くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「秘密への招待状」「マーメイド・イン・パリ」

「秘密への招待状」

オリジナルを見てないので何とも言えないけど、良いお話なのですが、ちょっと古臭い感じの演出が気になり、女優二人の存在感が目立ちすぎて、肝心のドラマ部分が薄れてしまった感じですね。監督はバート・フレインドリッチ

 

インドで孤児院を営むイザベルが子供達と瞑想している場面から映画は始まる。俯瞰で捉えるカメラがまず一昔前の演出という感じである。経営が苦しく寄付を募るも集まらず苦慮しているところへ、ニューヨークの実業家テレサから寄付の申し出が来る。しかも破格の二百万ドル。イザベルは話を詰めるべくニューヨークへ向かう。

 

イザベルがニューヨークで会ったのは、会社経営者のテレサで、間も無く娘グレイスの結婚式を控えているので、イザベルにも出席してほしいという。ところが、出席したイザベルは、そこでかつての恋人オスカーと再会する。何とオスカーはテレサの夫だった。しかも、グレイスは、かつてオスカーとの間に生まれた娘だった。オスカーとイザベルは出産後の子育てに不安を抱え、出産と同時に養子に出すということで別れたのだ。ところがオスカーは娘を育て、しかもテレサと再婚していた。

 

偶然の再会と出来事にテレサやグレイスも含め混乱に陥る。実はテレサは病気で、余命幾ばくもなく、その中で会社を売却する決心をしたのだ。事情の変化に、テレサは寄付額を二千万ドルに引き上げ、グレイスとイザベルで基金を設立、イザベルはニューヨークに住むことにして、テレサはイザベルに、オスカーとの息子二人とグレイスの面倒を見てほしいと頼む。

やがて、テレサは亡くなり、グレイスはインドへ荷物を取りに戻る。息子のように可愛がっているジェイにも別れを告げて映画は終わっていく。

 

グレイスが離婚することになったと言うがその辺りの描写がちょっと弱い。さらに不必要な俯瞰撮影、おそらくドローンなのだろうが、が無駄な描写に思える。しかも、ジュリアン・ムーアとミッシェル・ウイリアムスの存在感が大きすぎて、ドラマ性が希薄になってしまったのが残念。オリジナル版はおそらくずっとよく仕上がっていたのだろうが見てないので何とも言えません。

 

「マーメイド・イン・パリ」

面白い題材になりそうなのに、ファンタジーにするのかラブストーリーにするのかドラマにするのか方針を決めて突き進めば良かったのに、センスのない監督のリズム感の悪い演出とどっちつかずの物語に、いったい何だったのかと言う作品でした。ただ、人魚役の女の子は可愛かったので許しましょう。監督はマチアス・マルジウ。

 

マペットアニメのようなコミカルなタイトルから、ローラースケートを履いた主人公ガスパールが颯爽とパリの街を疾走し、とある船上カフェに行く。そこは合言葉を告げると船底の特殊な店に入ることができて、ガスパールはそこで歌手として働いている。オーナーは彼の父である。このオープニングは実に素敵なのです。

 

このそばの桟橋に一人の男が甘い歌声に惹かれて運河の中に身を沈めていく。何やら妖しい雰囲気なのだがこの導入部が実に弱い。そしてガスパールは、桟橋で傷ついた人魚を見つける。人魚を病院へ連れていくが、そこで、ガスパールが目を離した隙に近づいた医師が人魚の歌声を聞いて死んでしまう。

 

ガスパールは、病院が取り合ってくれないのでオート三輪で自宅に人魚を連れ帰る。人魚の名前はルラと言って、自分の歌声を聞くと死ぬのだと言うが、愛を失ったガスパールには効果がない。このガスパールの悲劇の過去も全く描写されていないので、その後、終盤にかけルラに恋して来たガスパールが命の危険になるくだりに信憑性がない。

 

ガスパールの部屋のそばに世話焼きのロッシという女がいて、人魚の存在を知るが、普通に接し始める。一方、ルラに殺された医師の妻ミレナが執拗にガスパールを探す。ルラは二晩の後に海に帰らないと死んでしまうと言う。ルラに惹かれ始めたガスパールは、ルラと何とか暮らそうと考えるが、時間は迫って来る。この辺りが実に適当で、ラブストーリーの盛り上がりも、タイムリミットのサスペンスもない。さらに、ミレナはルラの血液を採取したり、ロッシが脱出を手伝ったり、もう終盤は支離滅裂になってくる。

 

ファンタジックコメディなのか、ラブストーリーなのか、はたまたサスペンスなのかとごちゃごちゃになり、最後はガスパールはルラを海に返しその場で気を失うが追いかけて来たミレナがガスパールの心肺蘇生をして助ける。て何やねんと言う感じである。ガスパールは、閉店した父の船を使って海の彼方へとルラを追って行って映画は終わる。まあ、何とも言えない雑な作品でした。