くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「男と女」「ドミノ」

「男と女」

約四十年ぶりくらいの再見、午前十時の映画祭で見直しました。やはり唯一無二の名作ですね。映像と音楽が一つのリズムを作り出して物語を語っていく感じの作品で、細かいカット編集や美しいインサートカットの挿入、モノクロとカラーを切り替える色彩演出、フランシス・レイの奏でる名曲とのマッチング、クローズアップからロングで引いたりと華麗なカメラワークを見せるテクニック、おそらくリメイクは絶対できない仕上がりにうっとりと引き込まれてしまいました。監督はクロード・ルルーシュ

 

ドーヴルの寄宿学校に娘のフランソワに会いにきたアンヌは、息子のアントワーヌに会いにきた父ジャン=ルイと出会う。子供同士が仲良しで、アンヌはフランソワを学校に送り届けて帰るが、電車に遅れ、ジャン=ルイの車で送ってもらうことになる。そして別れ際、来週会おうと約束する。

 

二人のデートで、お互いの過去を語り合う。アンヌの夫ピエールはスタントマンで、事故で亡くなっていた。ジャン=ルイの妻は、ジャン=ルイがル・マンレースで事故を起こした際、精神が錯乱して自殺していた。お互いに最愛の人を亡くした過去の境遇もあってみるみる惹かれ合う。

 

ジャン=ルイはモンテカルロレースに出場することになる。レースで優勝した知らせを聞いたアンヌは電報を打ち、「愛してる」と伝える。それを受け取ったジャン=ルイは、ラリー車でそのままパリに戻るがアンヌは不在だった。ドーヴルの娘に会いに行ったことがわかりそのままドーヴルへ向かう。そして子供達を学校へ送り出した二人はホテルで初めて抱き合う。しかし、アンヌの脳裏にはピエールの姿が浮かんでいた。気まずいままホテルを出た二人だが、アンヌは列車でパリに戻ると言い出す。

 

とりあえず駅で別れた二人だが。すでに二人の心は離れられないほどになっていた。アンヌは列車の中でジャン=ルイを思い、ジャン=ルイは車の中でアンヌを思っていた。そしてジャン=ルイは車でパリに向かい、駅でアンヌと抱き合って映画は終わる。

 

ジャン=ルイがアンヌのアパートにたどり着いた時の、カメラワークだけで階段を駆け上がる様を表現したり、海岸で犬の散歩をする老人を美しく挿入したり、カラーとモノクロを交互に挿入したり、アンヌとジャン=ルイがホテルでギャルソンに、部屋をとりたいという場面でカメラがぐーんと引いたり、クライマックス、アンヌとジャン=ルイの細かいカットの後のパリでの抱擁シーンなど、隅々まで作り込まれた映像演出が素晴らしく、フランシス・レイの音楽の歌詞にも二人の心情を盛り込む演出も見事。非の打ちどころのない名作とはこういうものだと納得の一本でした。

 

「ドミノ」

もう少しSF大作かと思っていたらB級サスペンス作品だった。ストーリーがスケール感が小さいし、展開も雑、しかもウケ狙いのようなどんでん返しも今ひとつキレがない。面白くないわけではないのですが、もうちょっと緩急のある面白さが欲しかった。監督はロバート・ロドリゲス

 

公園で娘ミニーと遊んでいる刑事のロークの姿から映画は幕を開ける。ちょっと目を離した隙に娘がいなくなり、どうやら誘拐されたらしい。それから四年が経ち、ロークはカウンセリングを受けている。そこへ銀行強盗が計画されているというタレコミがあったと連絡が入り、同僚のニックスの車に乗って現場に向かう。

 

車で待機するロークの目の前に一人の女性に近づく怪しい男を見つける。その男は女性に何やら囁きさらに警備員にも何やらささやいて銀行へ向かう。女性は突然暑い暑いと服を脱ぎ始め、警備員二人も行動がおかしい。ロークは怪しい男を追跡し銀行へ入る。そして犯人が狙っているらしい貸金庫を開けると、「私を見つけて欲しい」とメモが書かれた娘の写真を発見する。そこへさっきの怪しい男と警備員が突入していきなり撃ってくる。駆けつけたニックスと男を屋上へ追うが、一緒に来た刑事二人に男が囁くとお互いに撃ち合って死んでしまい、男は屋上から落ちる。しかし、ロークが見下ろしても男はいなかった。

 

タレコミ電話の住所をダイアナという占い師のところと警察が特定、ロークが向かうと、ダイアナは、相手の脳を操って幻覚を見せることができるヒプノティックという超能力を持つ男デルレーンが関わっていると説明する。リークはダイアナの協力でデルレーンを追うとともに娘ミニーの居場所を突き止めるべく行動を開始する。しかしデルレーンは次々と人間を操ってロークたちを襲ってくる。

 

メキシコまで逃亡しデルレーンと対峙するロークだが、すんでのところでロークもヒプノティックの能力があることがわかり、デルレーンに反撃する。そして見えてきたのは、ある組織がヒプノティックの能力者を募って研究とさらなる強力なドミノという兵器を作り出そうとしていることがわかる。

 

ロークとダイアナはダイアナの知人でハッキングの天才ジェレミアの元を訪れるが、ロークはそこで、妻ビビアンは実はダイアナだと知ってしまう。ロークは脳を操作されてダイアナを妻と別人だと思わせられていた。次第に記憶が戻るロークは、ダイアナ=妻が組織の人間でドミノとは人間兵器で、娘ミニーのことだとわかる。しかもデルレーンも組織のトップの人間だった。

 

ロークは組織からミニーを隠すべくダイアナと計画してとある場所にミニーを隠し、それぞれ記憶をリセットして忘れるようにしていた。ただ、思い出すために銀行の貸金庫にヒントの写真を隠していたことが判明する。ロークはミニーを匿ってもらっている老夫婦のところへ行くがデルレーン達組織が迫ってくる。しかし、最強のヒプノティック能力者ミニーの力でデルレーンらは殲滅させられ、ダイアナの記憶も戻り、三人でヘリコプターで脱出して映画は終わる。しかし、エンドクレジットの後のエピローグで、実はデルレーンは生きていて、ヘリコプターでロークらを追ってエンディング。

 

脳を操作されて景色が歪むシーンもほんの僅かで、どちらかというと、ヒプノティックで操られる人間の描写に重きを置かれているので、サスペンス色の方が強い。結局ミニーがダントツに強いのだからあっさり相手を倒すのはどうも工夫がなさすぎる。なので、もっとストーリー展開を面白おかしく緩急つければもっと楽しい映画になった気がします。