くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「大奥㊙︎物語」「にっぽん‘69 セックス猟奇地帯」「くノ一忍法」

「大奥(秘)物語」

大奥に集う女達のドラマをオムニバス風に描いて行く作品で、根底に名優山田五十鈴がどんと存在して物語を牽引して行くので、なかなか見応えのある作品だった。監督は中島貞夫

 

大奥の説明の後、旗本の娘ふさが大奥へお目見えする場面から映画は幕を開ける。ふさに付人としてきたのがおみのという女だったが、将軍の目に留まり、夜伽を申し渡される。そんな頃、お部屋様のおすめが解任することになり、それを妬んだ正室のおこんの乱心事件が起こり、おこんの下にいたおみのは是が非でも妊娠する必要に迫られる。

 

そこでおみのは松島と画策し、将軍の子をを身籠った風を作るために外の男と関係を持ち、やがて懐妊、おみのは次期将軍の生母となり、松島は筆頭の年寄りの職に上り詰める。添い寝役の篠の井は、将軍の営みを聞くうちに性欲が高まり浦尾と同性愛に耽ってしまう。間も無く篠の井は将軍のお手つきとなって懐妊、嫉妬した浦尾は篠の井に水銀を飲ませ、篠の井は流産した挙句自殺してしまう。

 

町人の娘おせちは長吉という許嫁がいたが三年奉公で部屋子として大奥に関わっていたが、将軍に手篭めにされ大奥から出られなくなる。それを不憫に思った飛鳥井の勧めで場外に出してもらったおせちは長吉と密会、帰り際、すがる長吉はおせちの伴の侍に斬り殺される。おせちは大奥に戻り、率先して将軍の寝所へ行き、小刀を取って将軍に斬りつける。それを松島が盾になって殺され、大奥に火の手が上がるクライマックスで映画は終わる。

 

物語の組み立て、クライマックスのスペクタクルとエンタメの展開が面白い作品で、クオリティ以前にエンタメとして楽しめる映画でした。

 

「にっぽん’69セックス猟奇地帯」

1969年ごろの日本の性風俗を淡々と捉えるドキュメンタリーで、ストリップや性倒錯者、赤線などを描く一方で、唐十郎のアングラ劇や学生運動や政治的な側面を語って行く密度の濃い作品でした。監督は中島貞夫

 

横尾忠則のイラストをバックにしたタイトルの後、新宿から性風俗を描き始める。そして、日本全国の様々な当時の世相と性を交えた映像を語って行く。時に唐十郎が語りの中に出てきたり、延々とした性倒錯者、整形手術のリアルなシーンや唐十郎の舞台、売春禁止法の後の遊廓街の今などの映像も見られ、記録映像としてもなかなかの作品だった。

 

「くノ一忍法」

エロとエンタメ満載で、なんの中身もないけどめちゃくちゃに面白かった。忍術合戦も、そして当たり前のように出てくる裸シーンも、荒唐無稽な忍法の数々も、さらに歴史を無視した娯楽一辺倒の作りも最高。セットを多用した幻想的な絵作りも面白いし、とにかく低予算、映画黄金期の一本という空気がとってもいい映画だった。監督は中島貞夫。彼のデビュー作である。

 

大阪城が炎上する場面、城内で真田幸村が五人の女忍者お喬、お眉、お瑶、お由比を前にして、豊臣秀頼の子供を身籠るようにと訓示しているところから映画は幕を開ける。すでに炎に包まれているのに、これから五人を秀頼が相手するのかというツッコミに真田幸村が無理やりの理屈をつける。そして場面が変わり駿府城の家康の前に、服部半蔵が必死で救出した千姫が引き出されている。千姫は十人の腰元女中を連れ、あくまでで豊臣の女だから徳川を恨んでいる旨を告白する。空では、冥土へ旅立つ前の幸村と佐助が見守っている。

 

家康は、腰元の中に秀頼の子供を身籠った女忍者がおるはずだからと、見分けるために伊賀忍者五人を招集する。五人の伊賀忍者千姫の傍にいる女の中から五人の女忍者を見分けるが、女忍者と伊賀忍者は一対一で倒されて行く。そして、いよいよ凛月が迫った頃、千姫と残った女忍者二人お眉とお由比は真田幸村の隠し砦に避難、それを追ってきた、残った二人の伊賀忍者、さらに千姫に思いを寄せる服部半蔵らが迫り最後の戦いとなる。

 

次々とそれぞれが死んでいき、最後に残ったお由比は夜明けと共に子供を産むが、女達の意気込みに共感した最後に残った伊賀忍者は、服部半蔵らも倒して千姫を守る。千姫は生まれた赤ん坊を連れて駿府城にやってくるが、時を同じくして家康は昏睡状態で寝込んでしまう。奥へ奥へ入ってくる赤ん坊を抱いた千姫の微笑むアップで映画は終わる。

 

痛快なくらいに楽しい作品で、惜しげもなく女体が乱舞し、男が女達に倒されて行く、そして最後は女が勝つという構図もざまあ見ろ感満載で痛快。これがエンタメだと思える一本で本当に楽しかった。