くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アニメーションの神様 その美しき世界VOL.2&3」「藍より青く」

「アニメーションの神様 その美しき世界 川本喜八郎岡本忠成監督特集」

ストップモーションアニメの大家二名の特集上映

川本喜八郎作品

花祈り、鬼、詩人の生涯、道成寺、火宅

どの話も個性豊かで、手書きアニメ風もあり、人形によりストップアニメもあり、素晴らしかった。好みでは、「道成寺」「火宅」が見事。

岡本忠成作品

チコたんぼくのおよめさん、サクラより愛をのせて、虹に向かって、注文の多い料理店、おこんじょうるり

川本喜八郎とはまた違った雰囲気のストップアニメの面白さを堪能できました。大好きなのは「虹に向かって」「おこんじょうるり」には素直に泣いてしまいました。

 

藍より青く

NHK連続テレビ小説の映画版ですが、これは良かった。山田太一の原作、熊谷勲の脚本が見事で、今時の人気脚本家とは雲泥の差というほど台詞の一つ一つ、展開の一つ一つが考え抜かれているのが伝わって来るし、役者の層が厚いので物語に深みが出て、ラストまで引き込まれます。松坂慶子の主演第一作で、とっても美しい。監督は森崎東

 

時は昭和19年、九州天草の漁師町、出征を半年後に控えた周一には誰もが認める恋人真紀がいた。真紀の父は地元の小学校の校長で名士である。一方の周一の家は代々網元を務めるこちらも名家であった。戦争も末期が近づき、村の若者たちも出征すれば死を覚悟しないといけないことは心の中でわかっていた。周一も、自分が真紀と一緒になれば真紀を不幸にするということで葛藤していた。

 

物語は、真紀の将来を危惧する父行義の真紀と周一の結婚への執拗な反対を軸に、周一の悩み、真紀の不安が描かれていく。そんな中、真紀は家出をし、行義の執拗な反対を覆そうとする。そしてとうとう行義は折れて晴れて結納となるが、今度は周一が、自分と結婚しても真紀を不幸にしないということへの確信が得られず、一人島を出ようと決意する。おりしも嵐が迫っていた。

 

荒れた海に出た周一を誰もがその死を覚悟するが、翌朝、迎えの船に乗った周一が戻ってくる。出迎えた真紀は「周一と一緒になることで決して不幸になることはない」と周一に告げ二人は覚悟を決めて映画は終わっていきます。

 

まだまだ役者の層が厚い上に、見事な台詞の数々にどんどん引き込まれ、それに森崎東の演出が加わって、素晴らしい一本に仕上がっています。いい映画を見たという感じで胸が熱くなりました。