くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダイバージェント」「ジゴロ・イン・ニューヨーク」

kurawan2014-07-14

「ダイバージェント」
だらだらとした物語に、メリハリのないストーリー展開、しかも二時間半ほどあるのだから、もう参ったというほかない。典型的なB級SF大作の駄作。

まぁ、この手のSF映画は、出来不出来かかわらず見に行くのだから、結果として残念だったのは仕方ないが、それにしても、つまらなかった。

第一に主演のトリスを演じたジャイリーン・ウッドリーという女優が何とも魅力がない。ぽっちゃり小太りで、セクシーでもなく、今時のキュートさもない。どういう基準で選んだのか、すごいアクションでも見せるのかと思えばそうでもないし、まずこれがつらかった。

物語は、近未来、強制的に四つの共同体に分けられ、それぞれの役割で社会を生きていくのだが、その中に、どの共同体にも分類されない異端者、つまりダイバージェントなる存在が現れ、それを阻止しようとする集団があるが、一方で、政権の奪回を巡る争いがクライマックスになるという、適当な物語の組立に翻弄される。

トリスとフォーのラブストーリーもありきたりで適当だし、エピソードそれぞれにもSFとしてのリアリティもない。アクションも面白味もなく、SFの醍醐味のような終末感のおもしろさもない。原作がライトノベルということで、そのまんま、軽いタッチのストーリーをそのまんま、適当に大作に仕上げた感のある映画だった。


「ジゴロ・イン・ニューヨーク」
宗教的な戒律とか、民族的なことはほとんど知識がないのだが、そういうことはさておいてもわかるように作られているというのは、脚本のうまさといわざるを得ないのでしょうか。

赤とブラウンを基調にした美しい色彩演出と、巨大な顔の絵画を大胆に配置し、日本的な生け花を画面に取り込んだ映像に、とってもしゃれたムードを生みだしてくれる作品で、ストーリーは、いつものウディ・アレン的とはいえ、監督であるジョン・タトゥーロの感性がしっかりと伺える作品でした。

物語はいきなり本筋に飛び込んでいきます。
古本屋を営むマレーは、昨今の本離れから廃業。知り合いの皮膚科の女医でレズビアンの美女パーカーに、3Pをする男を紹介してくれといわれ、勢いで友人で花屋に勤めるフィオラヴァンテを紹介する。

最初は渋ったものの、若い頃もてたという才能が功を奏し、パーカーを虜にし、そのままジゴロとなる。

口八丁のいつものアレン節が炸裂し、少々前半部分が鼻につくのがこの作品の玉にきずだが、客のエピソードは程々に、物語の中心になる、ユダヤ人の厳しい戒律で縛られる地区に住む未亡人アヴィガルと出会う展開へ。

背中を触らせるだけという仕事ながら、その質素で控えめな彼女にどんどん引かれるフィオラヴァンテ。しかし彼女を二年も慕う地域パトロールのドヴィーがマレー等の行動に不審を抱き、マレーを捕まえて、ユダヤ教の審判につれていく。

このあたりの宗教的な部分が全くわからないが、ある意味、コミカルでさえあり、全く知らないとして、ただ、一昔前の厳しい掟に遮られるという展開ととれば、十分についていけるのだから、ストーリーテリングがうまいといわざるを得ない。

結局、フィオラヴァンテとアヴィガルは相思相愛であったかに思えたが、アヴィガルはドヴィを選ぶ。

失恋したフィオラヴァンテは、マレーに町をでるというが、カフェで美しい次のターゲットに出会うや、気持ちが揺らぎ、暗転。

ラストシーンの処理は、途中でだいたいわかってしまうし、マレーの家族が黒人であるという妙なこだわりと、彼の家庭のコミカルさが中途半端なのが気になる。

うまくまとまっているようで、ちょっとちぐはぐな部分が見え隠れする一本で、決して駄作ではないものの、もう一歩物足りなさも残る作品だった。