くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「夫婦の危機」

kurawan2015-08-27

Vivaイタリア映画祭の一本を見に行った。監督なナンノ・モレッティである。
オープニングから中盤までは軽快なユーモアをちりばめて物語が展開するのですが、中盤から後半、みるみる画面が暗くなっていき、ストーリーが一気に内にこもってしまう。しかも、そのままラストシーンを迎えるから、いったいこの映画は何を狙ったものかと思ってしまいます。

映画は、敏腕のB級映画プロデューサーのブルーノが作った如何にもな映画のシーンから始まります。正直、呆れるような映像で、なるほどB級と納得してしまう。このオープニングが実に楽しい。

その時の主人公の女性が現在の妻だが、どうも、関係がギクシャクしていて、別居の方向に向かっている。

一方、ブルーノも次の作品の目処もつかず、模索している。そんな彼に、子供を抱いた一人の女性が、自分が書いた脚本を読んで欲しいと託す。

最初は適当にしていたが、切羽詰まったブルーノはろくに読みもせずにその脚本を元に、その女性を監督に映画を作ることにする。しかし、その物語はイタリアの首相を糾弾する内容だった。

コミカルなエピソードと、イタリア映画らしい叫びまくる台詞回しで、ハイテンションなストーリーが展開していく面白さは認めるが、エピソードそれぞれが妙にからみ合わず混沌としている。

信頼していた主演俳優に裏切られ、調子の良い出資者に断られ、妻は去り、子供達はサッカーに興じ、なくしたレゴの部品探しという、意味ありげなエピソードも挿入されているが結局、どこへも行き着かない。しかも、首相糾弾の映画という重い展開へ全体が流れる。それぞれがバラバラなのである。ナンノ・モレッティなのだから、それなりの演出が施されているのだが、どうも、無理やりの後半部分のメッセージにこじつけた感があるのです。映画としては失敗作と言えるかもしれません。