くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「明日への遺言」

明日への遺言

いつもいうことですが、映画には見ておかないといけない作品が時としてあります。
小泉堯史監督が描く「明日への遺言」はそんな作品の中の一本です。

第二次大戦の中での大きな出来事は映像として取り上げられることはたくさんあります。たとえば真珠湾攻撃や原爆投下などですが、そんな大きな出来事の陰に数々の悲劇や人間ドラマがあることも事実であり、そんな出来事を一つの事実としてスクリーンにした作品こそは絶対に逃してはならない物です。

物語はBC級戦犯の裁判で、一人の人間として、自分の信念を貫き、一方で、戦勝国アメリカを、そして戦争そのものを非難した一人の将校の物語です。

すべての責任は命令した自分にあり、部下が行った行為に対し部下に責任はないという信念を貫いていく主人公岡田資中将(藤田まこと)の姿は、もちろん演じた藤田まことの熱演によるところももちろんであるが、心の中に直接訴えかけてくる物があります。

人間としての生き方や信念、正しいことの常識が日本だけでなく世界中で疑われ始めている現代で、もう一度、すべてをリセットして、人間としてのあり方を見直すためにはこの作品の持つ意味は十分にあります。

映画としてのできばえの善し悪しはともかくも、一つの知らないままですまされない出来事の一つを知る上で、映画という最良のメディアを通じて体験できる幸せを実感し、是非見ておいてほしい作品だと思います。