くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「893愚連隊」「あゝ同期の桜」「ドライブアウェイ・ドールズ」

893愚連隊

娯楽映画のツボを抑えた肩の凝らないエンターテイメントでした。荒削りなストーリー展開と、規制の枠にとらわれない設定、余計な事に拘らない人物描写がとにかく心地よい。映画の個性というのはこういうものかと思わせる一本だった。監督は中島貞夫

 

京都駅前、白タクで小銭を稼ぐ愚連隊のジロー、参謀、オケラ、ケンらの姿から映画は幕を開ける。そこへ、十五年刑務所にいた昔気質でジローの兄貴分の杉山が出所してくる。ジローらは大隅という顔だけの若者を愚連隊に巻き込んで、女をたらし込んだ末に売春をさせてみたりと小金を稼ぐ日々だが、杉山はそんなジローらにいい顔をしなかった。ジローらは地元のヤクザ者黒川らに目をつけられ、ヤクザ者には刃向かいようのないジローらは歯痒い思いをしていた。

 

ケンはそんな昔ながらの杉山の姿に惹かれるようになり、杉山が思いを寄せる女由美と三人でこの地を出て行こうという杉山の気持ちに寄り添い始める。そんな時、杉山は刑務所仲間の横田から、新薬強奪の話を持ち込まれる。杉山はジローらを巻き込んで新薬強奪のに成功し、製薬会社に一千万の金を要求するが、そこへ、黒川らが横槍を入れてくる。大隅は黒川に丸め込まれてヤクザ組織に入っていて情報を流したのだ。

 

ヤクザ者には勝てないと踏んだジローらは薬の取引を譲ってしまうが、諦めきれない杉山は、一人で薬の分前を奪いに行く。しかし大隅の連絡で黒川らが駆けつけ、揉み合いの末殺されてしまう。ジローらは、黒川らにいいようにされている事に我慢ならなくなり、黒川らが製薬会社との取引で得た一千万を横取りする計画を立てる。

 

そしてまんまと金を横取りし逃亡、黒川らとのカーチェイスの末に、黒川らの車を工事中の高速道路の下に突き落とす。ところが、ジローらが自分の車を離れた途端、車がバックし始めて、激突して炎上、積んでいた金も灰になってしまう。ケンと由美は、杉山が貯めていた金で京都を離れるが、ジローらはまた元の愚連隊に戻り、京都を彷徨って映画は終わる。

 

なんのことはないシンプルな娯楽エンタメで、その気楽さが心地よい。それだけに、当時の映画の懐の深さを実感できる一本でした。

 

「あゝ同期の桜」

何人かの主要人物のドラマを中心に描く群像劇スタイルの作品で、オールスターキャストに娯楽性を含ませながら、さりげなく特攻に対する反骨精神を盛り込んだ異色作だった。監督は中島貞夫

 

学徒出陣が決まり、その祝賀大会の映像から映画は幕を開ける。そして海軍航空隊に士官候補として赴任した白鳥、半沢、南条、不破らのドラマを淡々と描きながら、やがて戦況は悪化の一途を辿り、昭和二十年春、白鳥らが特攻隊として旅立つ。こうして映画は終わる。

 

半沢と白鳥の妹の恋、白鳥の教官が訓練中片目を失明したり、特攻で飛び立った南条が戻ってきたり、さりげないエピソードを散りばめた後、出発前夜をクライマックスにドラマが最高潮になるという構成はなかなか上手い。オールスターゆえ、ちらほらと人気俳優が登場しドラマを演じるので、核になる物語は見えづらいが、特攻隊として散った学徒たちの手記をもとにした作品としてはよく出来ていたと思います。

 

「ドライブアウェイ・ドールズ」

エロティックなブラックコメディという感じの作品で、レズビアンやSEXをドライに笑い飛ばすのは典型的なアメリカ映画という雰囲気ですが、少々、センスの面白さより下品さがウェイトを占めているように思える映画だった。もうちょっとテンポよければあの下品さも面白いように思えるのですが、今一つ乗り切れませんでした。監督はイーサン・コーエン

 

1999年フィラデルフィア、一人の男サントスは何やらアタッシュケースを抱えてバーの隅にうずくまっている。ウェイターが注文をとりにきたのでそそくさと店の外に出るがウェイターが追いかけてくる。そして路地に追い詰められたサントスはウェイターに殺される。駆けつけた別の男たちがサントスのスーツケースを持ち去る。

 

レズビアンのジェイミーは恋人とSEXにいそしんでいる。真面目すぎる友達のマリアンから電話が入る。日々の生活に行き詰まりを感じた二人は、アメリカ縦断旅行を考えるが先立つものがないので車を配送しながらタラハシーまで向かう計画を立てる。そして、たまたまタラハシーに車を運んで欲しいという依頼を受けていた業者の男はジェイミーらに車を託す。ところがその車のトランクには冒頭のスーツケースが隠されていた。

 

車を追って二人のギャングがジェイミーたちを探す。ジェイミーは、旅に出る前にレズビアン友達の元カノで警官のスーキーと喧嘩別れしていた。スーキーのところへやってきたギャング達はスーキーにコテンパンにやられるもジェイミーの行き先を突き止める。その頃、車がパンクして路肩に停めたジェイミー達はトランクの中でスーツケースと、サントスの首が入った帽子ケースを見つける。

 

最初はレズビアンのジェイミーを警戒していたマリアンもいつの間にかレズビアンに目覚め、とうとう二人はベッドで抱き合う。しかし翌朝マリアンが目を覚ますとジェイミーはディルゾでオナニーしていた。そのディルゾはスーツケースに入っていた物で、中に数本のペニスの形のものがあった。そこへ、居場所を突き止めたギャング達が乗り込み、ジェイミー達を拉致してスーツケースを取り戻しボスのところへ連れて行く。

 

スーツケースの中のものは、今は上院議員となったチャネルが若い頃にコレクションしたもので、表沙汰になるとスキャンダルになる物だった。しかしギャング達が仲違いをし、ボスも撃ち殺して姿をくらましてしまう。ジェイミーたちはスーツケースを取り戻してその場を脱出、チャネルに連絡をして百万ドルを要求する。その頃、スーキーもタラハシーへ向かっていた。

 

ジェイミー達はチャネルと待ち合わせ、品物と引き換えに百万ドルを手に入れる。そこでスーキーと合流するが、金が惜しいチャネルはジェイミー達に襲いかかる。しかしスーキーが反撃、ジェイミー達はタラハシーの叔母に会い、二人は同性婚が認められたマイアミで一緒になると走り去って映画は終わる。

 

終始、下品な会話の連続と、サイケデリックなCG映像を交えた作りは、ちょっと品がなさすぎる気がないわけではないけれど、それなりの芸術センスは認めてもいいかなと思える作品だった。