くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アラビアのロレンス」(完全版)「大名倒産」

アラビアのロレンス

TOHOなんば一番スクリーンという大スクリーンで上映ということでまた出かけました。やはりこのレベルになると、背筋に寒気が走るほど見入ってしまいます。やはり本物の名作ですね。何度見たかわかりませんが素晴らしかった。監督はデビッド・リーン。物語は今更なので書きませんが、壮大な砂漠の景色に、さまざまな伏線が貼られている上に、インターミッションの後の人間ドラマに変化した後のゾクゾクするほどの恐ろしさと冷たさに、身動きできなくなります。また機会があったら見に行きたいですね。

 

「大名倒産」

漫画チックにコミカルに作るならそれも大有りだと思いますが、とにかく笑いのテンポのセンスが全くない脚本と演出に辟易とした映画で、そもそも演者が楽しんでいるだけで、観客を楽しませようという気概が全く見られない失礼千万な作品だった。大根役者も使いようで面白くなるものですが、そこも手抜きだらけ、しかも芸達者にさえ放ったらかしというあり様は馬鹿にしてるとしか思えなかった。監督は前田哲。

 

丹生山で、塩引き鮭を作っている間垣家の長男小四郎が父の姿に憧れているところから映画は幕を開ける。母は幼い頃に病で亡くなり、父と二人暮らしだった。やがて成長した小四郎は父の仕事をついで、今日も露天で商売をしていたが、家からの使いで慌てて家に帰ると、丹生山藩からの使いが来ていて、実は小四郎は丹生山藩主一狐斎の忘形見だった。長男は落馬で亡くなり、次男はうつけもの、三男は病弱で後継は叶わず、小四郎が後を継ぐことになったのだという。

 

小四郎はあれよあれよと藩主になり、早速、幕府の老中仁科や側近板倉たちに御用金を届けにいくが、今まで金銭が実際に届けられていないのだという。調べてみると藩には25万両という借金があるのだと知らされる。一狐斎に相談に行くと、大名倒産をして幕府に借金を肩代わりさせる計画を進めているのだと言われる。ただし、藩主は責任をとって切腹をしなければいけない。小四郎は、たまたま街で再会した幼馴染のさよや腹心の磯貝らと、財政立て直しを始める。

 

不要なものを売り払ったものの、拉致があかない。実は、借金の原因は、大阪の両替商タツが幕府要人を後ろ盾にして、仕事の中抜きをして私服を肥やしていたことが判明、その黒幕は老中の仁科や父一狐斎が絡んでいるらしいと判明。小四郎らは帳簿を再調査し、証拠を掴むべく奔走し始める。小四郎はたまたま実家の間垣家を訪ねると、今は鮭漁もしていなくて寂れていた。一方、三男でうつけの新次郎は小池家の娘初と恋仲だったが、父の越中守が反対していた。

 

一方、小四郎らの大名倒産の計画が幕府にバレて、小四郎は一週間後に老中仁科たちの前で身の潔白を証明しないと切腹しなければならなくなる。やがて証明する日の前夜、投げ文が磯貝の元に届く。証明するべき当日、老中と板倉の前に出た小四郎は、先日、町方の長谷川がタツらが隠していた金や米を見つけたことを証拠に、身の潔白を証明、さらに、そこに現れた一狐斎の芝居がかった演技で仁科の悪事も暴かれる。こうして借金はどうにか帳消しになる。さらに塩引き鮭と越後の米を江戸で売るという商売を小四郎が計画、小四郎の父が再び商売を始め、初の熱心な説得で父小池から輸送の船の金も工面した小四郎らは、藩の財政安定にも成功する。

 

この日、初と新次郎の婚礼が執り行われていた。こうして映画は終わっていくが、エンドクレジットの後、小四郎がさよに告白しようとして、蜘蛛が現れ失敗、そこへ江戸城改築の奉行職の依頼があったと連絡がきてエンディング。

 

とにかく、二時間足らずなのに笑いのセンスがズレていてやたら長くだらけているし、チープなセットや衣装を逆手に面白おかしく演出すべきもできていない。一体、観客に金を払わせて楽しませる気があるのかと思いたくなる酷い映画だった。