韓国映画のラブストーリーには時として非常に心引かれる映画があるので、今回の作品もその題名や海外での評判から半分期待で見に行きました。
物語の表現手段はちょっと稚拙ですが、前半から広範にかけてぐんぐん引き込んでいく展開はなかなかおもしろかった。まさに全編に秘密がちりばめられたラブストーリーでした。
映画が始まると主人公ヘジョン教授が秘密のサイトへなんと「ヴァギナの解放」というパスワードでログインするシーンから始まるつまりは口の悪い言い方をすると中年女性の欲求不満物語かと思わせられる。そして、物語はその部屋にあるコピー機のナレーションで始まるのだ。一瞬、開いた口がふさがらないが、韓国映画は最初は我慢しないとと思って見ていくと、そこへ一人の学生ウサンが助手として登場。物語はヘジョンを中心に欲望が頂点に達している女性の視点で展開、正直、少々醜くさえ見えてしまう。
しかし中盤、ホストクラブに友人と出かけたヘジョンがそこで働くウサンと出会い、今までがすべて嘘だったと流れが変わる。そして後半、今度はウサンの持っているデジタルカメラが物語をナレーションしていき、前半の様々な伏線や秘密が謎解きされていく。このあたりからこの映画とにかくおもしろくなってくる。コピー機とデジカメという一人称によるストーリーテリングは、解説ではほめているが、私個人としては稚拙に見えなくもない。
結局、それぞれの誤解がそれぞれに解かれそのまま二人は再会、シャワールームで抱き合うショットでハッピーエンドだが、薄っぺらく思えるのですがちょっとおもしろいラブストーリーだった気がして映画館をでるのです。
演出をしたのはイ・ヨンミという女性監督なので、前半の露骨な中年女性のSEX欲求のシーンなどは許せる気持ちになる。これが男性監督ならまさに偏見の固まりに見えていたところである。
いずれにせよ、ちょっとした一本だった気がするし、一部で話題になったのもうなずける作品でした。