「女王陛下の007」
ジョージ・レーゼンビーが007を演じた唯一の一本で、このシリーズでは珍しく辛いラストシーンが用意されている。全編雪山というイメージで、冬季オリンピック競技を見ているようなクライマックスは面白いが、全体としてはそれほど出来の良くない作品でした。監督はピーター・ハント。
例によってドライブしているボンドの前を一台の車が追い抜いていく。その車に乗っていた女が海に入って行くのを見たボンドは彼女を助ける。その夜、カジノで彼女を見かけ、カードで負けた金を立て替えたやったボンドは急速に接近する。彼女はフランスの犯罪組織ユニオン・コルスの首領ドラコの娘トレーシーだった。ドラコはじゃじゃ馬の娘の扱いに困っていて、ボンドに嫁にもらって欲しいと提案してくる。
そんなボンドに犯罪組織スペクターの黒幕ブロフェルド探索の任が下る。ドラコからブロフェルドの本拠地がスイスにあると聞いたボンドは別人の貴族に扮して潜入する。しかし、ブロフェルドはボンドを見破る。ブロフェルドは屋敷に大勢の美女を抱えて、彼女らに催眠術を施し、完成した細菌兵器のウイルス拡販の兵士に仕立て上げようとしていた。ボンドはロンドンに知らせるべく屋敷を脱出、スキーを駆使して麓まで逃げるが、そこでトレーシーと再会する。
追ってくるブロフェルドの部下からボンドはトレーシーと共に逃げるが、雪崩を起こされ、トレーシーはブロフェルドに拉致される。ブロフェルドは抱かえていた女たちを世界各地に送り出し、自分たちの恩赦とそのほかの要求を政府に突きつけてくる。Mは全てを飲んで丸く収めようとするが、納得いかないボンドはドラコに私設軍隊を要請し、ブロフェルドの屋敷を襲う。そしてトレーシーを救出、ボンドはブロフェルドとの死闘の末彼を倒す。
この日ボンドとトレーシーの結婚式が行われていた。式が終わり二人で車で新婚旅行へ出発するが、途中で車を停めたところへブロフェルドの部下が追いかけてきて機関銃を放って去る。ボンドが車内に戻るとトレーシーは死んでいた。こうして映画は終わる。
ラストは実に切ないので、いつものほのぼのした仕上がりでないのはちょっと辛いけれど、これもまた原作を重視した作品作りの中では大事なのではないかと思います。
「007は二度死ぬ」
日本文化紹介映画のような体で、若干気恥ずかしくなる。今見れば、米ソ冷戦真っ只中の映画なので時代色が濃いけれど、ストーリー展開と言い、当時なりのスケールの大きさといい、やはり王道のエンタメ映画で面白かった。監督はルイス・ギルバート。
例によってボンドは香港で女性とベッドインしている。突然ベッドが壁に収納され、駆けつけた悪者が機関銃でベッドを乱射、間も無く警察が来て、死体になったボンドが写されてタイトル。その頃、アメリカの有人衛星が船外活動をしていた。突然未確認飛行物体が近づき宇宙船ごと拉致してしまう。そしてその飛行物体が日本に着陸したらしいことを突き止める。
一方、ボンドの遺体は軍隊式に海に埋葬されたが、沈んだ遺体を潜水夫が回収、潜水艦に収納する。そこにはMらが乗っていて、日本に着陸したらしい飛行物体の調査を依頼する。ボンドは日本にいるタイガー田中と接触、彼の援助で調査を開始する。そしてどうやら離れ島にある火山の火口が怪しいと判断して、ボンドは日本人の扮装をし日本人鈴木と夫婦になって島に潜入、調査を開始する。
その頃、今度はソ連が有人衛星を打ち上げていた。この衛星が拉致されたら米ソの戦争が起こると判断されボンドは阻止すべく火口へ降り立つと、その底に秘密基地があった。ボンドはタイガーに総攻撃を依頼するが、この基地の黒幕はブロフェルドで、資金は日本の大里化学が出資していることがわかる。
ボンドは自ら突入、駆けつけたタイガーらとブロフェルドと対決、すんでのところで飛行物体破壊に成功し、基地も爆破、タイガーの部下の鈴木とゴムボートでねんごろになるボンドの前にMの潜水艦が浮上して映画は終わる。
東京オリンピック直後の東京や、大阪、姫路城、海人など日本文化満載の作品で、ツッコミも多々あるものの面白い娯楽映画に仕上がっています。楽しいひとときでした。