くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「果てしなき情熱」「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」

「果てしなき情熱」

笠置静子特集の一本。作曲家服部良一をモデルにしていると言っても全く別物の一人の作曲家の人生ドラマという感じで、ちょっと仰々しい演技とあざとい演出が鼻につく作品でした。岡田淑子、淡谷のり子らの大スターを出演させた音楽ドラマという感じでした。監督は市川崑

 

コップのアップから、背後に一人の男の姿、駆け込んで来た女性がその男が自殺をしようとしているのを止める。男は夜の街に出ていき映画は3年前に遡って始まる。キャバレーの専属作曲家三木は酒に溺れ、思うように作曲も進まず貧乏世帯であるが、クラブ歌手雨宮は彼の曲の素晴らしさを知っていた。ある日、キャバレーのボーイに言い寄られた石狩しんが逃げ、三木の部屋に駆け込んでくる。しんは酔い潰れる三木を見て、どこか惹かれるものを感じる。

 

三木の「湖畔の宿」の歌を勝手にレコード会社に雨宮が売り込んで金を手にしてくれるが、そんな行動も三木には許せなかった。一人信州へ旅行に行った三木は、湖畔で愛犬が溺れて困っている小田切優子と出会う。三木はすっかり優子に惚れてしまうが名前もかわさず別れてしまう。

 

戻った三木は、たまたま男に絡まれている女性を助け、誤って殺してしまって刑務所に入ることになる。しかし、出所の日、しんが出迎える。しんの気持ちに絆された三木は結婚を申し込む。しかし結婚式の夜、三木は停留所で優子と再会する。優子には夫がいた。三木はやるせない思いのまま結婚式に戻り、しんと結婚するが気持ちは優子から離れず、その後、作る曲は全て優子に捧げるものだった。それでも三木の曲は大ヒットして有名になって行く。しかし、貧乏世帯は変わらず、しんはキャバレーで下働きをするようになる。

 

しんと三木の仲も溝ができたまま埋まらなかったが、しんは三木を献身的に支える。それでもとうとうしんは離婚を決意するが、雨宮に、三木は子供みたいな人だから支えてやって欲しいと言われる。一方、三木は自宅に戻らず、とうとう優子の家の前にやってきたが、この日、優子は亡くなっていた。意気消沈した三木は自宅に戻り自殺しようとするが、そこへしんが駆けつけ思いとどまらせる。冒頭のシーンである。三木はしんに、死ぬのだけはやめて欲しいと言われ、一人海岸へ行き、楽譜の中で泣き崩れて映画は終わる。

 

物語の出来の良し悪しより、音楽劇の色合いが全面に出た作品で、市川崑作品の中では中の下レベルの一本だったが、時代を感じさせる意味では楽しめる映画でした。

 

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

楽しいコメディだった。とんがったリーゼントにとんがった靴、そのユニークな出立のレニングラードカウボーイズの微笑ましいロードムービーの秀作。全編流れる軽快な音楽と、コミカルな展開、思わずニヤッと笑わせるユーモアに、微笑ましい人間愛を感じてしまいました。監督はアキ・カウリスマキ

 

ツンドラで凍えた大地のショット、畑にとんがったリーゼントでギターを持った男が凍っている。その向こうの小屋でレニングラードカウボーイズが賑やかに歌っている。それをじっと見る音楽プロデューサーだが、これでは商売にならないと呟き、アメリカなら大丈夫かもしれないとアメリカ行きを勧め、従兄弟を紹介してもらう。早速リーダーウラジミール率いるレニングラードカウボーイズアメリカへ旅立つ。当然、凍った仲間も連れて行く。

 

アメリカに着いて、巨大で豪華な車を全財産注ぎ込んで購入する。彼らを慕う頭が禿げた男も後を追ってくる。従兄弟に演奏を見てもらうが、今やロックンロールだと言われ、早速ロックンロールを勉強、次の店でロックンロールを披露する。音楽プロデューサーの従兄弟にメキシコで従姉妹の結婚式があるからそこで演奏して欲しいと言われ、一路メキシコを目指す。しかし、途中の店での演奏の評判は最悪で、次々と店を追い出される。少ない給料をウラジミールは独り占めして進んでいくが、とうとう仲間に見破られ、ウラジミールは縛られて車に乗せられる。そしてメンバーもホームシックがで始めた頃、頭の禿げた男は追いついてウラジミールを助け、いよいよメキシコへ到着。

 

結婚式で演奏するが、凍った仲間も溶けて、一緒に演奏する。それを見ていたウラジミールはサボテンからテキーラを注いで飲んで何処かへ消える。ウラジミールはそれ以来姿が見えなくなったことと、レニングラードカウボーイズがメキシコでトップテンに入ったというテロップが出て映画は終わる。

 

とにかく、ユーモア満載の音楽ロードムービーで、心地よいテンポと笑いの連続に終始微笑みが途切れない楽しい映画だった。