先週に続いてフランク・キャプラ監督の名作第三弾。「スミス都へ行く」を見る。
物語の展開は先週の「オペラ・ハット」に非常に似通っている。
議会の議席を埋めるために急遽担ぎ出された田舎もののスミス氏。汚職議員の思い通りにあるであろうと言うもくろみで担ぎ出されたのだが、これがまたまじめすぎて、自分一人で議会の汚職、腐敗を暴こうと立ちあがる。
クライマックスは議場で延々と演説する下りであるが、ほとんど「オペラ・ハット」的な展開であり、思わずにんまりせざるを得ない。
それにしても、ジェームズ・スチュワートが本当に若い。一瞬、誰だろうと思ってしまう。
物語はほとんど彼一人の独壇場であるが、周りを囲む秘書役のジーン・アーサー、記者役のトーマス・ミッチェル、スミス氏が最初は尊敬しているペイン議員役のクロード・レインズと脇を固める役者の力量がさらにジェームズ・スチュワートをもり立てていて、小気味の良い展開に舌を巻いてしまう。
とはいえ、フランク・キャプラ的なユーモアは、「オペラ・ハット」ほどには見られないのであるが、あまりに現実離れしているクライマックスはそれなりに社会風刺を痛烈に批判している点で、作られた芸術作品としての印象を持たせてくれる。
ラストシーンで一気に自白するクロード・レインズの姿で大団円を迎えるものの、どうも私にとってはもう一つ胸を打つほどでもなかった気もする。さすがに時代を感じざるを得ないし、やや、アメリカ国民映画的なところもあることは確かである。
難もあるとはいえ、さすがにフランク・キャプラ、2時間以上の物語に仕上げていながら、凝縮された演出テーマや影を巧に使った凝った映像表現、さらに延々とワンカットで見せるジーン・アーサーとトーマス・ミッチェルのやりとりなど、常人では考えつかない演出を巧に挿入し、独特の映画のリズムを作り上げています。
さすがに良い映画です。でも、個人的にはあまりはまりませんでした。
スミス都へ行く | |
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