公開当時見にいけなかった映画を見る。普通のディスコ映画と思っていましたが、なかなか、当時の世相を巧みに背景に織り込んだ脚本が実に奥が深い。もちろん、ビージーズの曲のテンポに乗せた演出が一番の見どころだし、ダンスシーンは圧巻である。しかしそれだけでなく、行き場を模索する若者たちの苦悩や、恋、さらにアメリカの奥底に今なお残る差別意識などをちゃんと埋め込んである。傑作とはいえないかもしれないが、いい作品だった。監督はジョン・バダム。
ビージーズのステインアライブに乗って、ペンキを持った主人公トニーが登場するオープニングがまずノリが良くていい。塗料店に勤めるトニーは毎週末土曜日ディスコでダンスをするのが生きがいの青年だった。この日も、仲間とディスコへ繰り出し、得意のダンスを披露する。近々催されるダンスコンテストに備えて、パートナーを探しているが、恋人のアネットは今ひとつダンスが上手くなかった。しかしアネットは献身的にトニーに夢中だった。そんなトニーは、抜群のダンスを見せるステファニーと出会う。
トニーはステファニーがダンススタジオで一人練習している現場で再会し、なんとかパートナーになってもらうようアタックを始める。一方、アネットはトニーに体を許してでも自分の方を向かせようとするが、トニーはステファニーのことしか頭になく、とうとうパートナーの承諾してもらう。
トニーの仲間の一人のボビーは恋人が妊娠してしまって悩んでいて、トニーに相談しようとするも相手にされず追い詰められていた。そんな頃、トニーの兄で司祭として仕事をしていたフランクが、教会の仕事に嫌気が差し戻ってくる。トニーの両親、特に母親は落胆し、狂ったように責めるが、フランクはいたたまれなくなり家を出ていく。トニーの父親は失業していたが、父親としてのプライドだけはあり、何かにつけ強硬的な態度をとって家族の雰囲気を悪くしていたが、とうとう仕事が見つかる。
やがて迎えるダンスコンテスト、明らかにトニー達よりも美味かったプエルトリコ人のチームは結局二位になり、トニーたちが優勝するに及んで、トニーはそんなことをする大人達の世界が嫌になる。結局、二位になったのはプエルトリコ人だったために、地元チームのトニーたちを優先したのだ。自暴自棄になったトニーは、ステファニーを強引にモノにしようとするが、ステファニーは怒って飛び出してしまう。
トニーは仲間と車で大騒ぎし、アネットもトニーへの思いが遂げられず、トニーの友人に体を任せる。トニー達は、いつもの吊り橋の上でふざけていて、悩んでいたボビーは、自殺まがいに橋から落ちてしまう。やるせなくなったトニーは仲間から離れ、一人地下鉄でステファニーのところへ向かう。そしてステファニーの部屋にたどり着いて、もう一度友達から始めたいと真面目に頼み。ステファニーと手をとり合って映画は終わる。
決して、完成度の高い映画ではないし、ビージーズの曲を楽しむという面が表に出過ぎているのですが、よく見ると、それなりに深い内容が埋め込まれている。その意味で、平凡な映画ではないと感じる映画でした。
「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」
お話や人物関係は、このシリーズほとんど把握できてないけれど、2時間越えの作品にしてはそれなりに面白かった。と言っても90分ぐらいでも同じレベルにできた気がしないでもない映画でした。監督はデビッド・イェーツ。
物語はシンプル。主人公ニュートの恩師ダンブルドアは黒い魔法使いグリンデルバルドと若き日、血の友情を交わしている場面から映画は始まる。血の友情によりお互いに闘うことができない関係となった。しかし、時が立ち、グリンデルバルドは、魔法界の最高権力者となるべく、その選定に力を発揮するキリンという聖なる生き物を手に入れて自在に操ろうと画策していた。
そんな頃、ニュートはキリンが生まれる現場に立ち会う。そして子供が生まれるや否や、親のキリンはグリンデルバルドの手下に殺される。そして一頭の子供のキリンは連れ去られるが、実は双子で産まれていて、もう一頭をニュートが保護する。
グリンデルバルドの悪事を阻止すべくダンブルドアはマグルのジェイコブを含め、仲間を募って計画を練り始める。間も無くしてグリンデルバルドは、キリンがもう一頭生まれたことを知り、ニュートらに迫ってくる。最高権力者の選挙の場で、キリンによって選ばれる儀式があり、グリンデルバルドは予め殺して複製を作り出していたキリンで自分を選ばせようとしていたが、ニュートらが本物を届けることで阻止する計画だった。
最後の最後に、グリンデルバルドらの追手から逃れたニュートらは無事に本物のキリンを届け、正しく選挙が行われる。そしてダンブルドアとグリンデルバルドは最後の決戦をし、グリンデルバルドは塔の下に落下していく。ジェイコブは、かねてから愛していた魔法使いのクイニーとの結婚が実現して映画は終わっていく。
シンプルな物語と程よい見せ場の数々で、2時間以上あるストーリーをあまり退屈せずに楽しめました。特に何か秀でたものもないけれど、娯楽映画としては良かったと思います。