くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ネクスト・ゴール・ウィンズ」「コヴェナント 約束の救出」

ネクスト・ゴール・ウィンズ」

実話を元にしているとはいえ、物語の組み立てがとっても楽しくてユーモアに富んだ脚本が心地よいし、演出のうまさで肩の凝らないスポーツ感動ドラマに仕上がっていました。思いの外感動したし笑えたし、掘り出し物の佳作という感じです。監督はタイカ・ワイティティ

 

一人の神父が画面に向かって語りかける場面から、2001年W杯予選、米領サモアとオーストラリアの試合で史上最悪の0対31でサモアが大敗を喫するところから映画は幕を開ける。そして10年、あれ以降最下位のままのサモアのサッカーチームは、この日も奇妙なダンスの後試合に臨み、例によって負ける日々が続いていた。そこで、サモアサッカー協会会長のタビタは新しい監督を探し始める。

 

一方、アメリカ、かつて名選手でのちに名監督になったロンゲンは、その型破りな性格とキレやすい言動でついにクビになり、米領サモアのサッカーチームの監督に行くことになる。W杯予選まで四週間となって、サモア島にやってきたロンゲンは、風土色満載の出迎えとのどかな雰囲気に呆気にとられ、さらに、全く勝つ気もやる気もないサッカーチームに唖然とする。しかし、第三の姓を自認するシャイヤらと交流するうちに、本気でコーチをするようになる。

 

とは言え、メンバーも揃わずなかなか形がまとまらない中、ジャイアに話を聞くうちに、10年前の雪辱を覚えている旧メンバーの存在を知り、スカウトに回ることにする。メンバーもある程度揃い、いよいよトンガとの試合が迫ってくる頃にはロンゲンの気持ちも定まっていき、選手達との心の交流も仕上がってきていた。

 

そして迎えた試合当日だが、かつてのサッカー協会の知人もやってきてはロンゲンをからかう。そんな中試合は始まるが、思うように動けない選手を見てついにロンゲンは又キレてしまう。しかし、タビタの温かい心のこもった声かけで気を取り直し、後半、ついに同点から逆転して勝利してしまう。終盤の試合展開は、熱中症で倒れたタビタに息子が報告する形をとり、最後に駆けつけたキーパーでかつて31点をとられた悔しさに苦しむニッキーが最後の最後にペナルティゴールを止めて勝利した下りを話す。

 

試合の後、新しい監督依頼を断ったロンゲンだが、別の目標のためサモアを離れる決心をしたとメンバーに報告する。米領サモアのサッカーチームはこの後一度も最下位にならなかったというテロップとエンドクレジットの後、冒頭の神父が奇跡を起こそうと池に入って沈んでしまい映画は終わる。

 

軽妙でテンポのいい展開と、ありきたりなスポーツ映画にしない上手いストーリー構成が秀逸な一本で、全体がとっても心地よいリズムに満たされているのが良い。楽しい映画を見れた気がします。

 

「コヴェナント 約束の救出」

普通の社会派ヒューマンドラマで、特に秀でた映像も、巧みな構成もない映画だった。登場人物の背景をもう少し掘り下げていれば深い作品になったかもしれないが、それほど長尺にするのもどうかと思う。前半に力が入りすぎ、終盤の救出劇の部分があっさりしてしまったのはちょっと勿体無い気もします。監督はガイ・リッチー

 

アフガニスタンで軍事活動をするジョン・キンリー曹長らの部隊がタリバンの輸送車を止めて被害に遭う場面から映画は幕を開ける。その被害で通訳が亡くなり新たに雇うことになったキンリーは、勧められた一人の男アーメッドを雇うことにする。タリバンの爆薬工場を捜索するのがキンリーらの任務だったが、地元住民にも詳しいアーメッドの協力もあり、二箇所の工場の情報を得る。

 

ところが、最初に工場へ行く際、案内人が別ルートを提案し、それに合わせて進んでいたキンリーらはアーメッドのアドバイスで前方偵察を行うことになる。なんと前方にタリバン待ち伏せていて、案内人はタリバンに家族が人質にされタリバンの手引きをしたのだった。この事件以降キンリーはアーメッドを信頼し、もう一方の工場へ向かうことにする。

 

ところが、その工場に着いて捜索している途中、近くの村で潜伏するタリバンの部隊に連絡が入り、キンリーの部隊はタリバンの猛攻撃を受ける。応援がついた時は、キンリーの部隊はほぼ全滅、キンリーとアーメッドはかろうじて窮地を脱出した後だった。キンリーらは追ってくるタリバンを交わしながら逃亡するが、途中急襲されキンリーは大怪我を負う。アーメッドはキンリーを荷車に乗せ、自ら地元民の姿になってアメリカ軍の基地まで運び始める。

 

途中、何度かの危機を潜り抜けたアーメッドとキンリーはようやくアメリカ軍に救出されるが、キンリーの意識はすでになかった。四週間が経ち、キンリーはアメリカの病院で目を覚ます。さらに三週間が経ち自宅に戻ったが、アーメッドのことが頭から離れなかった。情報によると、キンリーを助けたアーメッドは英雄とされ、タリバンから執拗に追われて身を隠しているらしかった。キンリーはアーメッドらをアメリカに呼ぶべくビザ発給の手配をするが遅々として進まず、キンリーは上官の大佐のところに直談判に行き、一方で自らアフガニスタンへアーメッド救出に向かう。

 

民間警備会社のパーカーを紹介してもらい、現地で装備を整えて単身アーメッドを探すことになったキンリーは、ようやくアーメッドの潜伏先に辿り着き、パーカーとしめし合わせた救出場所のダムへ向かう。ところが、キンリーらを見かけたタリバンの偵察隊が後を追い、タリバンに連絡、ダムに向かうキンリーらを襲ってくる。そしてダムでタリバンとキンリーらは撃ち合いになるが、次第にキンリーらの弾薬が切れてくる。そこへアメリカ軍とパーカーらが救援に来て、無事救出され、映画は終わっていく。

 

なんのことはない普通の戦闘アクション人間ドラマという感じの一本で、ドラマ部分はかなり簡単に処理されているので銃撃シーンだけが妙に目立つが、全体には無難な作品だった。