くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エミアビのはじまりとはじまり」「キング・オブ・エジプト

kurawan2016-09-09

「エミアビのはじまりとはじまり」
期待していなかったのですが、えらく面白い映画に出会いました。ストーリーの構成が実によくできているし、非現実的なシーンを何気なく取り込む自由な発想と、時間の流れや理屈にこだわらない展開、さらにしっかりとした演技演出のコラボレーションがとってもいい。監督は渡辺謙作です。

海野と実道の漫才コンビ、エミアビの軽快な舞台シーンから映画が始まる。この漫才シーンだけでも、手抜きのない完成度の高さに引き込まれてしまいます。

そして、場面が変わると尊敬する先輩黒沢のところにマネージャーと向かう実道の姿。この車の中の掛け合いも実にうまいし、面白い。黒沢の家に着いた実道は仏壇に手を合わせている。写真は海野と黒沢の妹の雛子の写真。どうやら二人は事故で死んだらしいとわかる。この時間を無視したジャンプカットもうまい。

黒沢に言われるままにネタを披露する実道だが、黒沢の執拗な駄目出しにとうとう逃げ出す。そこへやってきたマネージャー。実はドッキリだったというオチ。そして三人で飲み直す。

画面が変わり、雛子と海野が深夜の駐車場で会話している。二人の事故直前のデートシーンに移る。黒沢の家の門が左右に開き、まるで舞台の転換のように切り替わるのである。

やがて、チンピラに取り囲まれ、雛子を救うために、海野はしゃがんだ格好でオナラで空中に飛び上がってチンピラを笑わせるネタをする。というマネージャーの話に場面が変わる。この軽快すぎる切り返しのうまさにどんどんこの不思議な世界に引き込まれるのだ。

一人になった実道は、マネージャーに叱咤され、黒沢とコンビを組むことを決意。そして二人の初舞台を見事に笑いで締めくくる。客席には海野と雛子が見ている。フラッシュバックし、駐車場でのハプニングの後の雛子と海野。雛子は海野に、死んでも解散しないコンビを組もうと持ちかける。

そして、黒沢と実道の場面へ。新たに衣装を変えて舞台に向かう二人のシーンでエンディング。

ちょっと、ラストの処理が甘い気がしなくもないけれど、絶妙の組み立ての脚本である。さすがに脚本家出身の監督らしい、見事な構成の映画でした。しかも、漫才シーンだけでなく、終盤あたりに、黒沢が、7年前の事件の後漫才を止めるきっかけになったらしい人物の墓参りに来て、そこで、遺族と出会い、漫才を再開するなら笑わせろと言われ、墓場でネタをしていると、空から金だらいが降ってくるという展開も、楽しい。

しかも、竜巻で荒物屋の金だらいが宙に待ったというニュースの声も、実に微に入り細にいって。練られた本だなと思う。

小品ですが、とっても楽しい面白い自由奔放な映画でした。


「キング・オブ・エジプト」
いつものような平凡なCGエンターテイメントかと思っていたら、思いの外面白かったし、楽しめました。何と言ってもビジュアルデザインが抜群に美しい。宮殿の形、俯瞰で見せるエジプトの景色、黄泉の国に向かう暗黒の世界の映像などドキドキするほど美しい。さらに、神がはやぶさに変身するビジュアライズも華麗に美しい。全体が豪華なのです。監督はアレックス・プロヤスです。

太古のエジプト、神々が世界を治めていた時代、人間は神々の元で平和に暮らしている。ここに一人の盗人ベックが恋人にプレゼントするドレスを盗むところから物語が始まる。折しも、新しい王ホルスの戴冠式であった。ところが、現王の弟セトが王を殺し、さらにホルスから眼を奪って王に君臨してしまう。

悪政の元で奴隷になっていたベックの恋人ザヤを救い出すべく画策し、うまく救い出したが途中で矢で殺されてしまう。ザヤを生き返らせることができるとホルスに言われたベックは、宝物殿から奪われたホルスの眼を盗み、二人はセトを倒すために冒険を始める。

太陽王で父のラーの助けもあり、いよいよ決戦へ。物語はよくある展開にむかい、当然ハッピーエンドになるのだが、ホルスの恋人で愛の女神ハトホルの存在や、黄泉の国が破壊されたり、スフィンクスとの知恵比べなど、見どころのあるエピソードも見事だし、とにかく映像がオリジナリティあふれていて、見ていたとにかく楽しい。

2Dで見たのですが、3Dでみたら、そしてもっと大スクリーンで見たらもっと楽しめたかもしれません。映画が大画面向きにちゃんと作られているのです。この辺りが、アレックス・プロヤス監督の才能でしょうか。面白かったです。