くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「キリング・ショット」

キリング・ショット

物語の組立と切り替えしは非常におもしろいのですが、いかんせんそれぞれのシーンでの登場人物の会話がちょっとしつこすぎる。そのために全体にスピード感がでてこなくて、せっかくのフラッシュバックによる過去と現在、真相とフェイクのサスペンスフルなおもしろさが浮き立ってこなくてしんどい映画でした。

いきなりメル(ブルース・ウィリス)のアップで「7年間一緒に仕事をしてきた。信用はしてなかったが・・」のせりふがぶつけられて、ウエスタン調の音楽に乗せてタイトルが始まる。

まっすぐな道から一台の車がやってくる。中に乗っているのは美女三人。テス、ドーン、カラの三人はある深夜カフェで会話をしている。どうやらメルに頼まれた取引の仕事をするようである。取引の相手が見つからず店内の客を見定めている。そして、時間の深夜2時半がとうにすぎて3時をすぎた頃、仕方なく店の店長の女を脅して、取引相手を白状させよとうする。しかし、カラが店長に銃を向けたまではよかったが、店長がカウンター下のショットガンでカラを撃ち殺してしまう。パニックになった客がドーンを撃ち、テスもまた客を撃つ。

テスがシャワーを浴びているシーンに再度クレジットがかぶるというシーンが挿入される。ちょっと驚くのだが、全体のキルトのようなシーンの組み合わせを考えるとこれもまた独創的でいいかもしれない。

別のシーン。一台のパトカーが道路脇に止まった車に近づく。車の故障で立ち往生をしている黒人の男ロニー(フォレスト・ウィッテガー)が警官と会話をし、修理を始めた警官を撃ち殺し、服とパトカーを奪う。

時間が前後に空間も縦横に切り替わりながら次第に一つの場所に登場人物が集まってくる。過去を説明しながら、ここまでのいきさつを巧みに語っていく手法は今更珍しくもないが、せっかくの込み入った脚本がだらだらする。それはそれぞれのシーンの会話で間延びしてしまい、いつまでたってもリズムが乗ってこないためだと思う。

警官になったロニーは前方のテスたちの車を止めてつまらない会話の後解放。テスたちは目的の深夜カフェに。そして再び3時過ぎ。撃ち合いの後、テスに向かって奥からもう一人男がでてきてテスト銃を向けあう。そこへロニーがやってくる。実は彼らはすべてメルの身内らしい。

二年前、このヤクの売人になるまでのテスが描かれ、再び深夜カフェ。どうやらロニーはテスに一方的な恋愛感情を持っているというやや異常な性格のようである。制服が好きだと聞いたロニーが警官の格好をして現れるのにその人物描写をしているが、なんとも今一つその異常さが見えてこない。

結局、それぞれが相打ちになり傷つく。そこへメルがやってくるが傷ついているがまだ無事なテスがメルを撃ちメルの車で去っていってエンディングである。

ストーリーの組立はおもしろいのに演出のリズムがよくないのか退屈だった理由だが、もう少し終盤でそれぞれの人物の過去や人物像の真相をかいま見せてもよかったかもしれない。とにかく、もったいない題材なのである。音楽のセンスはいいので見て損はないのですが残念な一本でした。