告白する。葉月はそれからも栞と何度か体を合わせる。葉月は栞の企画した雑誌の一部を任されて、一人に青年に記事を依頼していたが、その青年が突然行方不明となる。そんな頃、葉月と体を合わせて遅くなった栞が家に帰ると、夫の編集長は突然、栞を抱く。その時のSEXで栞は妊娠する。

 

妊娠したという栞に葉月はショックを受け、別れるつもりでホテルを出る。葉月は同期のために、編集長に離婚を迫るが、それなら栞と葉月も別れたのかと問い詰められ、その証拠が欲しいと言われる。葉月は編集長を誘って、いつも栞といくホテルに行き、編集長に抱かれる。その帰り、車で送ってもらった葉月の姿を同期に見られる。交差点で泣きじゃくる葉月のそばにそっと栞が現れホテルに誘う。その様子も同期に見られる。

 

翌朝、社内メールに栞と葉月の関係が流れる。葉月の同期の女が流したもので、彼女は編集長に、栞との離婚を求めるが、編集長は、栞が妊娠したからと断る。二年が経つ。葉月は、行方不明になっていた青年と出会う。その青年は自分の母も女性を愛する人だったと告白し、母というのが、かつて葉月が恋した女性だったと告げる。2020年、葉月は子供を連れた栞と再会する。こうして映画は終わる。

 

淡々とひたすら目眩くSEXシーンを繋いでいく作品で、小品ながら綺麗な画面である。ただ、それ以上でも以下でもない仕上がりがちょっと物足りない気がします。ROMAN PORNO NOWの三本の中では二番目くらいの出来栄えだったかなという感じでした。

 

「殺し屋たちの挽歌」

なんともヘンテコな映画だった。主人公が誰かわからないままに、目的も見えず、ストーリーも見えない淡々と描かれるロードムービーでした。監督はスティーブン・フリヤーズ。

 

一人の男が丘の上のオブジェのそばで下を見下ろしている場面から映画は始まる。ウィリーら四人組が何にやら犯罪を犯すが、すぐに法廷の場面となり、ウィリーという男が証人喚問を受けていて、仲間を全て告発する。傍聴席にいた人らが、いつかまた会おうという歌を歌っている。そして10年が経つ。なんと、唐突なオープニングである。

 

スペインで隠れているウィリーが買い物から戻ると、家の中に四人の若者が待ち伏せていて連れ出される。そしてブラドッグとマイロンの二人の殺し屋のところへ連れていかれる。しかし若者たちは報酬の入った鞄に仕掛けられた爆弾で車ごと爆破される。途中ハリーという男のところに立ち寄り、たまたま出会したマギーという女を連れて、ウィリーらの元ボスコリガンが待つパリへと向かう。

 

映画は、ブラドッグ、マイロン、マギー、ウィリーの四人のロードムービーの形をとって、四人の中で繰り広げられるサスペンスタッチのやりとりを描いて行くが、ウィリーもマギーもいつでも逃げれるやろというような甘い流れで展開する上に、いつのまにかブラドッグの立ち位置が大きくなってくるので、一体ウィリーが主人公なのかどうか混乱してくる。

 

そしてスペインとフランスの国境についた四人だが、ブラドッグはここで皆殺しにすると言い出す。そしてウィリー、マイロンと撃ち殺すが、マギーに抵抗され、結局マギーは助けてやり、ブラドッグは車で去る。後を追ってきた警察のヘリがマギーを助ける。一方、変装してパリに入ろうと徒歩でやってきたブラドッグは、国境でマギーに見つかり警察らに撃ち殺されて映画は終わって行く。

 

一体なんなのだという映画である。その一言に尽きる一本でした。