くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「Gメン」「ファルコン・レイク」

「Gメン」

原作が面白いのだろうが、結構楽しめました。演技ができない役者がほとんどということで細かい編集で誤魔化したのも、かえってそれなりにテンポ良くなって楽しかった。せっかくの芸達者の脇役が生きていないのと、下手な脚本は少し勿体無いのですが、ジャニーズスター映画として、娯楽映画の王道で面白かったのでこれはこれで良しです。監督は瑠東東一郎。

 

門松勝太が東京駅の前で必死でナンパしている場面から映画は幕を開ける。彼が四つの女子校に囲まれた武華高校へ転校してきたのは、彼女を作りたい、それだけが目的だった。ところが、彼が連れて行かれたのは、掃き溜め生徒が集められた一年G組だった。そこは荒れ放題でバカばっかり、どう見てもモテる雰囲気がない。それでも前向きな門松は癖の強いクラスメートを巻き込んで青春謳歌しようとする。

 

一見チンチクリンで弱そうな門松は喧嘩だけは人一倍強く、そんな門松を三年で、かつて凶悪組織天王会を倒した伝説のGメン元メンバー八神と伊達が目をつける。

 

優等生でセレブの瀬名、オタクの肝田らと喧嘩やナンパの日々だが、レイナの率いる族が天王会に目をつけられ、レイナは門松の喧嘩の強さを味方にしようとする。そんな頃、刑務所にいた天王会の元リーダー加藤が出所してくる。そして、痛めつけられた天王会の松永から門松のことを聞き、門松を痛めつけようと迫ってくる。

 

加藤がレイナを拉致したため、門松は仲間を守るために一人で乗り込んでいく。しかし瀬名達も黙っていず応援に駆けつけ、さらに八神達も参戦し乱闘の末加藤を倒す。そして元の生活に戻って、門松はレイナといい感じになって、瀬名は雨宮先生に告白、チーコは新しい彼氏が見つかり映画は終わる。

 

ボケとツッコミのセリフの応酬がとにかく楽しいのですが、間合いが良くなくて、あと一歩爆笑になりづらい。でも、濃いキャラクターの女教師雨宮を演じた吉岡里帆も好演だし、男遊び好きなチーコを演じた小野花梨も面白い。周りの個性的な面々を含め、多彩なキャラクターを惜しみなく見せまくったサービス精神は絶品。決して映画の出来は良くないけれど、終始笑いの耐えない映画でした。

 

「ファルコン・レイク」

16ミリフィルムで撮影された映像がとっても素朴で美しく、主人公の心の純粋さを表現した形になっていてとっても素敵な映画だった。間も無く14歳という男の子のひたむきさが切ないラストへ向かって行くのがとっても良くて、カメラが少年の視線をひたすら捉える演出もたまりません。良い映画でした。監督はシャルロット・ルボン。

 

夜の湖に人が浮かんでいて、息継ぎに顔を上げてカットが変わると道を進む一台の車、中には、間も無く14歳になるバスティアン、弟のティティ、両親が乗っている。母ルイーズの友人の持っている湖畔にあるコテージに向かっていた。コテージに着くと、バスティアンは16歳のクロエと出会う。マスティアンは、彼にとって少し大人びて見えるクロエにいつのまにか恋心を抱いていく。

 

クロエは地元の男友達にバスティアンを紹介し、一緒にパーティに行ったりする。バスティアンはクロエの気を引くために無理に酒を飲んだり、ダンスを見せてみたりする。そんなバスティアンにクロエは優しく接する。クロエは湖には幽霊が住んでいるという噂話をしたりするが、それはクロエが人の気を引くためにしているだけだと両親は話す。

 

バスティアンはますますクロエに惹かれ、寝ていてつい夢精したりする。クロエはバスティアンの前で平気でSEXの話をしたりオナニーの話までする。クロエにとってはバスティアンはまだまだ子供と見ているかのようだった。そして、からかうように、泳ぎが得意でないバスティアンを湖の沖まで行かせて胸を見せたりする。そんな姿をクロエの元彼オリヴァーが見ていた。たまたまバスティアンと二人きりになった際、バスティアンはクロエとやったと虚勢を張って嘘を言ってみたりする。クロエはバスティアンと一緒に寝たり、手で刺激してやったりするが決してキスはしない。

 

バスティアンらが帰る日が迫った頃、みんなで食事をしていた時にクロエの携帯にオリヴァーからメールが入る。その時からクロエがソワソワし始める。そんな様子をバスティアンは不安げに見る。深夜に出かけたクロエをバスティアンが追いかけていくと、クロエはボーイフレンド達と湖畔でキャンプファイヤーをしていた。黙って帰ろうとしたバスティアンをクロエのボーイフレンドの一人が見つけ仲間に入れる。そんなバスティアンの前でクロエはオリヴァーとどこかへ消えてしまう。二人はよりを戻し湖の中で抱き合っていた。

 

ボーイフレンドの一人がオリヴァーに酒をとってきてほしいと頼んだので、オリヴァーはクロエと一緒に湖の対岸まで泳いで行く。しばらくして戻ってこないので他の友達も追いかけようと湖の対岸へ泳ぎ始める。バスティアンも誘われたが、なかなか入って行けない。それでもクロエのことが気になるバスティアンは意を決して湖に入り、必死で泳ぎ始める。

 

場面が変わると、バスティアンの両親が車に乗ろうとしていた。ルイーズ達と抱き合って車は出発するが、中にはバスティアンの姿はない。途中の湖畔でバスティアンの両親とティティが降りて湖畔になにやら供える。そして湖を見つめる両親。背後にいつのまにかバスティアンが立ってじっとみている。湖畔の桟橋でクロエが座っている。バスティアンは森を走り抜け、クロエの後ろに立ち、「クロエ」と呟く。クロエがゆっくり振り返りかけて映画は終わる。バスティアンは溺れてしまったのだろう。クロエの、湖で溺れた話が現実になってしまった。

 

純粋すぎる切ないラブストーリーという感じで、それ以上なにも書けないくらいに胸が締め付けられてしまいました。良い映画でしたが、辛かった。