くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「プチ・ニコラ パリがくれた幸せ」「カード・カウンター」

「プチ・ニコラ パリがくれた幸せ」

軽快な音楽と躍動感溢れるシーンの連続で、とにかく心地よく物語が進む。イラストタッチのシンプルなアニメがコミカルに走り回る様は独特の面白さで、物語はシンプルそのものですがテンポがとってもいい映画だった。監督はアマンディーヌ・フルドン、バンジャマン・マスブル。

 

イラストレーターのサンペが、友達のゴシニとカフェで待ち合わせていて、サンペが書いたイラスト画を持っていく場面から映画は幕を開ける。自転車でパリを走り抜けるサンペのシーンはまるで風を受けているように心地よい。カフェで合流した二人は、ゴシニに物語を考えてもらい、サンペが絵を描くということで、話がまとまる。主人公の少年はどこにでもいるという雰囲気でプチ・ニコラと名付けられる。

 

映画はサンペとゴシニが創り出したニコラ少年が、家族や学校の友達と遊びまわる姿を描きながら、ニコラ少年がサンペのところでお話をしたりする劇中劇のスタイルで進んでいく。授業をサボってみたり、臨海学校で暴れ回ったり、女の子に振り回されたりするニコラの日々がとにかく元気いっぱいに躍動感に溢れている。そしてニコラとサンペは意見交換してお互いの希望や悩みを話しながら物語を進めていく。

 

終盤、サンペは、過去の自分の経験した辛い思い出などをニコラと話す。1977年、ゴシニが急死し、サンペが落ち込んだ展開から、2022年、サンペもこの世を去るというテロップで映画は終わっていく。

 

こういうアニメもありだと言わんばかりの心地よい作品で、完成度の高い日本のアニメとはまた一味違った雰囲気が楽しめる一本でした。

 

「カード・カウンター」

狐に摘まれたような作品で、高級品を作ろうとする意気込みばかりで、いかにもな音楽や映像が繰り返されるのですが、芯になる話が全く見えないし、主人公が相棒の若者を助けようとする心の変化も見えないし、そもそもカード大会を舞台にしているのですが、物語になんの効果もサスペンスも関係なく、一体舞台設定の理由はなんなのだという感じでした。監督はポール・シュレイダー

 

主人公ウィリアムが、カードゲームにあたってのカードを数える、いわゆるカウンターの方法を語る独り言から、意味ありげな音楽とカメラワークで映画は幕を開ける。次のターゲットのカジノのそばのモーテルに泊まり、そこで、何やら白い布を椅子やベッドの足などに巻き付ける。そしてカジノへ向かうが、友人と知り合い、誘われるままにあるカジノへ行って、ラ・リンダという女性を紹介される。彼女は投資をするためにカードゲームをする人物を物色していて、ウィリアムにターゲットを向ける。

 

ウィリアムはとある場所で、ゴートという教授の講演を見かける。その男は、かつてアブグレイブ捕虜収容所で囚人を拷問していて、その際、ウィリアムも部下としてそこへ赴任したことがある人物だった。しかしその収容所が公になった際、ゴートは逃げてしまい、ウィリアムは逮捕されて8年近く刑務所で過ごしたのだ。

 

出所後、ウィリアムはカード・カウンターとしてカジノを渡り歩いて生活していた。講演会場でカークという青年に声をかけられる。彼の父親は収容所でゴートに拷問を受けたらしく、ゴートに復讐しようとしていたが、ウィリアムはやめておけと言い、自分の相棒として雇うことにする。

 

こうしてウィリアム、ラ・リンダ、カークの三人はカードゲームの全国大会WSOPを目指すべく地方の大会をこなしていく。そしていよいよWSOPの決勝を控えた夜、ウィリアムはこれまで稼いだ金をカークに与え、大学の借金や母親のローンを支払い、母親に会いに行って仲直りするように諭す。カークは了解し、金を持ってウィリアムの元を去る。

 

ウィリアムはカードゲームの決勝大会の場に臨むが、途中休憩した際、カークからのメール連絡を見る。そこには、ゴートの家の写真と、一緒に来て欲しかったというメッセージが残されていた。カークは母親のところに行かず、ゴートを殺しに行ったのだ。ネットニュースでは、ゴートが若者に襲われたが返り討ちにして撃ち殺したと流れていた。ウィリアムはゲームを途中でおり、ゴートの元へ向かう。そしてゴートを待ち伏せ、拷問の末ゴートを殺し警察を呼ぶ。

 

刑務所にいるウィリアムに面会者がやってくる。来たのはラ・リンダだった。二人は面会室で遮蔽版を挟んで指を合わせて映画は終わる。その画面をバックに延々とエンドクレジットが流れる。

 

で、いったい何を描かんとしたのか全く不明というか、つかみどころがない映画だった。