「素晴らしき哉、人生!」
かつて宿泊先のホテルで一人でテレビの映画劇場で見て感動し、いつかスクリーンで見たかった映画をやっと今回の「午前10時の映画祭」で実現しました。
テレビで見たときの印象通り、すばらしい映画でした。ラストシーンに至るまでぎゅーっと胸を締め付けられるような物語がラストシーン、一気に解放され、感情が彷彿とし、涙が止めどもなく流れました。スクリーンに流れる「蛍の光」と大歓声で騒ぐ登場人物たちの姿を見ながら、拭っても拭っても流れてくる感動の涙。すばらしい。
物語は一人の男性が今にも自殺しようと橋の上に立っているらしい所から始まる。雪が深々と降るクリスマスイブ。あちこちの家から「ジョージを助けて」「ジョージが大変」という声が聞こえている。カメラがずーっと引いて宇宙までひくと、どこかの惑星のようなものが話し合っている。どうやら神様の会話らしい。そして一人の天使クラレンスをジョージを助けるために地球に使わすことをきめる。見返りはクラレンスに翼を与えること。
画面が変わる。少年時代のジョージは弟ハリーたちと池の氷の上で滑って遊んでいる。
こうして、主人公ジョージの少年時代を皮切りに彼の人生を語っていくのである。その物語はどこにでもあるような、そして誰もが経験してもおかしくないような平凡な人生である。仕事に奔走し、成功したり苦労したり、そして恋い、結婚、友人、弟との物語、自分の人生への疑問。それぞれがだれも一度は大なり小なり経験する出来事を紡いでいくのである。
そんなジョージに最大の危機。共同経営者の叔父のふとした見捨て会社の大金を紛失、にっちもさっちもならなくなってクリスマスイブに川へ飛び込む決心をして橋の上に立つのだ。ところがそこで、一人の男(実は天使クラレンス)が先に川に飛び込んでジョージに助けられる。
ところが失意のジョージはどうにもクラレンスが信じられない。その上、自分など生まれてこなければ良かったとさえわめく。そんな様子にクラレンスはジョージに彼が生まれてこなかった時の世界を見せる。
ジョージの友人や親しい人たちが彼が生まれなかったことですさんだ人生を送り、この町も寂しげになっている様子を見、ジョージは泣き叫ぶように元の世界へ戻してくれと懇願、そして橋の上に戻るといつの間にかまた雪が降り出し、彼を逮捕すべく追ってきたはずの警官も懐かしい知人としてジョージに声をかける。
家に戻ってみると、逮捕状を持った銀行検査官もきているが、暖かい家庭とかわいい子供たち、そして妻の姿に歓喜するジョージ。そしてそこへ、ジョージの災難を聞いた町の人々がめいめいのわずかなお金を持って集まってくる。
一気に感動が爆発、画面では大勢の人たちが歓喜の声を上げてクリスマスを祝う。ツリーの鈴が鳴りクラレンスに天使の羽が与えられたことを告げる。
フランク・キャプラの演出は機関銃のように登場人物がせりふをまくし立てながら物語が進むが、この作品も同様ながら、それぞれのエピソードの展開にわずかの隙間もなく一人の男ジョージの人生が語られるのは見事と言うほかありません。これが、語り継がれる名作と言うものですね。この映画を見て自殺を思いとどまったという人がたくさんいるのも納得がいきます。人生は本当にすばらしい物なのです。
すばらしい映画に出会いました。
「赤ずきん」
童話の物語をモチーフに美しいファンタジックな映像でゴシックホラーのごとく完成させた幻想映画というイメージのミステリアスな作品でした。予想以上に良かったというのが印象です。監督は「トワイライト〜初恋〜」のキャサリン・ハードウィックです。
画面映像に特殊効果を施して黄色や赤を基調に幻想的な風景を映し出します。まるでおとぎ話の世界のごとく舞台となる村もどこか非現実的な装いのセットで、森の中の木々さえもが現実離れした風合いの木々が茂っている様子はなぜか怖い物見たさの気持ちを夢の中に再現したようなムードを生み出しています。
映画が始まり、特定の色彩以外をモノクロームで押さえたような森の中で少女(ヴァレリー)と少年(ピーター)がウサギを捕まえて殺そうとしている。彼女たちの村では毎年、狼に生け贄の動物をささげ狼におそわれないように村を守っている。
10年たって、主人公のヴァレリーの姉が狼に惨殺される事件が起こる。生け贄を捧げているにも関わらず起こった惨事に村人たちは憤り、森へ狼退治に出かける。ところがヴァレリーと婚約の約束をしているヘンリーの父が殺されてしまう。何とか狼を退治した物の、翌日到着した狼退治のスペシャリストのソロモン神父によれば本物の人狼は村人の中にいると語る。そして、よるになって村人の前に真っ黒な巨大な狼が現れ次々と人々を襲う。
この人狼の招待を探すサスペンスフルな展開もこの映画の見所で、ヴァレリーに迫った人労はヴァレリーにだけわかる言葉で彼女に話す下りとそのとき狼の目が茶色の人間の目に変わったと言うところからヴァレリーが推理するあたりもおもしろい。
一方ヴァレリーには幼い頃からの恋人ピーターがいる。ピーター、ヘンリー、ヴァレリーの三人にの加えヴァレリーの祖母も絡んでくるあたりからミステリーのおもしろさを加味されてくるし、そこへ童話「赤ずきん」での名せりふ「どうしておばあちゃんの耳は大きいの?・・・」などがヴァレリーの悪夢に登場したりする。
そして、おばあちゃんの危険を察知したヴァレリーは森のなkの家に向かいます。かごに秘密の道具を入れて。
そして、そこで、人狼の正体が父親であることがわかるも、すでにおばあちゃんは殺された後。すんでの所でかごに忍ばせていたソロモン神父の切り落とされた銀の爪がついた手首で人狼を倒し、ピーターと二人で父の体に石を詰めて湖に沈めるあたり、童話をモチーフにした展開である。
その後、手を噛まれたピーターは人狼になって危害を加えるのをおそれ、ヴァレリーの元をさる。
それから幾時か、森のおばあちゃんの家ですむヴァレリーのところへある日真っ黒な狼が現れる。そして抱き合う二人。ピーターが戻ってきたのだろう。
非常にロマンティックなラブストーリーととれなくもないエンディングがまた秀逸で、それまでの不思議なゴシックホラーの世界と幻想的な映像が一気に実を結んだラストを迎えるという感じで何とも言えなく感動してしまいました。