くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」

超一級品の娯楽大作なのに、ここまで緻密に脚本を書き込んだら面白くないはずがないと言う傑作エンターテイメントでした。とにかく、オープニングからラストシーンまで息をつかせない見せ場の連続。しかも、これまでのアクション映画の見せ場を一見踏襲したようで、全くのオリジナルな見せ場に昇華させているのが何と言ってもすごい。コミカルなシーンをタイムリーに放り込みながら、タイムリミットサスペンスと、謎解きの妙味、そして、映画らしい豪快な絵作りと景色の使い方に圧倒されます。次々と登場するキャラクターを混乱させずに、それでいて垣間見せる伏線を組み込んで、あくまでPART ONEであることをさらりと意識させる。これがアメリカ娯楽大作の真骨頂と言わんばかりの傑作でした。監督はクリストファー・マッカリー

 

ベーリング海峡、ロシアの原潜が航行している。この潜水艦にはデッドレコニングと呼ばれる、推測航行ができるAIシステムが組み込まれていて、他の潜水艦のソナー探知を無効にしてしまう最新設備を搭載していた。その起動には二つの鍵を組み合わせて使用しなければならない。この日、他国の潜水艦を発見、攻撃されるの察知し、反撃の魚雷を放つが、敵艦の到着寸前で敵艦は消えてしまう。しかも攻撃されたはずの魚雷も直前で消えてしまう。雲に巻かれたようになった乗組員たちだが次の瞬間こちらが放った魚雷が向かってきて、命中し、艦は沈んでしまい乗組員は全員死んでしまう。

 

後日、イーサン・ハントはIMFのミッションを受けていた。元IMFのイルサを救出すると言う物だった。イルサは、ある鍵の片割れを所有しているので、その鍵を手に入れ、もう一方の鍵と組み合わせることでその鍵の謎を明らかにすると言う物だった。しかも、彼女には賞金がかけられていて、賞金稼ぎに追いつめられていた。イーサンは砂漠地帯でイルサを救出、彼女を死んだことにして保護する。そして手にいれた一本の鍵を、その買い手と取引をすりことでもう一本の鍵と合わせ、その謎を明らかにすることにする。

 

イーサンは、相棒のベンジー、ルーサーと組んで、鍵の買い手と接触するべくアラブ首長国連邦の空港に向かうが、そこでグレースという女性に鍵をすれられてしまう。イーサンはグレースを捕まえるべく、ルーサーたちによるコンピュータ追跡を始めるが、空港には核爆弾が仕掛けられているのがわかりベンジーが捜索を始める。

 

ところが、グレースを捕獲し鍵を取り返したイーサンだが、ベンジーとのやりとりの隙に再度鍵を盗まれる。しかも仕掛けられた核爆弾もフェイクで、ルーサーが顔認識で分析していた空港内の人物像も、巧みに削除されている人物がいることがわかる。その人物はガブリエルという男だった。

 

ルーサーは再度ローマへ逃げたグレースを追うが、イーサンを追ってガブリエルの部下パリスや、CIAが追ってくる。とにかく追いつ追われつの攻防戦が実に面白い。しかも、フィアット小型自動車とパリスの装甲車とのコミカルなカーチェイスや、グレースとの軽妙な会話シーンなども楽しい。

 

そして舞台はローマからベニスへ。そこで、イーサンが助けたイルサも参戦し、グレースが鍵を盗むように依頼されたアラナとも出会う。しかし、ガブリエルもその場に現れ、再び混戦となる。その攻防の中、イルサはガブリエルに殺される。イルサがグレースを守って死んだと知らされたことからグレースはイーサンたちのミッションに加わることになる。そしてアラナがオリエント急行で鍵の取引をするということがわかり、グレースはアラナの姿に変装し、イーサンもアラナの部下に変装するはずが、“それ”と呼ばれる謎のAIによって仮面製造機が破壊され、さらにルーサーやベンジーのパソコンも乗っ取られる。

 

衛星を使ったネットワークが危険とわかり、しかも、“それ”を倒すにせよ制御するにせよ、鍵が必要だとわかったことから、まずグレースが列車に潜入、イーサンが後から列車に飛び移る計画になる。しかし乗り込んだガブリエルが汽車を暴走させたため、イーサンは必死で後を追うことになる。

 

列車内ではアラナに化けたグレースがCIA長官キップリングと会っていた。鍵の買い手はキップリングだった。グレースは鍵を渡し、二つの鍵は揃うが、すんでのところで受け取るべき報酬を断り、鍵を再度手にして逃げる。そこへガブリエルらが襲いかかってくる。

 

グレースがガブリエルと対峙し、鍵は一旦ガブリエルに渡る。そして一触即発になった瞬間イーサンが飛び込んできてグレースを助け、列車の上でのイーサンとガブリエルとの一騎打ちとなり、グレースは列車の暴走を止めるべく先頭車へ向かう。そこへイーサンを追ってきたCIAが立ち塞がるが、ガブリエルは予定した地点で列車を飛び降り、下で待っていたトラックに乗る。

 

イーサンはCIAと休戦し、列車を止めるべくグレースの元へ。そして、爆破された鉄橋に差し掛かる寸前で先頭車を切り離すが、次々と客車が落ちていく中、グレースとイーサンは次々と後方車へ飛び移る。しかし、もうダメかというところでパメラが手を差し伸べイーサンらは助かるが、パメラはガブリエルにナイフで刺された傷があり、息を引き取る。

 

イーサンらはベンジーらと合流、パメラが残した言葉から、鍵の秘密は沈んだロシアの原潜にあることがわかり、その謎を解くべく任務を進めるところで前半は終わる。

 

イーサンを追ってきたパメラが、イーサンにとどめをさされることをやめたことでの恩返しをラストでしたり、グレースが車の運転が得意ではないのに、流れでカーチェイスに巻き込まれたり、コミカルな場面が散りばめられた中、暴走するAIの恐怖という最先端のテーマをミッションに組み込んだ話題性には頭が下がります。しかも、エピソードの配分、物語の流れの緩急、アクションシーンのバランス、アイデアを駆使したシーンの連続、これが娯楽映画の醍醐味だと見せつけられた気がしました。めちゃくちゃ面白かった。