くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「種まく旅人〜みのりの茶〜」「昼下がり、ローマの恋」

種まく旅人〜みのりの茶〜

「種まく旅人〜みのりの茶」
大ファンの田中麗奈さんが久しぶりの主演映画というだけで見に出かけた一本なので、できばえがどうのこうのというのはどうでもいいのが事実でした。

デザイナーとして日々を送る主人公みのりが突然会社の方針転換でデザイナーとしての仕事ができなくなり、会社を辞め、放浪して、大分県臼杵市にある祖父の茶農園にたどり着く。おりしも祖父が倒れ入院することになり、しかたなく農園の世話を始めるが、なぜか気のいいめがねをかけた金ちゃんがことあるごとにいろいろと世話を焼いてくれる。

この金ちゃん、農水省のトップクラスの官僚で行くところ行くところでその地の人たちと親しくなっては農園を手伝ったりすると言う変わり者。冒頭の農作業をしている彼の姿で始まるファーストショットでしっかりと説明する。
その彼が大分へ赴任させられるというエピソードと絡んで、いわゆる「遠山の金さん」的な展開で淡々とありきたりと言えばありきたりの物語が進む。

とまぁ、映画そんなところですが、なんせすべてのシーンに田中麗奈さんがでずっぱりというだけで大満足なのです。しかも、最近ちょっとお肌が疲れてきたかなと思っていたので、今回の作品でみずみずしくも愛らしい姿を拝見できただけで十分満足でした。

ですが、一応、映画のことも書いてみますと、なんともなにがどうかわからないが画面の空間が隙間だらけである。監督の塩屋俊に絵画的センスがまるっきりないのか、なにか画面がしまっていない。それなら別にビスタサイズにしなくてもスタンダードにすればよかったのにと思うほどの空間が空きだらけというのは正直残念です。それに茶農園の苦労話が中心なのになんともうわっぺりだけの薄っぺらい脚本が実に適当。

結局、農業で生活をしないといけないと言う本物の緊迫感が全く伝わってこない。だから物語も薄っぺらになってしまっているのです。

まぁ、とりあえず、不満点も書きましたが、でも、田中麗奈さんを存分に見ることができたのでそれで十分でした。

「昼下がり、ローマの恋」
それほど期待もしていなかったし、苦手なジャンルなのですが、これがなんともシャレて軽妙なラブコメディの秀作でした。

ストーリーの展開が実にテンポいいのでどんどん次の展開に引き込まれてしまうのです。三つのエピソードをつないでいくというオムニバスのラブストーリーですが、そのどれもとにかくおもしろい。アメリカ映画のこの手の作品とはまたちょっと違ったイタリア的なバイタリティなんかもにおわせてくれる物語に時間を忘れて楽しんでしまいました。

タクシーの運転手をしている天使が恋の矢を放ちながらナレーターをつとめていきます。

第一話は青年の恋、野心家の青年弁護士ロベルトの物語。愛するフィアンセがありながら出張先のトスカーナでセレブのような美女ミコルと出会い、ひとときのアバンチュールにのめり込んでしまいます。アバンチュールの後にネット電話で恋人のサラと愛を確かめあう。そしてある朝、ネットをつないだロベルトはサラが廊下を挟んだ部屋にやってきていることを知り、二人は愛を再確認する。そしてハッピーエンド。

第二話は中年の恋。家庭円満なテレビキャスターのファビオは情熱的なエリアナと一時の恋をするが、なんと彼女は精神科に通うストーカー常習者。翻弄されながら、警察とのコミカルな対話や妻や娘とのユーモアあふれる展開など、一つ一つが実に楽しくて、次はどうなるのかとわくわくする楽しさ満点のお話にこっちも翻弄されてしまう。最後は中央アジアへ特派員として旅立つファビオ。そのエピローグまで用意された周到な脚本にもにんまりしてしまう。

第三話は熟年の恋。なんとイタリア映画初出演のロバート・デ・ニーロが心臓移植をうけた大学教授として登場。お相手はイタリアの至宝モニカ・ベルッチ。本当に彼女はいつまでもきれいだなぁと思う。

歴史学の教授エイドリアンはアパートの管理人で親友のオーグストの娘ビオラと出会う。
ある夜、ストリッパーをしていたことがばれて父オーグストと喧嘩をし家を飛び出したビオラはエイドリアンの部屋に泊まる。どこか牽かれるものがあるエイドリアンはいつの間にか若き日の恋への情熱が沸き上がるのを実感。そしていつの間にか二人は結ばれる。

美しい花火を背景に寄り添う二人が何ともほほえましいが、オーグストの訪問に居留守を使ったために警察沙汰になり、二人の関係が父オーグストにばれる。というちょっとしゃれた展開が本当に楽しい。
そして、エイドリアンとビオラは結ばれ子供ができたところで映画は終わる。

どの一遍も本当に心が暖かくなるしゃれたラブストーリーで、こういうのをみると、人生っていつまでも捨てたもんじゃないなぁと実感してしまう。いい映画でした。