くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ラブストーリー」「アウェイデイズ」

「ラブストーリー」

16年ぶりの再見、大好きな韓国映画の一本です。決して映画として出来の良いものではないのですが、二代に渡るピュアなラブストーリーの展開にのめり込んでしまうのです。音楽もいいし、やはりラストは涙ぐんでしまいました。監督はクァク・ジェヨン

 

大学生のジヘが母の手紙を見つけるところから映画は始まる。風に舞う手紙、白い鳩といかにもなオープニングはともかく、母の手紙を開いた途端、物語は母の初恋へと飛んでいく。

 

ジヘの母ジュヒは、あるとき都会から田舎に引っ越してきた。家が名家なので、交際相手も厳しくされた。そんな彼女に想いを寄せていたのが同じく名家のテス。彼は友達のジュナにジュヒ宛のラブレターの代筆を頼んでいた。一方現代のジヘも、友達に、好きな先輩サンミンヘのメールの代筆を頼まれていた。

 

ジュヒはいつもテスについてくるジュナにいつの間にか恋心を持ち始める。そして、ジュナとジュヒはテスに隠れて逢瀬を重ねていくが、友人が恋焦がれる女性との恋に悩むジュナだった。一方現代ではジヘも密かにサンミンに憧れを持ち始め、サンミンもジヘの想いが募り始めるが、友達への手前ジヘも悩んでいた。

 

こうして過去と現代のピュアなラブストーリーが重なって展開していく。ところが、ジュヒに失恋したテスは自殺未遂を起こし、それを知ったジュナはジュヒに貰ったネックレスを残して姿を消してしまう。時はベトナム戦争真っ只中となり、韓国でも出兵が始まっていた。

 

時がすぎ、高校を卒業したジュヒは、ジュナが出兵すると聞き、テスと駅へ向かう。そこでジュヒはジュナにネックレスを返す。ジュナはそれを戦場で死守したために重傷を負って帰ってくる。ジュヒの前に現れたジュナの目は見えなくなっていた。

 

ジヘは幼い頃、母ジュヒと河原で遊んでいるときに、思い出の川に遺灰を撒いてほしいとやってきたジュナの家族と遭遇する。そのときに見た虹をジヘは覚えていた。現代、ジヘは友達に全てを告白し、サンミンと恋人同士になって河原を歩いていた。ジヘは母の初恋の物語をサンミンに語り終える。サンミンはゆっくりと首のネックレスを見せる。それはジヘの母ジュヒがジュナに与えたものだった。サンミンはジュナの息子だったのだ。

 

過去に一緒になれなかった恋人たちが子供の代になって恋が成就するラストに涙が止まらない。もちろん、韓国映画独特の稚拙な場面もないわけではないが、雨の使い方や、蛍や古い建物の使い方など、それなりにしっかりと物語を支える脚本になっているのはとってもいい仕上がりです。

 

オープニングのクラシックの名曲からオリジナル曲へ流れる静かなリズムも作品を盛り上げ、私的なラブストーリーの名編に仕上がっていると思いました。

 

「アウェイデイズ」

イギリス映画らしい淡々と描かれる青春ドラマが、静かにしみ入ってくるいい作品でした。監督はパット・ホールデン

 

母の葬儀の場面、カーティはその場で服を着替えて走り出す。バックに流れる曲がまず良い。そして、地元のギャング集団パックに近づく。そして、入るでもなく入って、ひたすら喧嘩を繰り返し始めるカーティ。メンバーの一人エルヴィスがそんな彼に興味を持ち始める。

 

物語はパックのメンバーが遠征と称して列車やバスに乗ってあちこちの集団といざこざを起こしながらも、行き場を見つけられない若者たちの姿を当時の音楽を背景に流して描いていく。

 

いつの間にか、カーティに友情以上のものを感じ始めるエルヴィスは、その気持ちを受け入れてもらえず、列車に飛び込んでしまう。パックの組織内でもいざこざが起こり始め、次第に自分の生き方に疑問を感じ始めるカーティ。

 

そして組織のリーダーも変わり、変化していく中、いつの間にか集団から抜けていくカーティの姿で映画は終わる。イギリス映画らしい空気感が素敵な作品で、こういうちょっと知的な感じのする映像もまた楽しい。