「無法松の一生」
三船敏郎版の作品。スタンダードからワイドに、モノクロからカラーにかえ、阪妻版と同じ脚本監督でリメイクされた名作。カットされた部分が復活されていますが、阪妻と三船の違いでしょうか、。個人的には阪妻版の方が泣けてしまいました。監督は稲垣浩。
街頭に灯りが灯される場面から映画は幕を開けます。明治三十年、日露戦争の戦勝提灯行列場面から映画は幕を開けます。そして、物語は細かいエピソードに至るまで阪妻版と同じに進行していきます。横長画面になったこともあり、カメラアングルは変わりますが、展開の演出もほとんど同じ。
クライマックスの祇園太鼓を松五郎が叩く場面の後が阪妻版では大幅にカットされています。祇園太鼓を披露した夜、松五郎は、息子らが花火に出かけ、一人留守番をする良子のいる吉岡の家にやってきます。そこで、良子に見惚れてしまった松五郎は己の罪悪感から仏壇に頭を下げ、二度とあいませんとその家を後にします。
時が流れやがて冬、雪の降る中、酒瓶を持った松五郎は小学校へ遊びにいき、そこで心臓麻痺を起こし倒れてしまいます。翌朝、小学生が松五郎を見つけ、ラストの結城親分が松五郎の遺品を良子に見せる場面から、遺体に泣き伏す良子のカット、カメラが雪の街の景色を捉えて映画は終わります。後半で飲み屋の酒のポスターを松五郎がもらう下なども今回写されています。
ベルリン映画祭で賞を取った名作ですが、やはり阪妻版の方がキレが良くて、しかもスタンダードサイズでアップを多用した画面がものすごく人間味のある作品にした感じです。
「シン・仮面ライダー」
仮面ライダーを素直にリアルで見た世代ではないので、懐かしさというのは全くなく、オリジナル版へのノスタルジーもほとんど感じ得ないので、単純にアクション映画として楽しむ事になったのですが、いかんせん理屈っぽくて、展開にキレがないのは辛い。でも目的の浜辺美波や西野七瀬などは十分楽しめたので、いいとしましょう。欲を言えばもうちょっと弾けてほしかった気はします。監督は庵野秀明。
一台のバイクが疾走し、背後を巨大なトラックが追っている場面から映画は幕を開ける。バイクは吹っ飛ばされ、後ろに乗っていた一人の女性緑川ルリ子があわやクモオーグという改造人間に連れ去られようとするところ、突然現れたバッタオーグに助けられる。バッタオーグがグロテスクなまでに敵を血祭りにして行く場面に今回のコンセプトを感じさせる。
このバッタオーグはルリ子の父緑川博士が作った改造人間で、ルリ子と共にショッカーという秘密組織から脱出したのだ。仮面を被ると理性を失うほど力を抑えられないバッタオーグに、同じく人造人間のルリ子はプログラムを施す。そんな彼らを追ってきたクモオーグは緑川博士を殺してしまう。バッタオーグは、本郷猛という元人間で、緑川博士が最強のオーグとして作り、人類を別世界へ連れ去ろうとするショッカーの計略阻止の一翼を担わせよとしたのだ。ルリ子はバッタオーグに赤いマフラーを巻き仮面ライダーとして共にショッカーに立ち向かう事になる。
次々と襲いかかるハチオーグ、コウモリオーグなどを倒すが最後に現れたのは一文字隼人が変身したバッタオーグ2号だった。しかし、ルリ子は彼のプログラムを操作し、正義の心を取り戻させ、仮面ライダー2号とする。しかしその直後、カメレオンオーグにルリ子は殺される。
ショッカーのトップに立つチョウオーグはルリ子の兄イチローだった。強大な力を持つチョウオーグにライダーたちが臨む。本郷猛の仮面にプログラムされたルリ子の作戦で、本郷猛の命と引き換えにチョウオーグは倒される。一文字隼人はルリ子や本郷猛の意志を注いで仮面ライダー2号としてショッカーと立ち向かう事になり映画は終わる。
テレビ放映当時の車を画面に登場させたりノスタルジックなムード作りをしているが、全体が非常に間延びしていて、テレビシリーズのダイジェスト版のような展開になっているのは少し勿体無い。アクションも、画面が暗いせいか今ひとつ面白みに欠けるし、映画としては並の出来栄えなのかもしれません。ただ、仮面ライダーを子供時代に見た世代にはそれ以外の至る所に懐かしさを覚える仕上がりなのでしょう。