悪ノリで展開するホラーコメディですが、やはり英国流のテンポと日本的なしかも現代のテンポと少しずれてるかなという感じです。面白いのですが笑いのカットがちょっと間延びしてしまう。でもストーリーの展開構成からラストへの組み立てはなかなかのものでした。2004年作品。監督はエドガー・ライト。
ロンドンの家電量販店で働くショーンが恋人のリズといつものパブで飲んでいる。友人のエド、友人カップルなどといつもつるんでいるショーンの辟易しているリズ。コミカルなオープニングに、宇宙船が空中分解して、なにやら不穏な空気が流れ始めてくるのがさりげなく挿入され、やがて、ショーンの周りはゾンビがあふれている展開へ。
ショーンは、エドたちと母を助けリズらを伴ってゾンビの中を脱出、いつものパブに立てこもる。なんで?という無理やり展開に、所々に能天気なエドや、やたら現実的なリズたちのキャラクターがぶつかり合い、一人また一人と倒れていき、最後の最後にとうとうエドもやられて、ショーンはリズを伴ってパブを出ることを決意、外に飛び出すと軍隊がやってきてゾンビを一掃して世の中はゾンビと共存する世界へコミカルに変わっていってエンディング。
いつものゾンビ映画の流れですが、一つ一つが丁寧に演出されています。展開の強引さはコメディゆえのお遊びととっていくとなかなかの一品。面白かったです。
「記者たち 衝撃と畏怖の真実」
丁寧に紡いでいく真実のドラマとそれに立ち向かっていくジャーナリストの物語は、さすがに熟練の演出で見せてくれました。監督はロブ・ライナー
一人の黒人の兵士が車椅子に乗って法廷に入ってくるところから映画が始まり。そして彼が、こういう姿になるに至った物語を語り始めます。
時は2002年、貿易センタービルに旅客機が突入するという9・11事件が起こるところへ遡る。ときの大統領ブッシュは、これをイラクと結びつけ、サダム・フセインが大量破壊兵器を保管しているという情報を基にイラクへの侵攻を計画し始める。
世論の疑念の声にもかかわらず、ニューヨークタイムズやワシントンポストなどの大手は次々とブッシュの説を裏付けた記事を載せ始める。しかし、ここにナイト・リッダー社のジョナサンとウォーレンは別ルートの情報源から、大量破壊兵器の不存在の裏付けを取っていく。
しかし、ブッシュの計画はとうとう現実となりイラク侵攻が始まるが、短期間で終わるはずが、いつまでも大量破壊兵器が発見されず、長期化していく。
物語はジョナサンとウォーレンの奔走する姿が中心となるが、冒頭の兵士が出征していくカットが繰り返され、そしてイラクで爆撃にあってカットはベトナム戦争の慰霊碑の前にいる兵士のカットへ。
そして、ナイト・リッダー社の主張が正しかったことが広まるが、すでに戦争は泥沼と化している現実がテロップで流れる。
この手のパターンの作品は、なんどもあったので、今更目新しさもないのですが、やはり、演出や物語構成の巧みさで作品のクオリティが決まっていくように思います。その意味で、この映画はそれなりの仕上がりだった気がします。