くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ビートルジュース」「ソウルの春」

ビートルジュース

1988年の第一作をようやく見ることができた。独特の造形のマペットアニメと実写を融合、遊び心満載で描くゴシックファンタジーは楽しいのですが、ストーリー展開が少々リズム感に欠けるために、上映時間の割に長さを感じてしまう。でも、憑依して歌を絶唱する場面などはなかなかの見どころだった。監督はティム・バートン

 

アダムとバーバラの仲睦まじい夫婦の姿から映画は幕を開ける。近くのジェーンがやたら家を売るように言って来たりするも二人はラブラブである。ところが車で出かけた二人は、犬を轢きかけて事故を起こし死んでしまう。目を覚ました二人は、しばらく自分たちが死んだ事に気が付かなかったが、自分たちの家にディーツ家の夫婦とリディアという娘が移り住んできて、ようやく実感を感じる。

 

屋根裏部屋に避難し、死者の初心者マニュアルなる本を読みながら、ディーツ家を追い出すためにどうして脅かしてやろうかと考え始める。あの世のケアマネジャーに相談に行き、あの世からの宣伝CMで、困った時はビートルジュースなる何でも屋という存在を知るが、ケアマネジャーは、トラブルのもとだからと、関わらないことを勧める。

 

ディーツ家の夫婦は家を勝手に改造し、趣味の悪い彫刻を持ち込み、ますますアダムたちを苛立たせる。ところがディーツ家の娘リディアはアダムたちが見えることがわかる。アダムとバーバラは屋根裏に町の模型を作っていた。そに模型の墓地にビートルジュースは埋められていた。アダムたちが名前を三回呼んで、穴から一旦掘り起こすが、名前を再度三回呼んで模型に閉じ込めてしまう。

 

アダムとバーバラはリディアの協力で、この家を追い出す手立てを考えるが、ゴーストがいると聞いたディーツ家の夫婦は見せ物にして儲けようと考える。そして、死者の初心者マニュアルを手にして、生き返らせる呪文をかけるが、アダムとバーバラは中途半端に蘇り、老人の化物のようになってくる。困ったリディアは、かつて、この世に甦って騒ぎを起こすことが趣味のビートルジュースに助けを求める事にして、その名前を三回呼んで蘇らせる。

 

現れたビートルジュースは、ディーツ家を散々お騒がせした挙句、見返りとしてリディアとの結婚式を行おうとするが、アダムらの反撃で、ビートルジュースの名を再び三回叫ばれて、あの世へ送り返されてしまう。アダムとバーバラはディーツ家と共存する事になり、そんな日々が始まって映画は幕を閉じる。

 

たわいない物語を、個性的なマペットとファンタジックな演出で陽気に描いていく作劇はとっても楽しいのですが、展開がどうも平坦で、マイケル・キートンの怪演で引っ張っていくだけになったために、あと一歩手放しで楽しめる作品ではなかった。

 

「ソウルの春」

1979年の大統領暗殺後、「ソウルの春」として民主化が進むと思われたが、軍事独裁を目論む軍部のクーデターで「ソウルの春」が終焉するまでの実話をサスペンスフルにフィクションを交えて描いた作品。この手の映画を作らせると韓国は実に上手い。やはり、今も戦時中というリアル感が生み出す緊張感ゆえだろうと思う。さらに韓国映画らしい悪人のバカさ加減というお決まりの展開も、ストーリーに迫真の状況を生み出して、娯楽映画としては非常に良くできた一本だった。ただ、個人的には見た後の爽快感がなく、どんよりと重く沈む気持ちになったことは確かです。監督はキム・ソンス。

 

1979年、独裁者といわれた時の大統領が暗殺され、その状況で軍部内部に緊張が走っている場面から映画は幕を開ける。韓国内では民主化が進み「ソウルの春」を期待する雰囲気が広まる。暗殺事件の捜査本部長に着任したチョン・ドゥグァンは、自身の極秘組織ハナ会を率いて、軍部政権を手に入れる野心を抱いていた。

 

チョン・ドゥグァンの行動に危機感を募らせた陸軍参謀総長チョン・サンホは、牽制するために正義感の強いイ・テシンに首都警備司令官に任命しようとする。最初は固辞したイ・テシンだったが、チョン・ドゥグァンを抑えたいという参謀長の強い依頼でとうとう首都警備司令官の任に就く。

 

チョン・ドゥグァンはハナ会のメンバーを率いてクーデターを計画、参謀長を逮捕するための承諾を大統領に迫る一方で参謀長を拉致する。ところが大統領がすぐに承諾しなかったために、参謀長の拉致が強行され、銃撃戦になってしまう。そして、事態は徐々に拡大していく中、イ・テシンはチョン・ドゥグァンらを反乱軍とし迫ってくる。

 

追い詰められたチョン・ドゥグァンらは、ハナ会のメンバーである空挺旅団をソウルに呼び戻そうと考える。それを阻止するためイ・テシンは身を挺してソウル侵攻を阻止するが、軍上層部は保身しか考えておらず、チョン・ドゥグァンの計画にまんまと乗せられて空挺旅団のソウル侵攻を許してしまう。

 

イ・テシンは、わずかに残った首都警備隊の面々とチョン・ドゥグァンに迫っていくが、保身と才能のない国防長官がチョン・ドゥグァンに丸め込まれ、イ・テシンは首都警備司令官の任を解かれ逮捕されてしまう。そして、チョン・ドゥグァンの勝利となり、大統領にも事後承諾で行動を容認され、やがて軍部政権を掌握、のちに大統領となるテロップと共に映画は終わる。

 

韓国歴史の汚点を堂々としかも娯楽作品として描き切った気概は相当に評価すべきものあるし、流石にまだまだ韓国映画健在と言わざるを得ない一本だった。