くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ブラインドネス」

ブラインドネス

突然、人々の目が見えなくなり、世界が大混乱になるというサスペンス「ブラインドネス
宣伝からも、まるでSF的かつホラー、サスペンスであるかのように映し出されてきた作品である。

それを期待して、突然目が見えなくなった人たちが、どんな行動に走り、やがてその意味が明らかになっていくだろうと最後まで付き合った人は、あまりのシュールな世界にだんだん、息苦しくなったことでしょう。

今まで世界が当たり前のように目の前にあった人たちが、ある日突然、真っ白になる。真っ暗ではなく、真っ白であるところがこのドラマのみそかもしれませんね。
失明するのではなく、盲目になるのです。光があふれているように目に前が何も見えない状態になる。

あとは、まず、パニック、そして、伝染病、そして隔離、その中での確執、人間のエゴの露呈、やがて、更なるパニック。このあたりまで来ると、いつまでも出口のない展開に気がつき始めます。そして、それぞれの人間が、欲望やエゴをむき出しにし始め、それに無気力に従う集団と支配する集団が生まれ始めると、非常に不快感に襲われ始めるのです。

このあたりから、この映画は宗教色があるのではないか、何か哲学的なものがあるのではないかと、そのテーマを探し始めるのですが、いかんせん、これも出口が見えてこない。

そして、ラストーンに至って、今まで徐々に私たちに提示されてきた「目の見えないこと」の意味が一気に、明らかになるとともに、実は、見えていると思っているのは自分たちだけであると、逆に懐疑心が芽生えて終わります。

なんともシュールで、至上学的なドラマでしたが、そのテーマの壮大さに、正直ぐったりとした作品でした。
確かに、ストーリー展開のリズム、畳み掛けてくるテーマの提示は見事に伝わってきますので、いい映画だとは思いますが、娯楽映画ではないことを納得の上で見るべき作品ですね