くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「フリーク・オルランド」「ロスト・キング 500年越しの運命」

「フリーク・オルランド

全くわからなかった。事前に知識を入れていたものの、途中でほとんど自分の理解の域を超えてしまった、どこがどう繋がるのか、どう解釈するのかどうしようもなくなりました。確かに色彩やシュールな演出の面白さはわかるのですが、それが映画のリズムをなしていないために楽しくなって来ない。これもまた映画です。監督はウルリケ・オッティンガー。

 

丘の向こうから黒づくめの一人の女がやって来る。途中に下半身を埋められた裸の女がいて、その乳首を吸った後、フリークシティというネオンを潜る。そして、何やら中世か、いやそれ以前の世界に入った女は、さまざまな姿に変わって現代までの歴史を演じていく。という流れらしいが、どこがどの時代の何なのかがほとんど理解の域を超えていて、ついていけないというのが正直な所。そして、全てが終わり、この女がオルランドという名前らしく、彼女の見せ物が終わりましたとなって、元の姿に戻った女はゲートを潜ってこちらに戻って来て彼方へさって映画は終わる。

 

なんとも感想できない一本、不可思議なシュール作品というイメージの映画だった。

 

「ロスト・キング 500年越しの運命」

面白い映画なのですが、あと一歩厚みが足りない。主人公の家族の背景があまり描写されていないのと、彼女の病気の説明、大学側の人物描写など、細かい部分が吹っ飛んでいるので、実話の紹介のみで終始したように見えたのが残念。「サイコ」を真似たようなオープニングクレジットやイギリスのレトロな建物や風景を取り込んだ画面作り、リチャード三世を幻覚として見せる演出など工夫が見られるのに、生身の登場人物が見えてこないために通り一遍に映画が終わってしまいました。監督はスティーブン・フリアーズ。

 

会社ではベテランで信頼のおかれているフィリッパだが新しい企画のチームに選ばれなかった。彼女はMEという病気を持っていて感情が不安定になることがあった。家に帰ると元夫のジョンは出会い系サイトで出会った女性サラとデートに出掛けていく。息子二人はフィリッパを慕っているしジョンを含め家庭は円満に見える。

 

ある日、フィリッパは長男マックスの付き添いでとリチャード三世の芝居を見にいく。リチャード三世が不当に評価されている事を知ったフィリッパは、自身の扱いに共通するものを見て、何気なく彼のことを調べ始める。そして、現在の王朝テューダー朝プロパガンダで不当に評価されているのではと疑問を持つ。

 

リチャード三世のファンクラブに入会し、さらに知識を深め、リチャード三世の遺骨は川に捨てられたのではなくどこかに埋められているのではないかと調べ始める。そんな彼女の前にリチャード三世の姿の若者が現れるようになる。

 

ファンクラブの関係で一人の教授と出会い、空き地に埋められている可能性を聞き出し、とある福祉事務所の駐車場が怪しいと考える。そして資金調達と計画のバックアップを頼むため、レスター大学のリチャード・バックリー教授を訪ね、バックアップをお願いする。リチャード教授は適当に断るつもりだったが、自身の研究がうまく進まず大学から首を言い渡され、フィリッパの計画に乗る事を決意する。

 

クラウドファンディングとレスター大学からのわずかの援助、さらにジョンらからも資金を得て、駐車場の発掘が始まる。しかし、もともと自身の研究資金のきっかけに程度での参加だったリチャード教授は、本腰を入れてこない。フィリッパは、自身の勘を信じて、発掘を続け、ついに背骨の歪曲した約五百年前の遺骨を発見、DNA鑑定からリチャード三世であることが証明される。

 

ところが、結果が出ると今まで表に出てこなかったレスター大学の広報課がしゃしゃり出て来て、さらにリチャード教授も自身の成果であるかのように記者会見に出てしまう。気持ちの整理のつかないまま、フィリッパは、小学生の公演依頼を受ける。それは、罪悪感のあるリチャード教授の推薦だった。フィリッパの前に現れていたリチャード三世も、自分を見つけてくれて感謝すると彼女の元をさっていく。こうして映画は終わる。エピローグで、フィリッパは正式に女王から発掘の立案者であると認められたとテロップが出る。

 

面白いはずなのにワクワク感が全く出てこないし、映画全体に緩急がほとんどなく、勿体無いの一言に尽きる作品になっています。いい映画になりきれなかった作品、そんな感じの一本でした。