くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ポライト・ソサエティ」「男の世界だ」

「ポライト・ソサエティ

イギリス発のインド映画という奇妙な作品で、インド映画独特のダンスシーンやスローモーションも多用し、イギリス映画らしい洒落た感はほとんどない作品でした。荒唐無稽なストーリー展開もさることながら、キレのないアクションシーンが、せっかくのコミカルなシーンも壊していく。とはいえ背後の音楽がテンポよく映画を牽引するので、それはそれで楽しめることができた。監督はニダ・マンズール。

 

スタントウーマンを目指すリアはこの日も空手の道場で稽古をしている場面から映画は幕を開ける。家に帰れば画家を目指す姉リーナに相手になってもらって、後ろ回し蹴りの稽古に勤しむ。リナはハリウッドで活躍するスタントウーマンに憧れ、メールを送っては自分を売り込んでいた。学校でも変わり者と言われるリナだが親友のクララとアルバと楽しい日々を過ごしている。リナを目の敵にするコヴァックスと張り合うも、負けてしまい悔しい思いをする。

 

家に帰ったリアは、両親から、麻雀友達のラヒーラからパーティに誘われたと言われる。気乗りしないまま、リナとリーナも一緒に行くが、実はラヒーラは息子サリムの結婚相手を探していた。裕福なラヒーラの大邸宅で賑やかにパーティは催されたが、医師でイケメンのサリムはリーナと意気投合する。その様子を見たリナは、素直に受けられない何かを感じ、リーナとサリムを遠ざけようとする。しかし、日に日にリーナとサリムの仲は深まっていく。

 

リナはアルバとクララに協力してもらい、様々な妨害を企てるが、サリムは非の打ち所がない好青年だった。一方リーナはすっかりサリムに惚れ、画家になる夢もあっさり捨てるに及んでリナの行動はエスカレートしていく。そしてとうとう、サリムを中傷する方法を考えると宣言し、アルバやクララから引かれてしまう。まもなくしてサリムとリーナな婚約してしまう。なんとか破談にしようと一人でサリムの邸宅に忍び込んだリナだが、そこに来ていたリナの母に見つかり、自室に謹慎させられる。

 

後日、土産を持って謝りに行くように言われたリナはサリムの家に行くと、サリムの母ラヒーラはあっさり彼女を許し、結婚式の準備のエステを施し始める。しかしそれはラヒーラからリナへの復讐だった。リナはその場を脱出して、邸宅内を逃げ回るうちに、怪しいラボを発見する。そこには先日のパーティでやって来た女性のデータが記録されていて、どうやら、リーナなその実験のために望まれたことがわかる。

 

リナは、クララとアルバに謝って、ことの次第を話しコヴァックスにも協力してもらい、結婚式当日にリーナを拉致することにする。そして結婚式の日、リーナの部屋に入ったリナだが、そこでラヒーラが、自分のクローンを作るためにリーナをその受け皿にする計画であると告白する。会場でリナがダンスをしている間にアルバとクララがリーナを誘拐するが、慌ててラヒーラが戻り、そこへリナが駆けつけて、ラヒーラに殺されそうになる。アルバとクララはリナを助けるためにリーナを連れて戻るが、ラヒーラらに監禁されてしまう。ところがコヴァックスが駆けつけてみんなを救出、式場へ向かう。

 

式場ではリナはラヒーラの陰謀を暴露するが最初は信じてもらえない。しかしリーナが先日、サリムとベッドにいる時、自分が検査されている夢を見たと思ったがそれが現実だったとわかり、リナと一緒に逃げる。最後にリナはラヒーラと一騎打ちをし、後ろ回し蹴りを成功する。一段落したリナに憧れのスタントウーマンからメールが入り、一緒に食事したいと言ってくる。全てハッピーエンドになって映画は終わる。

 

お話が荒唐無稽な上に、所々にスローモーションを使った演出はまさにインド映画の世界。面白くなかったとは言わないまでも、イギリス映画の雰囲気は全く感じられなかった。

 

「男の世界だ」吉田、菅原、寺島

吉田輝雄菅原文太、寺島吾郎、高宮剣次の新東宝ハンサムタワーズというスターと大空真弓というヒロインのいわゆるスター映画で、かなり取ってつけたような御都合主義の物語が延々と続く作品で、突っ込みながらの鑑賞だった。監督は土居通芳

 

拳闘部の吉田がリングで試合をしている場面から映画は始まる。そして勝利を祝福する友達の前で恋人の玲子も彼にお祝いをいう。そこへ新聞記者の菅原がやって来て、吉田の兄で柳瀬港湾という会社で組合の委員長をしている吉田の兄が殺されたという新聞を持ってくる。どうやら港湾を仕切る北島組に殺されたらしいと考えた吉田は長崎にやって来る。彼を追って玲子もやって来る。玲子は柳瀬港湾の社長令嬢だった。

 

長崎に来た吉田は、北島組が街を牛耳っている状況に危惧、キャバレーでチンピラと喧嘩しそこで高宮という男と出会う。高宮の恋人蘭子は今は北島組の組長の情婦だった。吉田は、兄を殺した犯人を探すうちに、柳瀬港湾の専務野島が北島組と関わっていることを知り、菅原と事の真相に迫っていく。一方野島は、自身の足元に火がついて来たことを危惧して殺し屋高宮に北島組のチンピラで吉田の兄殺しに関わった連中の殺戮を指示する。

 

野島は柳瀬港湾社長に、北島組を追い出せたら玲子と結婚させてもらう約束をしていた。そのために吉田も邪魔になり、高宮に吉田を殺すように依頼するが、吉田は蘭子を連れて高跳びする計画を立てる。野島と北島の悪事の核心に迫った菅原と吉田だが、北島は玲子を誘拐して、高宮が奪った柳瀬港湾と北島組の覚書を取り戻そうとする。その取引の場で、北島らは吉田らを亡き者にしようとするが銃撃戦の末、野島も死に、菅原の手配で警察も駆けつけ、高宮は吉田に借りを返すも撃たれて死んでしまい、全てが終わって映画は幕を下ろす。

 

ツッコミどころ満載の映画で、尺に合わせてやたら喧嘩シーンが挿入されるし、冒頭の拳闘シーンがなんの意味もないという本編は笑ってしまう。まあこういう時代だったと思えばこれはこれで楽しかった。