くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「空の穴」「ブラックアダム」

「空の穴」

北海道でドライブイン食堂を営む不器用な三十過ぎの男の一時の物語を淡々と描く一本で、たいそうなドラマも展開するわけでもないが、カメラが素朴でなかなか良い。監督は熊切和嘉。

 

一人の女性妙子のアップから、彼氏がこの辺りで食事できるところはないか地元の人に聞いている場面になり映画は始まる。二人は、ドライブイン「空の穴」という店で食事をする。ガソリンスタンドで妙子がトイレにいる間に彼氏はさっさと車で去ってしまい、妙子は行き場を失う。市夫の父親はどさんこ競馬で旭川へ行きたいと市夫の車で出かけてしまい、市夫は一人になる。

 

妙子は仕方なくさっきのドライブインに立ち寄り食事をするが、市夫がトイレに行った隙に食い逃げしてしまう。その場は市夫が許すが、夜、目を覚ますと、近くにある小屋が燃えている。妙子が、焚き火をしてそばで寝ていたらしい。市夫は彼女を自宅に呼んでやる。翌日から、妙子は市夫の店を手伝うようになる。市夫は次第に妙子に心が惹かれ始め、妙子が男と喋っていると嫉妬してしまったりする。

 

夜、屋根に登り、満天の星にはしゃぐ妙子は、屋根から落ちて怪我をしたりする。部屋で見つけた8ミリフィルムを二人で見ていて、市夫の出ていった母親の裸が写ったフィルムを見つける。市夫は見ていられなくなり席を立つが、その続きのフィルムで、妙子は森の景色を見つける。

 

そんなある時、アザラシが来るという海岸に二人で出かけた際、妙子の元カレの赤いトラックを見かける。市夫は決着をつけると言って元彼に謝罪を要求するが、結局元彼は応じようとせず去っていく。海岸へ向かおうとした市夫たちだが、車が故障、仕方なく車を修理に預けて自転車で海岸に行くが、アザラシの死体しかなかった。

 

どこかギクシャクし始めた二人は、そろそろ実家に帰るという妙子に市夫が執拗に食い下がってしまう。そして、妙子を無理やり自転車に乗せて森の奥へ入っていく。そこはかつて8ミリフィルムで妙子が見た森で、市夫が母とりんどうの咲き乱れる場所で遊んだ所だった。ドライブインに戻った市夫は修理ができた車を取りに出ていく。妙子はどこへも行かないと言っていたが市夫が戻ると妙子はいなかった。水たまりに移る自分の姿をじっと見つめる市夫のショットが実に寂しげで美しい。まもなくして、競馬で儲けた父が戻ってくる。市夫は自分も旅に出てみたいと言ってドライブインを出る。いつも地面に落ちている登り旗を屋根の上につけ直して、フレームアウトして映画は終わる。

 

たわいのない映画なのですが、淡々としたドラマにどこか余情が漂う一本で、北海道の自然がさりげなく作品に色付けをしている感じがとっても良い映画でした。

 

「ブラックアダム」

無茶苦茶な脚本で、いくらこの手の映画ならなんでもありとはいえ、起承転結はしっかり捉えないとまとまりのない出来栄えになる感じです。それを承知で、まあ楽しめたから良いとしましょう。監督はジャウム・コレット=セラ。

 

カーンダックの王国、紀元前の世界から映画は始まる。悪魔の力を手にできる王冠を作るためにエターニティと言われる金属の発掘が進められていた。そして、その王冠は完成するが、阻止しようとするヒーローが誕生し、王国を破壊してしまう。そして現代、カーンダックの王冠を発掘するためにアドリアナらは遺跡現場にやってくる。しかし、ようやく見つけたかに思えたところへその国の軍隊が乱入、危険を察したアドリアナは、破壊神復活の呪文を唱えて、ブラックアダムを呼び出してしまう。

 

その脅威的な破壊力で、カーンダックの軍隊は蹴散らされるが、その危険を察知したJSAホークマンらはメンバーを揃えてカーンダックに向かう。そしてブラックアダムと対決するが、刃が立たない。そんな頃、アドリアナの仲間だったイシュマエルが実は悪人だったとわかる。イシュマエルはアドリアナの息子アモンを誘拐して、アドリアナが隠した王冠と引き換えにすると脅してくる。

 

ホークマンらは、ブラックアダムと手を組んでアモン救出に向かう。そしてすんでのところでアモンを取り返し、王冠も手元に残り、イシュマエルは死んでしまう。ブラックアダムはホークマンらに、自分の力を封じ込めるように依頼、ブラックアダムはJSAの地下深くに保管される。ところが、王冠に書かれた呪文を解いていたアドリアナらは、実は死してこそ生き返るのだとわかる。イシュマエルはカーンダックの王の末裔だった。

 

王冠を手にしたイシュマエルは、悪の王となりカーンダックの国を収めんと王座を目指す。ホークマンらはイシュマエルと戦うが刃が立たない。未来を見ることができるドクター・フェイトは、ブラックアダムを呼び覚まし、再度イシュマエルと対決させようとする。ドクター・フェイトはイシュマエルに敗れ、ホークマンらもピンチとなるが、目覚めたブラックアダムが立ちはだかり、見事イシュマエルを倒す。ブラックアダムはカーンダックの国を守るべく残り、ホークマンらは帰っていって映画は終わる。エピローグで、ブラックアダムにスーパーマンが話があるとやってきてエンディング。

 

たわいもないエンタメ映画はいつもの通りですが、そろそろ方向転換して、少しクオリティを考えた方がいいのではと思います。