くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「恋人たちの時刻」「伊賀忍法帖」「RANMARU 神の舌を持つ男

「恋人たちの時刻」
切ないラブストーリーで、どこか、甘ったるい空気が漂う一本でした。静かないい映画だった気がしますが、と言ってものすごい秀作とまではいかないかもしれません。監督は澤井信一郎です。

マリ子という一人の少女が浜辺でサーファーを見ているシーンに映画が始まる。そこへ、二人の不良がやってきて彼女を襲うが危ないところでサーフィンをしていた西江という青年に助けられる。そして西江はその少女マリ子に必死でアタックする。

マリ子は、小樽にいる友達の典子を探してくれという。その願いに、西江は小樽に飛び、必死で探すが、行き着いた美容院で典子の写真を見る。それはマリ子だった。

一方マリ子は、彫刻のモデルをし、夜は歯医者で働いていた。

こうして、医師を目指す西江と典子の恋の物語が始まるが、典子は、男性との一度のSEXを繰り返し、生きている証を求めていた。彼女をモデルした彫刻家は、乳がんで入院している妻の代わりに彼女に美を求めていた。

西江と典子のどこか不器用でシュールなラブストーリーが淡々と進み、やがて、二人は、結ばれるものの、二人の間に、純粋な恋人関係は生まれない。

何気なく二人は離れ離れになって映画は終わるが、何気ない気だるさの残るラストに、不思議な感慨を心に感じてしまう。これもこの当時の恋愛観の一つだった気もする。見る価値のある一本、そんな映画でした。

伊賀忍法帖
山田風太郎原作の忍術もので、30年ぶりくらいに再見。初めて見たときはそれほどおもしろいと思わなかったが、今回見直して、そこそこの見せ場と、しょぼいながらも大作の風格の特撮に、結構楽しんでしまった。監督は斉藤光正である。

渡辺典子初主演映画で、若き日の真田広之が主人公を演じるアクションものです。稚拙ながら、ワイヤーワークを多用し、空中を飛び回る悪の妖僧たちと戦う主人公の姿を描いていく。

妖術で死人が蘇ったり、首がすげ変わったり、口から溶液を吐いたりと、山田風太郎らしい妖術が次々と登場、さらに、エロティックなシーンも数々挿入されされ、見せ場満載である。

ストーリー展開がやや間延びするために、終盤がしんどくなってしまうが、大仏殿消失のスペクタクルなシーンも交え、次々と特撮が展開する娯楽映画である。

ラストは、悲劇的な終焉ですが、あまり心に迫ってくるものがないのは、脚本の弱さでしょうか。でも、これもまた角川映画の個性かもしれません。

RANMARU 神の舌を持つ男 鬼灯デスロード編」
テレビ版もいまひとつ面白くなかったが、映画版も今ひとつ。堤幸彦の悪ノリしすぎた演出か、的を射ていない滑りまくりの脚本ゆえか、だるいだけの推理ドラマだった。やはり、「トリック」などのパターンの成功は蒔田光次脚本の力ゆえだったのだろう。

舌で、その舐めたものの成分を感じ分ける力のある主人公蘭丸が、とある村のはずれで行き倒れとなり、そこで助けられたところへ、いつものズッコケメンバーが合流、その村で起こった事件を解決する展開となる。

例によって悪ノリした一発ギャグが満載と、妙な怪現象という設定は「トリック」から一歩も進歩はなく、蒔田光次脚本ではないので、推理ドラマとしてのストーリーの面白さもない。完全な駄作である。

まぁ、堤幸彦ファンとしては、いつもの悪ノリが観れたのだからいいとしようか、という程度の映画だった。