くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「勇者たちの休息」「7月の物語」

「勇者たちの休息」

レマン湖畔からアルプス山脈を抜けて地中海へ至る大アルプスコースという自転車観光コースを走る人たちを描いたドキュメンタリーです。監督はギヨーム・ブラック。

 

一人の青年が自転車を漕ぐ姿を背後から捉えて映画は始まります。黄色のジャケット姿の青年の後ろ姿の周囲は溶岩質のような山肌が迫っている。この色彩演出がまず目を惹きます。あとは、大アルプスコースのチャレンジする老人たちの姿と、ツール・ドゥ・フランスのニュースアナウンスを背後に流して、ロードバイクを楽しむ人たちのさりげない映像を淡々と描いていく。

 

これと言うわけでもないのですが、挿入される会話シーンに癒され、自転車を楽しむ人たちの素朴な気持ちが伝わってきて、見ている私たちも自転車をやりたくなってしまう。そんな映画でした。

 

「7月の物語」

フランス国立高等演劇学校の学生たちと作った「日曜日の友だち」「ハンネと革命記念日」の二部構成の作品。監督はギヨーム・ブラック。

第一部「日曜日の友だち」

リュシーがバイト先でいやなことがあって階段の踊り場で悪態をついている場面から映画は始まる。同僚のミレナの誘いでパリ郊外のレジャー施設に遊びにいくことにする。そこで、一人も施設管理人のジャンと知り合うが、ジャンはミレナにぞっこんで、次第にリュシーはいづらくなってくる。そして、閉園後、カヌーで遊びに行こうとジャンは誘うが、リュシーが断ったことから、ミレナとリュシーは険悪なムードになる。

 

ミレナはジャンとカヌーで立ち入り禁止だが美しい景色の入江に行く。そこで意気投合した二人だがジャンは突然ミレナにキスして来る。ジャンを突き飛ばし、険悪なムードになる。戻ってみるとジャンの彼女が嫉妬に狂い、ミレナを突き飛ばす。一方のリュシーは、広場でフェンシングの練習をしている青年と出会い、フェンシングを教えてもらい、また会う約束をする。帰りの待ち合わせ場所でリュシーとミレナは、お互いの一日の思い出を語りながら帰路のバスに乗って映画は終わる。

 

たわいない夏の一日の物語という感じの一本で、これというわけではないけれど、面白かった。

 

第二部「ハンネと革命記念日

ハンネが友だちアンドレアに傍で眠っている。朝、アンドレアはハンネを見ながらオナニーを始めるが目が覚めたハンネに追い出される。今日は革命記念日7月14日である。街に出たハンネは、ロマンという青年にナンパされ、今夜の花火に一緒に行こうと誘われる。

 

部屋に戻ったハンネをアンドレアが待っていて、執拗に迫ってくる。そんなところへロマンの迎えが来る。切れたアンドレアはロマンを殴ってしまい、ロマンは鼻から血を流す。部屋に担ぎ込み、救命士の知り合いの青年に来てもらい手当てをしてもらう。しかしロマンは一段落したらハンネにキスをしようとしてきたのでハンネはロマンを追い返す。

 

救命士の青年は、ハンネたちを友人のパーティに誘う。救命士の青年に惹かれた友達のサロメはまずここで食事をしてからにしようと食事の準備をし、救命士の青年とアンドレアも交えてしばらく歓談するが、サロメが救命士の青年に言い寄るのを阻止したハンネは、アンドレアに非難され、サロメも出ていき、救命士も居た堪れなくなり一人パーティに行ってしまう。

 

一人になったハンネの耳に、花火大会の場にトラックが突っ込んで大惨事になったというニュースが聞こえてくる。ハンネは、アンドレアの部屋に行き、眠っているアンドレアに軽くキスをして部屋を出て帰路につく。こうして映画は終わる。

 

こちらもたわいない話ですが、夏の一日をドラマティックに切り取った感のある作品で、詰め込まれた凝縮感を感じさせる一本でした。