くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「小さなムックの物語」

「小さなムックの物語」

一般劇場公開されていないのかデータが見つからなかった東ドイツ映画。シネヌーボーの特集で見る。アグファカラーの落ち着いた色彩で見せるお伽話ファンタジーで、たわいない特撮を散りばめながらの物語は個性的で面白かった。監督はヴォルフガング・シュタウテ。

 

瓶を作っている年老いたムックは、いつも悪者ムックと揶揄われながら、子供達に追いかけまわされている。この日もムックは瓶を抱いたまま工場に逃げ込んだが、子供達が後を追いかけてくる。ムックは扉の鍵を閉め閉じ込めてしまい、自分の話を聞くなら開けてやると言う。そして時計の玉が落ちるまでムックの子供の頃の不思議な話を始める。こうして映画が始まる。

 

幼いムックは貧しい毎日だった。運を売る商人を探せば良いと言われ砂漠の冒険に出る。そこで一匹の猫を助けたことから、その猫の飼い主の老婆に家に招かれる。しかし老婆は欲深い女だった。助けられた猫は老婆が隠している魔法の杖と靴をムックに与える。ムックはそれを持って老婆の屋敷から脱出する。

 

そこへ、王様の飛脚が通りかかる。ムックがもらった靴は、踵を折っていると普通だが、広げるとものすごい速さで走れる魔法の靴だった。ムックは王様の飛脚と競争をする。ところが途中で靴の片方が噴水に吹き上げられ、そのタイミングで時計のボールが落ちて今日のお話は終わる。しかし子供達は先が聞きたいので、またムックのところにやってくる。ムックは噴水に乗って靴を手に入れ、とうとう飛脚長に勝ってしまい、王様付きの飛脚長になる。

 

そんなことが面白くない王子や高官たちはムックを懲らしめようとする。その頃皇室にはお金がなくて困っていた。高官たちは隣のフセイン国と戦争をして宝物を手に入れれば良いと言い、ムックに戦争開始の詔勅の手紙を持たせてフセイン国に走らせる。フセイン国の王子ハッサンと恋に落ちていたアマルツァ王女は魔術師を抱き込んで、戦争には負けると王様に進言させる。

 

一方ムックは途中で、かつての飛脚長に出会う。飛脚長の妹が病気で薬を届けるのだが自分の足では間に合わないと言う。ムックはその薬を届けてやり妹は助かる。その頃、王様は戦争をしないことにしてムックの詔勅を取り戻さんと手下を向かわせていた。ムックは途中でそに手下にあって国に帰る。王様は魔術師に、かつて王様の曽祖父が庭に隠した財宝を探すように命令していた。実はムックの持っている杖は宝物を探すことができた。ムックはその杖で宝物を手に入れ、奴隷たちを助けたりするが、王子たちの陰謀でムックは靴も杖も取り上げられて砂漠に追放される。

 

ムックは砂漠で魔法のいちじくを食べる。すると耳がロバの耳になった。別の木のいちじくを食べると元に戻ったことから、仕返しのために王室に戻り、いちじくを王様や王子たちに食べさせる。ロバの耳になった王様にムックは変装してもう一つのいちじくを持ってくる。王様はロバの耳が治るならなんでもやると約束したのでいちじくを与える。ムックは取り上げられていた杖と靴を取り戻す。ハッサンとアマルツァ王女はめでたく結婚となる。

 

ムックは砂漠に靴と杖を埋めてしまう。こうしてお話は終わる。子供たちは感心し、もうムックを揶揄わなくなった。そして瓶を運ぶのを手伝うようになってめでたしめでたし映画は終わる。

 

本当にたわいない映画で、珍品という一本を見たと言う感じだった。