くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」「東京アンタッチャブル」「霧と影」

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」

とっても楽しいエンタメ映画でした。今更いうまでもない任天堂のゲームキャラクターを使った3Dアニメです。映画の出来のどうこうより、とにかくキャラクターがとっても可愛く描けているのが一番。キノピオ、マリオ、ルイージ、などなどがとっても愛らしく、それだけで楽しめる映画でした。監督はアーロン・ホーバス、マイケル・ジェレニック。

 

大魔王クッパがペンギン王国に攻め入る所から映画は幕を開ける。あっけなく征服し、スーパースターを手に入れる。クッパの目標はキノコ王国のピーチ姫との結婚だった。早速キノコ王国へ侵攻を開始する。そんな頃、水道工事の仕事で独立したマリオと弟のルイージは初仕事の受注を待っていた。そしてやっと来た仕事だが大失敗をして落ち込んでしまう。

 

そんな彼の前にブルックリンで水道事故が起こったニュースが飛び込んでくる。いざ出番だとブルックリンに行ったマリオたちだが、謎の下水管に吸い込まれて、不思議な世界に迷い込んでしまう。マリオはキノコだらけのキノコ王国へ、ルイージクッパが支配するダークアイランドだった。クッパの部下はルイージを捕まえて牢屋に入れてしまう。

 

マリオは弟を助けるべく、ピーチ姫を訪ねる。ピーチ姫はマリオを訓練し、やがて来るクッパを迎え撃つためにコング王国に助力を得るために向かう。コング王国で、マリオは王の息子ドンキーコングとの試合に勝ち、コング王国とキノコ王国は同盟を結んでクッパに対抗することになる。折しもクッパキノコ王国に迫ってきた。

 

ピーチ姫についてきたキノピオの命を救うためにクッパとの結婚を受け入れたピーチ姫だが、すんでのところで反撃、アイテムを手に入れたマリオも参戦、ドンキーコングともどもクッパの軍団に立ち向かう。そして見事撃退するかに思えたが、ルイージを助けたもののブルックリンと結ぶ下水管に全員が吸い込まれ、ブルックリンでの最終決戦となる。スーパースターを手に入れたマリオとルイージの大反撃でクッパは倒されハッピーエンド。エンドクレジットの後、ヨッシーが生まれて映画は終わる。

 

たわいないといえばそれまでですが、ちょうど良い長さの気楽な娯楽映画で、ゲームファンも十分満足できる楽しさではなかったかと思います。

 

「東京アンタッチャブル

典型的なサスペンスノワールで、シンプルな犯罪劇をアクションや恋を交えた娯楽色満載の一本。横長の画面を有効に使った多彩なカメラアングルでたたみかけていく前半部が特に素晴らしい作品で、凡々たる娯楽映画で済ませたくないなかなかの映画でした。監督は村山新治

 

刑務所で塗装作業をする犯罪者川本の姿を映す場面から映画は幕を開ける。突然夕立が降ってきて作業は中断、受刑者や看守たちも屋内へ駆け込む中、川本は使っていた梯子を屋根にかけて脱獄する。このオープニングが見事で、上から捉えるカメラアングルが素晴らしい。

 

川本は二年前に宝石強盗をして主任刑事の西山に逮捕されたのだが、宝石は未だ見つかっていなかった。関西に逃げたという噂よりも、宝石を取りに戻るだろうという感で西山は川本が東京に戻ると判断して張り込みを続ける。相棒の原田と共に、立ち寄りそうな先を捜査する中、木元興業という会社の売り上げが何者かに盗まれる。てっきり川本の仕業と判断した西山らは聞き込みを続けるが、木元興行の事務員が殺される、その捜査の中、木元興行も相撲賭博をしていたのが見えてきて、その筋から川本の仲間が次々と捕まっていく。

 

川本の情婦の家に立ち寄った原田は、川本が来たらしいと判断するが取り逃してしまう。仲間が捕まり、一人残された川本は、西山が行きつけのバーのカウンター下に隠していた宝石を取り出し逃亡する。その途中、原田に肩を撃たれ、川本は原田の恋人の実家で、かつて仕事をしたこともある倉庫へ逃げ込む。

 

原田が何気なく立ち寄った際、川本がいることを見抜き、西山と共に追い詰めていく。しかし、屋根の上に逃げる中、川本は屋根から落ちて死んでしまう。事件が終わり、西山は長く会っていない息子にグローブを届けようと駅に向かい、原田は恋人と夜の街でデートをしている。こうして映画は終わる。

 

全体の完成度はそれほど優れたものではないが、テンポの良い展開と多彩なカメラワークが面白い作品で、このレベルのアクション映画は当時山のようにあったのだろう。シンプルに楽しめるちょっとした作品でした。

 

「霧と影」

原作のエピソードを順番に描いていくだけの、いわゆる職人的な早撮り映画という感じの一本で、物語を一貫して作っていこうという意識もなく、登場人物も場面もあっちにこっちに飛んでいく作品でした。坂根を演じた梅宮辰夫が若すぎて最初気が付かなかった。監督は石井輝男

 

能登の入江、霧が立ち込めていて、一艘の小舟が流れてくる傍に死体が浮かんでいる場面から映画は幕を開ける。死体は、この地の小学校の教師で、崖の上から転落し自殺と判断される。しかし、この被害者を学生時代からよく知る友人で新聞記者の小宮は不信を抱き、取材にやってくる。間も無く現地の支社の坂根も加わり、二人で、死の真相を探り始める。

 

調べるうちに次々と不可解な部分が明らかになり、おそらく他殺であろうという線が見えてくる。被害者が死の当日、薬売りの男と一緒だったことがわかり、そこから、詐欺事件や、倒産事件が明るみになり、新聞社の本社でも特種として大々的に取材が進むが、いつまで経っても刑事の存在が出てこない違和感。そして、この地の旧家の土蔵に隠れていた謎の二人の男、どうやら政治家のようですが、この男たちを目撃したために教師が殺されたらしいという真相が終盤に明らかになる。興信所の謎の若者は詐欺で倒産した社長の息子だったり、旧家の主人が息子の嫁と関係があったりと様々なエピソードが一気に次々と描かれて、支離滅裂になっていって、ラストは坂根は金沢の本社に栄転することになり、恋人とのエピソードが描かれ、小宮は真相が明らかになって、教師の妹に別れを告げ晴れて帰っていくという浜辺のシーンで映画は終わる。

 

なんともいえない展開で、中盤までは普通にサスペンスとして見ていられるのですが、後半は混乱してしまいました。まさに映画黄金期の早撮りプログラムピクチャーという感じの一本でした。