くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「光る女」「翔んだカップル」

光る女

「光る女」
一人の浮浪者風の大男がごみの島を歩いてくる。女が歌っていて傍らにピアノを弾く尻内という男。女は歌を歌えないオペラ歌手吉之である。この大男仙作は北海道から東京へ幼馴染の恋人栗子を探しにやってきたのである。この大男、熊のような大男であまりにも東京には不似合いなところがインパクトがある導入部といえます。

栗子のことを尻内が知っているということで尻内の経営する秘密クラブで格闘技戦に出ることになる仙作。この不気味なクラブの舞台がシュールなイメージで描写され、だんだんと独特の雰囲気の中に引きずり込まれていきます。
ここに歌えないオペラ歌手吉之もいるのですが、この吉野に引かれていく仙作の姿が物語の本編となっていく。

物語の展開は普通なのですが、シュールな描写が散りばめられている上に大男仙作の異様ないでたちと、破天荒な行動の数々が実に奇妙なムードを作品に漂わせてくるのです。

このクラブで仙作は北海道出身の赤沼と知り合う。こうして赤沼と吉之、仙作、さらに栗子を絡めた物語が相まい進時独特の映像演出で語られていく。
ある日、風邪で寝ているという栗子を見舞いに行った仙作はそこで尻内に抱かれている栗子に出会ってしまう。
どうしようもなく尻内からのがれられない栗子の姿に、仙作は尻内に格闘技戦を望む。しかしこてんぱんにやられてしまう。

あきらめた仙作は北海道へ帰ることにするが、ここで突然吉野に「嫁さんになってくれ」という。このぶっきらぼうなストーリー展開に度肝を抜かれることが多く、それがかえって作品のシュールなムードを増徴させていきます。
結局、歌手としてスタートした吉之は仙作と一緒になれないと告げ、いったんは北海道へ戻った仙作だが、栗子からの「助けて」という電話に東京へ戻ってくるのである。この二転三転するストーリー展開はこの大男に感情移入しづらさもあって、ちょっとくどさと退屈を覚えるようになってきたのも事実です。

東京へ戻ると吉之は自殺未遂を起こし病院にいた。仙作は再度尻内に戦いを挑んで今度は斧で倒す。そんな時、栗子が死んだという知らせが届き、仙作は吉之を連れて北海道へ行くのである。
北海道の高原、犬がいて、アライグマがいて、無効で吉之が歌っている。仙作がばくてんをしている。なんともシュールなエンディングであることか。キネ旬の9位ということでそれなりに評価された作品であるし、ファンも多いらしいが、私個人としてはちょっと好みではない映画でした。最後までこの仙作の姿に感情移入できなかったのが最大の要因ですね。

翔んだカップル
この映画はロードショーで見たのではなく、そのあとホール上映で見た作品ですが、すでに30数年たっています。
透き通るような美少女として「野生の証明」でデビューした薬師丸ひろ子でしたが、この作品ではやや普通の女の子になっていたポスターだったのでちょっと期待せずに見たのですが、なんのなんの映画も良かったのですが、薬師丸ひろ子の演技感性のすばらしさに度肝を抜かれ、いっぺんに彼女のファンになった作品なのです。

さて、今回30年ぶりに見直しましたが、やはり良かった。
田代勇介のアップから始まって、校庭をかけてくる山葉圭のショット、アニメのカットがはいてタイトル。軽快な音楽が彩りを添えて一気に映画が始まる。実に心地よくて、これから始まる青春ラブコメにわくわくしてきます。

物語はたまたま同居せざるを得なくなった勇介と圭の高校一年生のカップルが繰り広げるコミカルな青春ストーリー。そこに勇介の親友の中山や勇介を誘惑するインテリの杉村秋美などが絡んできて甘酸っぱいような物語が軽快に展開していく様は本当に楽しい。

相米慎二独特の長回しやロングショットも多用されていますが、まだまだクローズアップや通常のカメラワークもふんだんに挿入されるので見やすいといえば見やすいですね。でも中山と勇介が立小便をするシーンのさかさまのカメラアングルや、道路のミラーに移る勇介の場面などところどころにテクニカルな演出も施され、相米慎二ならではの魅力にもたくさん触れることができる。

何度も書きますが薬師丸ひろ子の演技感は実に見事で、些細な受け答えはもちろん、勇介がしゃべる傍らでじっと立つ圭の何もしないときのしぐさの見事さは見事な力量を感じさせてくれます。

この手の青春ドラマはこの歳になってもどこか胸にジンと来るものがあって、本当に心地よい感動を生み出してくれます。しかもきんきん声のようなハイテンションの薬師丸ひろ子の声の魅力も映画の軽快感を盛り上げるようで本当に心地いいんです。
何度見てもいい映画というのはありますが、この作品はまさにそんな一本です。

ところで、本日見たのは「ラブコールヒロコ・完全版」とタイトルにロゴが入っていた。チラシでは106分となっていたが実際は120分あったようです。資料チェックしてみると私が初めてみたのは1980年初公開時の106分版で、その後1983年にファンの希望で完全版120分が公開されたと書いてありました。